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オーケストラの打楽器パートはその他パート(オモチャを含む)

 オーケストラで、バイオリンパートはバイオリンを演奏します。ビオラはビオラ、チェロはチェロ、コントラバスはコントラバスを演奏します。

 管楽器にはバリエーションがあって、フルートは時々ピッコロを吹き、オーボエはコールアングレを吹くことがあります。クラリネットとファゴットは音域の違う楽器を演奏する場合がありますが楽器としては一種類です。ホルンは基本ホルンだけですが、ワグナーチューバなるものはホルン奏者が担当します。トランペットはコルネットも担当します。トロンボーンには音域にバリエーションがありますがトロンボーンのみ、チューバはチューバです。

 さて、打楽器はというと、ティンパニ、大太鼓、小太鼓をはじめ、シンバル、トライアングル、タンバリン、木琴、鉄琴にチャイム、ドラも演奏します。曲によって使われる楽器はさまざまですが、これらは楽器らしい楽器といえます。ところが、およそ楽器とはいいがたいものを演奏することがあります。

チャイコフスキー『序曲 1812年』大砲。普通の演奏会では本物を使えないので、大太鼓複数台やシンセサイザーで代用します。

ベルリオーズ『幻想交響曲』。教会の鐘のような美しい姿のカリオンを使いますが、遠くの教会から聴こえてくる感じを出すために、舞台裏で演奏します。せっかくの美しい姿をお客様に鑑賞していただくことができないのが残念です。

リヒャルト シュトラウス『アルプス交響曲』ウィンドマシーン、サンダーマシーン。これは効果音の域にあると思います。サンダーマシーンは、たたみ3畳ぐらいの大きなブリキ板を揺らして雷を表現します(マシーンと言えるのかな?)。

マーラー『交響曲 第6番 悲劇的』ハンマー、カウベル。ハンマーは崩壊、死を表していて、巨大な木槌を使い、木製の箱を叩きます。イメージに合う音を作るべく、そして舞台を傷つけないよう奏者が自作をすることもあります。カウベルは牛の首につける本物を大小そろえます。

アンダーソンの作品タイプライター、スライドホイッスル、サンドペーパー、犬・猫の鳴き声(照れてはいけない。120%出し切らないと)。タイプライターは今では調達困難でしょうね。“楽器”として保存しておかないと演奏ができなくなってしまうのかもしれません。

アンゲラー『おもちゃの交響曲』おもちゃの太鼓、ラッパ、カッコウ・うずら・ナイチンゲールの鳴き声を模した笛。吹く楽器でさえも、管楽器パートが担当しない楽器は打楽器パートが受け持ちます。

オーケストラの打楽器パートはその他パートなのです。

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