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“誰がやってるのか分からない仕事”ありませんか?

皆さんの会社に、誰でも常に自由に使える物品がないでしょうか。
業務と関係のない福利厚生品は別として、ないと仕事に支障をきたす物品が『仕事に支障がないように』という理由で自由に使えるようになっている。

消耗品置場の物品、
社内システムのアカウント、
お客様へ出すお茶のストック、などなど。

その物品、いったい誰が管理してるんでしょうか。
まさか、“誰も管理していない” なんてないですよね???

――いつもお読みいただきありがとうございます。
または初めての方も、この記事を見つけてくださって嬉しいです。

私は、システムの開発に携わっております、エンジニアの中島と申します。
この 絶対バグらないシステム作ろうぜの会 では、バグの出ないシステム・問題を起こさないチーム運営のやり方などを、なるだけ面白く・分かりやすくお伝えする主旨で記事を配信しております。


1. 目に見えない資源は“リソースマネージャー不在”になりやすい

理屈の上では、社内にある全ての物品には管理者がいます。
管理者は特にいないけど自由に使えるなんてことはありえないわけで、これは一般家庭のポットのお湯・トイレットペーパー・ゴミ箱等と同じです。

“いつでも自由に使えるからには、いつでも自由に使えるようにしてくれている人がいる” のです。
この人物をリソースマネージャーといいます。

目に見える消耗品の類は、さすがに管理者がいないことは少ないでしょう。
“足りなくなったら足さないといけない” ことが直感的に分かるからです。
(それが分からない人は、おそらく家庭でも奥さんに「トイレットペーパー補充してっていつも言ってるでしょ!?」とか怒鳴られているのではないでしょうか)

ですが反面、目に見えない資源は管理者が不在になりがちです。

たとえば社内システムのアカウント。
アカウントの有無そのものは管理されていることが多いでしょうが、これが『アカウントへの許可の付与状況』となるといかがでしょうか。

ある日一番下っ端の新人A君に、上司が休むからということで、最上位の管理者権限を割り当ててしまったとします。
すると、それを休み明けに戻すのを忘れてしまったら、新人君は社内の全システムに常に自由に入れることになってしまいます。
このとき、最上位権限の貸与があくまで上司の個人的な都合で行われたことで、本人達以外誰も感知していなかったら、問題はないのでしょうかね?

さらに、もし仮に新人君の操作ミスによりトラブルに発展したら、割を食うのは誰でしょうか。

許可なく権限を変更した上司が責任を負うならまだいい方でしょう。
場合によっては『新人君の個人的な責任』ということにされてしまったり、あるいはなぜか『情シスは監視できるはずなので監視すべきだった』なんて謎の判決が下されてしまうことだって、ありえなくはないのです。

管理者がいないということは、トラブルの際に誰が責任をとることになるのか分からないということだからです。

もしくは “スキルリソース” なんてのも、管理を放置されてしまいがち。

社員1人1人が持っているスキルは、とりわけ業務との関連が深いものほど “会社が保有する資産の一部” ですから、自分達にいったい何ができるのかを把握するためにも管理が必要です。

ですがスキルは会社のものである反面、個人の所有物でもあるわけで、だからプライバシー保護の意識が強い会社ほど管理を躊躇する傾向があります。
結果、『あの人が辞めたため、今までできてた “アレ” ができなくなった』ことに、本人が辞めてからようやく気づくことも日常茶飯事です。

そういう会社で、もし仮に誰かが責任をとるとしたら、誰がとることになるんでしょう。
その人の引継ぎを受けた新人君に対し、『当然できて然るべき “アレ” ができない』という不当な評価を下してしまったり、または “アレ” ができる人を探す責任を上司が個人的に負ったりすることもあるかもしれません。

2. 管理者不在リソースの探し方

本来は管理されているべきリソースが放置されていないかは、以下の3ステップで探すことができます。

STEP1. ファンクションリストを作る

ファンクションリストとは、業務に必要な作業を一覧化したものです。
たとえば営業活動で “名刺集め” という業務があったとすると、集めた名刺は営業マン各人が個人的に持つのではなく、集約管理する必要があります。

  • 集めた名刺はどこに集約するのか?

  • 記載されている個人情報をどうやって保護するのか?

  • 古い情報の取捨選択は誰が・いつやるのか?

  • リード顧客リストへの転記はいつ・誰がやるのか?

こうしたことを考えていくと、業務には意外と細かいステップがたくさんあります。
かつそれらステップは、あらゆる意味で個人間でそれぞれ全く違う、ということはないはずで、明文化されなくても『ところどころは人によって違うが、だいたい決まっている』はずです。

なので、みんなのその “だいたい決まっている手順” を平均化して文章化したもののことがファンクションリストです。
これを作っておくと、社内マニュアルの作成時や業務改革のときなどに大変便利に使えます。

STEP2. 「なぜその業務が正しく行えているのか」を考える

ファンクションリストにある細かい作業のうちの大部分は全て、何らかの形で会社の道具・リソースを利用します。
会社の資産を使わずに作業できる仕事は、思考だけで完結するものに限られるはずです。

それ以外の大部分は、名刺入れ・名刺管理アプリ・シュレッダーといった細かいものも含め、あらゆる作業に資産が必要となります。
そしてそれらの資産は、あらゆるものに管理が必要です。

業務は、“それ” があるから巧く回っているのです。
ですので、“それ” をリストアップすることが、管理者不在リソースを探すうえで重要なことです。

STEP3. 「そのリソースがなくなったら一番困るのは誰?」を考える

会社の資産を利用する以上、“それ” は同じ業務が何回でも繰り返せるよう、適切に管理されなければいけません。
その際、そのリソースを利用できなくなったら一番困る人が、そのリソースの本来の管理者です。

本来の管理者は、そのリソースを自身で管理するか、もしくは最低限『このリソースを管理している人は誰か』を把握しておかなければいけません。

ですが、仮に “それ” を特定の人が1人で管理するのは、忙しくなりすぎて現実的ではないかもしれません。
ですので、棚卸しをして順番に解決する必要があります。

解決法1: リソースは“トラブルの大きい順”に棚下ろす

1つ目の方法は、『トラブルになった際に大問題に発展しやすい』ものを優先的に棚卸すことです。

たとえば集めた名刺を一時的に集約する《名刺入れ》が営業チームの共同資産としてあった場合、これが管理者不在になるのは非常に大問題です。
(まぁ、そんな会社普通ないでしょうが、、、)

万が一外部に漏れた場合、個人情報保護法上のトラブルになるし、他のトラブルと積み重なった場合は裁判沙汰もありえます。
そのような、トラブルになった場合に大ごとにつながりかねないものほど、優先的に管理が必要です。

またこのことは、『トラブルになったら何が起こるか』を関係者全員が理解していることも前提となります。
大学卒業したての新人君の中には、名刺の放置が裁判沙汰になるなんてまさか夢にも思わない人もいます。

そのような甘い認識が長らく放置されてしまわないよう、リソースの管理者を逐一はっきりさせていくことが重要です。
逆にいえば放置してもトラブルにつながらないリソースは、がんばって一生懸命に管理するのははっきりと無駄です。

なぜならリソースとは『トラブルを防ぐために管理する』ものだからです。
トラブルを防ぎたいから管理をするのであって、ゆえに管理されていないとどんなトラブルが起こるのか、リソースを利用する人がしっかりと把握していることが重要となります。

その認識がなく『あって当たり前』になってしまうことが、“それ” を失ってから後悔することになる原因なんじゃないかなと、私なんかは思うわけです。

ではまた。

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