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黄色い家②

前回の感想の続きになります。
忘れそうなので気分ではないけれど書きます😤

川上未映子著 黄色い家の感想(ほぼネタバレ)です。
まだ未読の方はご注意ください。


前回は黄美子が風水をちょっと信じている、ということから、花が風水を気にしはじめるところまででした。

風水、特にというか、ほぼ金運にしか興味のない花はそれから黄色いものに興味を持ち始めます。

ですが!その前に!
花は帰ってきたり来なかったりする母親、愛と生活を共にしていました。
トロスケという彼氏に惚れ込んだのか、しばらく帰ってこなくなった愛でしたが、黄美子さんが突然前触れもなく帰ってこなくなり、入れ違いに彼氏と喧嘩でもしたのか、愛が帰ってきました。

こんな生活は嫌だとずっと思っていた花は、高校生になりバイトを始めます。
ファミレスで高校生活の全てを捧げてお金を稼ぎました。
その額75万円ほど。
それを大切に靴の箱にしまっていたのです。
ところが、ひょんなことからそれをトロスケに盗まれてしまいます。
愛と別れたくなかった腹いせに持っていってしまったのです。

そこから花の金への執着が始まります。
高校生活を捧げて必死に貯めたお金、それを盗まれたのです。
花にとってはとてつもなく大きなショックだったでしょう。
そして、たまたまあった黄美子さんに
一緒に行く?
と言われ、
行く!
と即答し、花は黄美子さんの家に住み、スナックれもん、を2人で始めるのです。
れもんももちろん、黄色いから選ばれたのです。
花はまだ未成年でしたが、お酒には強く、こぢんまりしたスナックが性に合っていたのか、順調に仕事をこなします。
しかも、ファミレスの時給では何ヶ月もかかるお金が簡単に手に入るようになり、金銭感覚が狂い始めます。
さらに黄色いものを集め、黄色コーナーを作り、毎日毎日掃除をします。

そんなこんなで順調に働き出した花。
たまたま知り合った元キャバ嬢の蘭とたまたま店に訪れた桃子も加わり、共に生活もし始めます。
ここで花にはなかった、家族、家庭、というものが疑似家族とはいえ、花にとって何がなんでも守るべき存在になって行きます。

そんなある日、れもんが入っているビルで火災が起き、れもんは閉店を余儀なくされます。
花にとっては、大切であったれもんから繋がる家族を守るために、もっとお金を稼がなくては…という気持ちが増して行ったのでしょう。

受け子というものに手を出してしまうのです。

そこからの花の変貌ぶりというか、狂気を感じるほどに黄美子さん、蘭、桃子に対してももっとお金を稼ぐようにと、受け子を一緒にさせるようになり…
側から見たら本当におかしいことなのに、まるで花が正しいような、そんな気までさせられるほどわたしは花の気持ちで読んでいました。

黄美子さんはその後忘れた頃に、監禁容疑で捕まっており、冒頭ではそれを恐れた花が蘭に連絡をとるところから始まるのですが、最後花は黄美子さんに会いに行くのです。
そこから先は…ここまで語ったけれどナイショにしておきます。

慌ててアップしたのはこのニュースを見たので🥲🥲🥲

出し子(受け子)と聞いて鳥肌が立ちました。

黄色い家では花たちはカードを3枚受け取り、なるべく人がよく使う都心のATMで引き出すように、と指示されていました。

最初はビビっていた花も、だんだんそれが普通になり、周りを巻き込んで犯罪を犯していく…
それが自分を守るためだと信じて。
半ば宗教的な何かを感じました。
ここにいる偽装家族はわたしが守って、みんなも守り続けなければならない。
そうでないとそうでないと…
ネグレクトで育てられた花はきっと見捨てられる不安もあったはずです。

人は貧乏になりお金に困ったら、真っ当になんとかしよう、と思う前に、誰かから借りられないか、どうにか1人でなんとかできないか、そう思ってしまうことが、孤独ならばあると思うのです。

その社会の闇にメスを入れた素晴らしい作品だと思います。

後半は雑になってしまったけれど、ぜひご一読ください🌙

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