「強い人が当たり前に勝つ世界は面白くない」 Pococha初のライバー事務所が名前を変えたワケ
このnoteについて
書いてる人は誰?
はじめまして、阿部伸弘と申します。
私は学生時代に起業し、7年ほど、元々は累計600万ダウンロードされたSNSアプリの開発・運営をする会社を経営しておりました。
しかし5年前にDeNAがリリースした最後発ライプアプリのPocochaに、
「これは日本のライブアプリとして1番大きくなるだろう。またもしかしたら世界も狙えるライブアプリにすらなるかもしれない」
と、非常に大きな可能性を感じ、水田君からの誘いに乗ってPocochaの最初のライバー事務所としてビジネスを再スタートさせました。
現在ではPocochaも大きくユーザー数や売上を伸ばしておりますが、当時はPocochaのユーザー数も少なく、また世の中にライバー事務所もほとんどありませんでした。
このnoteを書いた背景
元々の会社名・事務所名であった「PRIME」を、2022/6/6から「YOUPACE(読み方:ユーペース)」に変更いたしました。
ちなみに以前にも何度か会社名と事務所名を変更したことがあって、最初の社名は「PrimeAgain」だったのですが、この「PRIME」という言葉は私が創業した当初から10年以上使っていました。
意味は、日本の産業に青春(prime)をもう一度(again)という、itサービスで日本が世界を席巻するプロダクトを作るという理念で生まれました。
なぜ、10年以上使っていた大切な言葉を変えることにしたのか?そこには私のライバーさんやリスナーさんへの思い入れや、今後の展望などが込められています。
そこで今回は、ライブ配信業界の現状や、私たちの考えを交えて、名前の変更理由をnoteで伝えたいと思います。
このnoteを読んでほしい人
ライバーさん、またはライバー経験者のかた
リスナーさん、特に昔からPocochaでリスナーをやっているリスナーさん
ライバー事務所が何をしているのか、どういうところなのか分からないかた
ライブ配信業界についてよく知らないけど、興味があるかた
(おまけ)周りの起業家
そもそもなぜ、Pocochaに可能性を感じたのか
事務所名を変えた理由につながる話なので、なぜまだユーザーもほとんどいなかった5年前のPocochaのライバー事務所になったのかを、ライブ配信アプリごとの特徴を交えてお話させてください。
ちなみに、今でもPocochaで配信しているライバーさんをメインでマネジメントしております。
YouTube・TikTok・Instagram等のライブ配信の特徴
「ライブ配信」と聞くと、多くの人はYouTube・TikTok・Instagramをイメージされるのではないでしょうか。
こういったライブ配信は著名人やパフォーマンス・コンテンツを見ることを前提としていて、同時に数十人〜下手すると数万人以上が見ている状態です。
そのため、ライブ配信をしている人と見ている全員のコミュニケーションが成立することはなく、コミュニケーションを取るためには目立つ必要があり、目立つためにアイテムを投げるという仕組みになっています。
例えば多くの方が切り抜き等で見たことあるであろう、2ちゃんねる創設者のひろゆきさんのライブ配信では、有料のスーパーチャット(コメントに色がつく)での質問にひろゆきさんが回答していく形を取っています。
17LIVE、Pocochaなどのコミュニケーション主体のライブ配信アプリの特徴
一方で、直近大きく伸びているのが、コミュニケーションを主体としたライブ配信アプリです。
17LIVEやPocochaなどが筆頭ですが、これらはまず同時接続する人数が数人〜数十人とYoutube等と比べると少なく、ライバーさんと見ているリスナーさんのコミュニケーションが課金をしなくても成立しやすい状況になります。
