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リモート女子会における最強の背景を発見した話

今や猫も杓子もリモート飲みが花盛りである

テレビ電話機能というのは10年以上前のガラケーにも搭載されていたのだけれど、当時は会いたくて会いたくてすぐ震える若い子達くらいしか使ってなかったように記憶している

それが新型コロナをきっかけにzoomやLINEで爆発的に普及してしまい、恐ろしいものでコロナ禍以降これが当たり前に生活に浸透してしまったし、目新しさの段階はもうとっくに過ぎてしまった

一人暮らしで不要不急な創作活動を家で黙々と続けるクリエイターの端くれである私など、下手すると一週間くらい誰とも合わなかったり一日中声も発しない日もある生活なのに、そんな私にまでリモート飲みという文化はやってきたのだ

私が使っているのはzoomで、仕事では時折カウンセリングのような個人セッションをしているし、周りにはこの手のツールに積極的な友人知人も多いので誘われるままいわゆるリモート飲みにも時々参加させてもらっているのだが

人数が増えれば参加メンバーに割り当てられるそれぞれのスペースも画一的に小さくなるので没個性化し、よほど本人や画面に前のめりな特徴がないと特定の誰かの画面に目を奪われることはない

ここではひとまず本人の特徴の話は置いといて、画面の特徴の話をしたい

画面の特徴と言えばその背景

世間ではリモートワークやリモート飲みは生活感のある背景が見られてしまう云々が多く語られ、プライバシーの侵害を叫ぶ者や過剰な演出をする者がいる一方で、インテリアに無頓着だった大方の普通の人々はそれをなんとかしなければ、と余計な突っ込みが入らない背景を家の中で探し回ったり、現実逃避したバーチャル背景や突貫DIY、さらには背中に背負える便利グッズ等が次々に出てきてライフハックなネタに事欠かない

もしくは生活感が溢れる背景でもペットの犬猫が無防備に侵入して来れば優勝!みたいなお約束がまかり通っている中で、この無意識の「背景ジャンケン」マーケットに思わぬ角度から切り込んできたある背景に目を奪われたのである


それは婚礼家具だった


婚礼家具(イメージ)

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リモートでもリアルでもよく交流する友人Sりんはいつもプライベートで家からzoomする時はこのようなシンプルで落ち着いた雰囲気の木製のタンスの前にポジショニングしている

実際のリモート飲みではタンスは画面いっぱいに映り込んでくるので一瞬木の壁のように見えなくもないが、ある理由により次の瞬間にタンスと分かるので、初回のzoomの時に「Sりんはタンスの前にいるんだね」と何気なく確認し「そうだよ」とだけ言われて以来、それ以上そのタンス自体には特に何の感想も感情も抱くことなく、毎回「Sりんの背景にある普通のタンス」として見ていたのである

ところがこれはただのタンスではなかったのだ

先日、同じマーケティング塾に属する7名ほどのzoomによるリモート飲み会が開催された時のこと

参加メンバーの一人が都内でラムチョップのお店をやっているのでそこの商品をそれぞれが通販で購入し、画面の前で一緒に食べながら感想を言ったり売り方を考えたりしようという、実にwithコロナの今っぽい趣旨で招集されたのだ

が、蓋を開けてみると参加メンバーは全員50代以上の仕事を持つ女性だったので、急遽「オトナの女のラムチョップリモート会」という、一歩引いてみるとどこか空恐ろしいような、何ともアンタッチャブルな、下手に男性がツッコミを入れたら火だるまになりそうなタイトルが付けられてzoom飲みは始まった

あろうことか53才の私が最年少、もう大人過ぎる女だらけで同じ骨つき肉をPCの前でそれぞれが食らうという、ひと昔前だったら意味不明過ぎて信仰宗教と間違われそうなイベントである
時代は音を立てて変化しているのだ

中には初対面のメンバーもいたのでそれぞれの画面背景にも話が及ぶ中それは明かされた


「これ婚礼ダンスなの」

この、Sりんが何気なく放ったパワーワードでオトナの女達は色めき立ち、場は一気に熱を帯びた


画面左上、婚礼ダンスを背負ったSりん

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私がこれまで何度も画面越しに見慣れていた品の良い落ち着いた雰囲気のタンスはただのタンスではなく、婚礼した者にしか所有することが許されない嫁入り道具の代名詞である婚礼ダンスだったのだ

