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人間失格

人間失格
古い文学で好きな小説の一つ。
「恥の多い生活を送ってきました」という一文から始まる最初の手記はとても印象的です。これは太宰治の経験がそのまま反映されていると言われています。 
幼い頃から強い不安や恐怖、人間の営みや感情が理解できないという悩みを抱える一方で、演じているその「道化」の姿は周囲から人気がありました。 

お酒とたばこと女は 人間の事が理解できない彼の孤独を救うものになります。
だけど、一人の女性と出会って、人間らしい幸せが掴めると自身で思うのです。その女性は、人を信じる事において天才的な能力を持っていて、その力が主人公の心を癒していきます。その生活は長くは続かず、この彼女が彼にとっての救いとか支えだったのだという事がのちの壊れていく彼の人生を見るとものすごくよくわかります。
この主人公に、学生の頃すごく共感できて、特に幼少期の描写なんかは、すごくよくわかるのです。今思うと、早熟だったのかなとも思いますが。この本が、いまだに沢山の人に読まれているという事は、声に出さないだけで、彼にどこかしら、共感する人が少なからずいるんだろうなとも思います。
お笑い芸人の又吉さんも幼少期の彼にすごく共感したらしいです。
でもなんだろう、彼は誰よりも自分の内面と向きあう 正直で、真面目で人間らしい人なんじゃないかなって思っちゃうんですよね。人間は皆、美しいけど、綺麗ではないですよね。読書の好みはさておき、小説が好きならお勧めの一冊です。流行りの賞をとる本とはまた違う味がします。