ただ、ずっと課金をしない状態だと、ライバーさんは報酬を得ることができず、時間や手間をかけて配信をしているライバーさんの生活に影響が出てしまいます。
なので、リスナーさんはライバーさんがこれからも配信をし続けてほしいという思いを込めて課金をしたり、頑張っている姿に元気づけられたり救われたので、応援するために課金をする、といった行動になります。
Pocochaは1番"平等"な配信アプリ
このようにたくさんのアプリがある中で、なぜ私がPocochaのライバー事務所になることを選んだのか?それはPocochaが「より多くのライバーに対し、平等にチャンスがあるアプリ」だったからです。
例えばYouTubeやInstagramは、普段から投稿しているコンテンツやテレビ等による影響力やコンテンツ力の強い人がどうしても勝ってしまいます。
また、コンテンツを作るためにはスキルや恵まれた才能が必要だったり、過去の実績や特別な才能がある人が勝ちやすくなっているため、平等性が低くなっているのです。
一方、コミュニケーション主体のライブ配信アプリでも「強い人がさらに勝つ」設計になっていることが多く、例えば17LIVEのトップページ見ると、レベル(=経験値)が100以上のライバーやNMB48が最初に表示されるようになっています。
つまり現時点で強いライバーにリスナーがたくさん流れ込んで、さらに勝ってしまう。「強い人が当たり前に勝つ」仕組みになっているのです。
しかしPocochaでは、トップに表示されるライバーのレベルはバラバラです。
すでに強いライバーだけでなく、今伸びているライバーや配信をまだ始めて間もないライバーにもリスナーさんが流れ込むような工夫がなされています。
つまり他のアプリよりも平等性が高く、多くの人が活躍できるチャンスのあるアプリなのです。
このトップページの機能は、リリースしてしばらくしてからついたのですが、リリース当時にPocochaのプロデューサーである水田さんとお話した時に、当時から強い人のためではなく「たくさんの人(ロングテール)のための」サービスを作ろうとしていて、他のアプリと思想の部分で大きな違いがあり、私は可能性を感じて事務所を始めたのです。
最初にお伝えしていましたが、創業当時に私はSNSアプリを作っていた経験や知識から、このようにたくさんの人(ロングテール)にチャンスのあるサービスが最後には勝つと知っていたので、Pocochaが伸びると確信できたのです。
水田さんが考えているPocochaの設計思想は、下記のnoteにまとまっています。
努力が報われるPocochaの仕組み
Pocochaは多くの人が活躍できるように、特別な才能がなくても、しっかりと努力をすれば報われる仕組みもあります。
例えば代表的なPocochaの機能である「ランク制度」は、同じランクのライバー同士でどれだけ応援されたかを毎日競い、その結果次第でランクが変わります。(ランクに応じてもらえる報酬も変わります。)
まず最初は必ずE1ランクから始まり、E1のランクの中で上位を取り続けるとD1→D2→D3→C1…と上がっていくのです。
例えば同じランクに有名人がいたとしても、たしかにその人はランクが上がりやすいかもしれませんが、その有名人が上のランクに行ったらもう競う必要はなくなり、同じくらいの才能やポテンシャルのある人同士で戦うことになります。
なので、同じランクの中でいかに努力するか?によって勝敗が決まるようになっているのです。
またこのランクの仕組みがあることによって、リスナーさんにライバーさんが目指している目標を提示しやすくなり、配信に一体感をもたせやすくなる効果もあります。
他にも、毎月ファンがどれだけ増えたかを可視化し、ファンを増やす努力の結果が見えるようになっている「コアファン」という仕組みやルール設計など、いたるところに努力が正しく報われるような思想が反映されています。
なぜ会社名&事務所名を変えたのか?