そうと判明した瞬間から、何も考えずにいつも見ていたSりんのタンスが私のフシ穴だった目には燻し銀の印籠に見えてきたことは言うに及ばない

一生ものの婚礼ダンスには一瞬もののウエディングドレスのような浮ついた感じはなく、地に足がついた覚悟や娘の幸せを願う親の思い、果てはタンス職人が匠の技で正確に木を組む時の息吹まで感じられて尊みが深いからである


zoom背景としての婚礼ダンス、これは強い、強すぎる


婚礼家具には「一生もの」と言う枕詞に集約されてる品質の良さ、存在感があるのにどんな部屋にでも馴染むシンプルで機能的で間違いのないデザインと色、何より人並みに家庭を持ち祝福を受けた経験のある女としての安定感が漲っていて、どんな洗練された海外のデザイン家具でも太刀打ちできない強さと重みと圧倒的な正統性が備わっている

婚礼経験のない私は当然持っていないので、婚礼家具について知識としては知っていても一般的な50代の女性であれば時代的に見ても家に鎮座してる確率が高い婚礼ダンスを画面で見かけても、すぐにそれとは思いつかなかったのである
経験が無いとはそういうことだ

そんなパワーワード、パワー背景としての「婚礼ダンス」からオトナの女たちの話は止めどなく盛り上がっていった

もう一度言うが参加メンバーは全員50代以上、普通の人生を送っていれば「婚礼ダンス」には誰しも一家言を有する世代である

20年以上当たり前に家に婚礼ダンスが鎮座している者もいれば、既に手放している者、引越しを考えてていい加減処分しようにも百科事典と同じく今は需要がないので有料で引き取ってもらうしかないと言う者、婚礼ダンスはあるけれど現時点では婚礼が解消されている者、そして婚礼ダンスに全く縁がないままここまできてしまった者(私だ)

そんな婚礼ダンスについての悲喜こもごもを開けっぴろげに語り合い、酸いも甘いも修羅場もくぐってきたオトナの女たちは3時間も爆笑しながらラムチョップを頬張り、それぞれに明日への英気を養ったのである

ああ楽しかった、次回はいつだろう


話を戻すとzoom背景についてである

一般的に落ち着いたカラーでツヤもあり主張しすぎない婚礼ダンスはある程度の面積もあるので、家の中に適当な無地の壁がみつからない場合はzoomの背景としても十分機能するので持っている女性は使ってみてもいいと思う

口に出さなくても「これは婚礼ダンスなの、ホホホ」とか思いながら隠れた女性最強の背景としてしれっと使っていてもいいし、何かの拍子に明かすと今回みたいに盛り上がったりしてとても楽しい

さて、最後にこれまで何度もSりんの背景としてのタンスを見てて発見した、どうでもいいような情報を付け加えておきたい

婚礼ダンスは洋服ダンスと整理ダンスの通常二棹がセットなので並べて置いてることが多いと思う

zoomの背景に使うなら、洋服ダンスのみを背景にした方が扉のラインがあっても縦線なので壁っぽく見えるからわりと自然に映るのでおすすめ

人数が増えれば壁にしか見えないだろう

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一方整理ダンスの方は引き出しの横線ラインが目立つのでタンス感が出易く、特に洋服ダンスと並んでるその境目が映り込むと一目でタンスと知れるから生活感を出したくないなら避けた方がいいだろう

これだとどう見てもタンスである

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因みに今「婚礼ダンス」と検索すると処分の仕方や引き取り価格について山のように出てくることに正直驚いた
せっかくの立派なタンスも時代と共に住宅事情や婚姻事情が変わり、売れもせず持て余している女性も多いようだ

もう何十年も存在を意識することもなく、人によっては処分に困ったまま家庭に置かれている婚礼ダンスがあるならば、この際「女のリモート飲みで最強の背景」として再び光を当ててみるのも新しい生活様式の一つとしてアリかもしれない

私もこの先の結構限られきた人生において、婚礼ダンスを背景にリモート飲みをすることをささやかな夢の一つに加えてみたいものである



これまでは主に心理カウンセラーとしてアメブロに記事を書いてきたので良かったらそちらもどうぞ

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