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法律事務所のDX〜LINE導入編〜

はじめまして、弁護士法人PRESIDENT「DXチーム」です。

DXチームはエンジニア・デザイナーで構成されています。
取り組む課題の特定から、課題解決の手段の策定、実際に弁護士やスタッフを巻き込んでのオペレーション構築やシステム導入などを主導しています。

今回は、弊所でも大きな取り組みとなる「LINE導入」についてお話をさせていただきます。

1.なぜLINE導入なのか

私たちとクライアントとの接点が主に電話・メールのみという状態は、顧客体験を損ね、結果的に機会損失に繋がる要因になっているのではと考えたためです。

電話によるお問い合わせ = 機会損失というわけではありません。
・電話で直接話すことで安心感が得られる
・電話のほうが誠意が感じられる
・文字を打つより話したほうが早い

こういったメリットがあることも十分に理解しています。

その反面
・電話が込み合っていて繋がらない
・繋がったものの担当者が応対中で取次まで時間がかかった

などのデメリットがあることも事実であり、弊所においても同様のお声を頂いています。

この記事を読んで頂いている方々の中にも、デメリットにあるような経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。

弊所ではその点に着目し、電話だけでなく、気軽にコミュニケーションが取れるツールを導入すれば、弾み車にある「顧客体験の向上→高い紹介数/受任率」に繋がっていくのではと考え、多くの人が利用している(※)LINEの導入に踏み切りました。

▶参考:LINE利用率8割超え:10~50代まで8~9割が利用

2.LINE導入により何を目指すのか

目指す結果は主に3つ。

1つ目は顧客体験の向上です。 チャットボット機能などを活用した自動応答サービスを提供することで、
・電話問い合わせ自体の苦痛
・取次ぐまでに掛かる待ち時間のストレス
・営業時間外の問い合わせが行えない制約

といったクライアントに掛かるあらゆる負荷の軽減を見込んでおり、それらが解消されていくことで顧客体験の向上に繋がると考えています。

2つ目は業務改善です。
弊所では受発信合わせて月に7,000件近い通話オペレーションをこなしていますが、LINEによる対応が定着していけば自然と通話オペレーションの母数が減り、結果的に業務改善に繋がると考えています。

3つ目はより高い顧客体験の可能性です。
チャットボットによる質問への回答や、現在の進捗の確認、必要書類の授受など、LINEには電話や郵送、メールよりも高い顧客体験を提供できる可能性が大きくあります。

3.導入に向けての技術選定

結論ですが、導入したソリューションは株式会社PHONE APPLIが提供するPHONE APPLI LINER(以下LINER)となります。

弊所では、お問い合わせ・ご依頼頂いたクライアントの管理をSalesforceで行っておりますが、LINE導入にあたり以下のような要望が上がりました。

【経営サイド】
・できれば、費用を、抑えて…(切実)

【運用サイド】
・LINE公式アカウント(チャットのやり取り)とSalesforce(クライアント情報の把握)でブラウザを行き来・情報の散在によって業務効率が下がってしまうので、Salesforce上でLINEのチャットが利用出来るとありがたい

これらの要望を満たす製品として株式会社テラスカイが提供するOMLINE-Iも比較対象としましたが、以下にあるような導入のしやすさなどの観点からLINERを導入するという結論に至りました。
・導入作業のハードルが低い(殆どの作業を弊所内で完結出来る)
・株式会社PHONE APPLI提供のトライアル環境で動作検証が行える
・弊所Salesforce検証環境への導入が行える(一部機能制限あり)

4.導入に向けての取り組み

LINER導入が決まってからの大まかな作業の流れ(目的や結果)をご紹介させていただきます。

(1)導入前のLINE試験運用

【目的】
・実際にLINEを利用して頂けるクライアント数の割合把握
【結果】
130名のクライアントへ友だち登録・LINEによるお問い合わせ窓口開設のご案内を実施
・結果107名(全体の82%)のクライアントに利用して頂けた

(2)トライアル環境での動作検証

【目的】
・LINER経由でのお友だち登録〜Salesforce連携までの流れを理解
・LINERから提供されている機能の設定方法などの把握
・LINER導入で運用が回るかどうかの認識擦り合せ
【結果】
・LINER利用方法、友だち登録後のSalesforce側の挙動を把握
・LINERでカバーしきれない機能を独自実装で補完
導入することで業務効率が下がりそうな課題を抽出

(3)検証環境へのLINER試験導入

【目的】
・LINERインストール及び利用可能状態にするための手順確立
・弊所Salesforce設計に当てはめた場合の運用イメージ擦り合せ
【結果】
・インストールに必要な作業の洗い出し(一部設定漏れがあったが、本番環境導入時の要チェックポイントとすることができた)
・導入にあたり必要な設定、運用上見直しが必要な作業の洗い出しなど、様々な課題を抽出

(4)本番運用に向けた事前準備

【目的】
・導入にあたり浮き彫りになった課題の整理と改善
・LINER経由で友だち登録を行う場合の制約に伴うSalesforceデータ補正
【結果】
・課題の改善及び新しい運用ルールに基づいたメンバーの教育
・データ補正及び項目の最適化

(5)本番環境へのLINER導入


SalesforceにLINEが埋め込まれた画面 画面右側がLINE


【結果】
・独自実装機能によりLINER経由で登録したお友だちがSalesforceに同期されない問題が発生
・本番環境で運用を開始することで新たな課題が浮き彫りに

5.まとめ

LINE試験運用の段階で、
利用率が82%であったこと
LINEが使えるようになってありがたいというお声を頂いていたこと
という結果を得られていたため、LINE導入に対するクライアントの期待値は高いと判断しています。

とはいえ、運用を開始してみて初めて分かる課題に直面していることも事実ですので、これから改善に努めていきたいと思います!

最後までお読み頂きありがとうございました。

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