さて、前置きが長くなりましたが、なぜこのタイミングで会社名と事務所名を変更することにしたのかをお話したいと思います。
Pocochaにおける課題 「続けるハードルが上がっている」
先ほどもお伝えしたように、Pocochaはたくさんの人が活躍できるように設計されているのですが、そのための仕組みがかなり複雑になってきていることも事実です。
またライバーを始めて、最初の頃はどのようなことをすれば良いかのコツもあるのですが、そのあたりを把握せずにPocochaでライバーを始めるとうまくいかずに離脱しやすいのです。
他にも努力が報われる仕組みの例としてランク制度を紹介させていただきましたが、このランク制度も続けるハードルを上げている側面があります。
例えば・・・
同じ時期に始めたライバーさんが自分よりも上のランクになった
1度ランクが上がったが、そのあとにすぐ下がってしまった
何ヶ月もランク帯がずっと変わらず、思うようにいかない etc…
こういったときに、ライバーさんは大きなショックやストレスを感じます。ランクが良くも悪くもわかりやすい配信の結果や指標になっているため、「ランク=自分の評価や実力」だと思ってしまうのです。
そして「自分にはライバーの才能がない」と心が折れてしまって、配信を辞めてしまう…そんなライバーさんが後を絶ちません。
ライバーだけでなく、リスナーも悲しんでいる事実
私達はライバーさんのサポートをする会社ではありますが、長年リスナーさんが支えてくださってこそ、ライバーさんは配信を続けられます。
なので、今まで1000人を超えるリスナーさんとやり取りをし、またインタビューなども数百人にさせていただいて、リスナーさんがどんな事を考えているのかを聞いてきました。
そして、リスナーさんもライバーさんが配信を辞めていくことで、大きな悲しみにくれていることも分かりました。「ライバーさんが配信を辞めたら頭が真っ白になる」「人生を生きる希望がなくなってしまう。」というリスナーさんもインタビュー時に本当に沢山いました。
せっかくこれまで課金をして、時間もかけて、手間をかけて応援したのに、それがすべて水の泡になってしまうわけです。
またランクを上げることに必死になっているライバーさんは、どうしてもその焦りから、リスナーさんに対して過剰に課金させてしまうように要求するといったことも起きてしまい、それによって苦しんでいるリスナーさんが多くいらっしゃいました。
こういった話を聞いて、私は大きく反省したのです。
長年ライバー事務所をやってきましたが、事務所として至らない対応やマネジメントをしてしまっていた時期もありました。
そのため、辞めてしまったライバーさん、ランクに苦しむライバーさん、苦しみ悩んだリスナーさんも多くいらっしゃいました。
これは、ライバーさんが悪いわけでも、リスナーさんが悪いわけでもなくて、事務所のサポートが不十分だったからこそ起きていました。
そういった悲しみを減らしていけるように、どういったサポートが良いのか模索をするようになりました。
継続をすれば、勝てる
ありがたいことに、YOUPACEには4年以上継続し、トップを走り続けているライバーさんが多くいらっしゃいます。
そういったライバーさんを見ていて、今では「継続」が何よりも大事だと考えています。もちろん報酬に影響するのでランクも重要なのですが、継続をすることをゴールに考えたほうが良いとすら強く思うのです。
例えばランクが下がったとしても、継続的に配信をやっていくことで、新しく協力的なリスナーさんがまた出現する可能性も出てきます。
また継続していくことで、どうするとうまくいくかが見つかり、さらにランクが上がっていく要因になったりするわけです。
それに長く継続していると、昔来ていたファンの方が戻ってくることも多く、続ければ続けるほどメリットが大きくなっていきます。
また周りのライバーで辞めてしまったライバーさんのリスナーが自分に来たりもします。
逆に辞めてしまったら、その時点で報酬は0になり、今までいたファンの方もリセットされ他のライバーさんに取られてしまいます。諦めるのは非常にもったいないんです…。
ライブ配信に限らず、継続することはどの業界でも非常に重要だと思うのです。
私は中学・高校は普通の公立高校に行っていたのですが、どうしても良い大学に入りたくて、継続的に勉強をし続けました。
結果、自分が目指していた大学に合格することができました。
また、大学生の時に起業したこの株式会社YOUPACEも、13年間非常に厳しい事が何度もありながらも、会社経営を継続して来たからこそ、
今沢山の素晴らしいライバーさんやリスナーさんに会う事ができて、直近も博報堂様からお金を入れて頂けくというビジネス機会のチャンスも頂きましたし、これは全て、どんな辛い事があっても諦めたら投げ出さずに、継続したからの結果です。
世の中で成功している人を見ても、何かを継続的にやり続けた人は結果が出ています。まさに「継続は力なり」なわけです。
続けるために大事なことは「あなたのペースで成長し続けること」
さて、では続けるためには何が必要なのでしょうか?
