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生きる行脚

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大学3年生(2021年度)を1年間休学して、日本各地の漁師さん・農家さんのところで修行させてもらう旅、「生きる行脚」をしたときの記録。 これを読んでくれた人の心に火が点きますよう…
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2022年5月の記事一覧

消費者が「任せている」食べものの世界。だからきっと、消費者には心がない。|生きる行脚#10@消費者

 豚肉はおいしいし、安いから、僕は結構な頻度で食べる。きっと、多くの人の食卓にも頻繁に登場し、みんなが何気なく口にしている、僕たちの食生活からは切り離すことのできない食材だと思う。  そんな親しみのある食材なのに、豚という「生き物」が豚肉という「食べ物」になるまでの過程を多くの人たちは知らない。屠畜(家畜を食肉・皮革などにするため殺すこと。)は、進んで見たくなるようなものではないから、消費する側はその過程から目を背け、江戸時代の身分制度が存在していた頃から特定の人たちによっ

養鶏家、松本 啓さん。|生きる行脚#11@佐賀

 11月半ば、大規模な肉用牛や養豚の現場に行ってみたいと思い短い期間で色々な会社さんにアプローチしてみていたけれど、ことごとくいい返事をもらえず、行き先に困っていた。  そんなとき、以前お世話になったほんま農園の本間さんに紹介していただいた松本 啓(さとし)さんという養鶏家さんが頭に浮かんだ。本間さんからは「伊万里に新卒で養鶏を始めたすごい人がいるんだよ。」と聞いていて、啓さんと直接会ったことはなかったものの、SNSを通じてつながらせてもらっていた。  そこで、「大学を卒業

「努力は当然。報われないのも当然。」な肥育の世界に生きる、命輝かす牛飼い|生きる行脚#12@福岡

 「生き物を育てる畜産の世界ってどんな感じなんだろう?」と漠然と思い、ポケットマルシェのアプリの検索機能で「カテゴリーからさがす」を「肉」に設定して畜産農家さんを検索してみた。  江口 幸司さん(今回お世話になった江口 豊作さんのお兄さんで、豊作ファームでは販売事業を担当されている。)という方の商品が画面の一番上に表示されていたので、何気なく生産者ページに飛んでみた。 自己紹介を見てみると、田んぼから出た稲わらを飼料として牛に与え、牛の糞を堆肥として田んぼに還元する「循環