それは決して我慢をすることではなく「あなたのペースで成長し続けること」だと私は考えます。
Pocochaも昔と比べるとボーダーも上がり、ライバーという仕事も世の中で認知されるようになってきていて、どんどん増えています。
人が増えるということは、それだけ環境も変化することになるので、それに自分を合わせないと継続ができません。
ダーウィンの進化論でも言われる通り、変化に適応した者だけが生き残るのです。
とはいえ、いきなり「成長しろ」と言われても、急に大きな成長をすることが難しく、また人のペースに合わせて成長することはそれもそれで大きなストレスになってしまいます。それでは元も子もありません。
なので、それぞれのペースで、あなたのペースで成長し続けることが大事なのだと考えました。
そう、「YOUPACE」は「あなたのペースで成長し続ける」ことを指した言葉なのです。
この社名・事務所名に変えるにあたり、HPもリニューアルいたしました。
HPのトップには所属しているライバーさんの写真を掲載しているのですが、実は「現在、配信をしていないライバーさん」も掲載しています。
人には生活の事情によって、どうしてもライブ配信を続けられなくなることがありますし、そうなった原因がライブ配信な事も少なくありません。しかしYOUPACEとしてはそういった方にも「あなたのペースで」成長していってほしいので、配信を辞めてしまったとしても、また戻る場所がYOUPACEにはあるんだよ、というメッセージを込めました。
またYOUPACEという社名には、また一つ意味があり、リスナーさんに「応援が継続できるように、自分のペースで応援して欲しい」というのも強く込めさせて頂きました。
長年色々なリスナーさんと、話して来て思うのは、熱が入ってライバーさんやファミリーに向けての責任感がとても強くなり、それでアイテムを沢山投げた。しかしちゃっと最近お金には限界があり、それで「今後もこのライバーとファミリーを支えていかなければならないんだ」と考えるとファミリーからの期待も大きく、最後アカウント消したりPocochaもアンインストールして、そもそも存在しなかった事にしようと考えるリスナーさんを何人も見てきました。ライバーが配信を辞める理由で1番多いのは、心の支えになっていたトップリスナーさんに限界が来ていなくなってしまって、心を病むです。
なので、私は本当にリスナーさんのペースで無理なく、ライバーさんを応援をして欲しいと心から思っております。
これはトップリスナーさんだけの問題ではないと考えておりまして、色々なリスナーさんが応援を辞めてしまう理由がありますので、こういったコミュニティーの人間関係の難しい課題を解決するのがライバー事務所の使命であると考えております。
YOUPACEの過去・現在・未来について
YOUPACEになった経緯についてお話させていただきましたが、ここからはYOUPACEが今までどんなことに取り組んできていて、これからどんなことに取り組んでいこうとしているのかについてお話したいと思います。
YOUPACEの過去
今までも事務所として試行錯誤をしてきましたが、正直言って、うまくできていたかというと、むしろ反省が非常に多かったです。
私達の対応が適切ではなく、ライバーさんからの質問に放置状態になってしまったり、ライバーさんとして満足する対応ができずに辞めていってしまった方もいらっしゃいました。
またリスナーさんからも多くお叱りを受けることも多く、大変反省しております。
YOUPACEの現在
まだまだ完璧な対応ができているとは言えませんが、YOUPACEとしても様々な取り組みをしてきました。ごく一部ですが紹介させて頂きます。
例えば初配信前や初配信後に迷わないための、Pocochaの機能や配信のコツを説明した講座動画
いつでもスタッフにLINEで相談ができ、データ等を見て客観的なアドバイスをする仕組み
また税金やトラブルによる離脱を防ぐために、税理士や弁護士の方に無料で相談ができたり、確定申告の講座を実施するといったサービスを提供してまいりました。
実際に今までのマネジメントに関しても、好評の声を頂いています。
トップライバーとして活躍しているライバーさんの中には、事務所を始めた当初から続けていて、今でも活躍しているライバーさんが多くいらっしゃいます。
継続し成長していくことでライバーさんの人生が豊かになっていく姿を見て、こういったライバーさんをもっと増やしたいという思いは増していくばかりです。
ちなみにライバーさんというと20代前半くらいのイメージを持たれることが多いのですが、実は20代後半〜30代前半の方がもっとも多く、30代後半〜50代の方でも月20万円前後稼いでる方がいらっしゃいます
YOUPACEのこれから
ライバーさんもリスナーさんもHappyになる、そんなライブ配信業界にしていきます。
よりライバーさん同士のつながりを強めたり、ライバーとリスナーの関係性をより深めるためのサービス、またゆくゆくはライバーの価値向上にも貢献していきたいと考えています。
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