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ボードゲームのすゝめ 第1弾 ボードゲームの制作フローと設計思想 「まことしやかに」

はじめまして。ゲームデザイナーのユウヤです。

今回、私は「まことしやかに」というボードゲームを制作しました。
企画 → デザイン → 印刷発注、までの全ての過程を1人で担当してみました。

ここでは、今回のボードゲームの制作を通しての気づきや反省点などを振り返る機会として、設計思想から印刷までの全ての制作過程を記事にまとめてみようと思います。

これからボードゲームを作ってみようかな、と考えている方がいましたら、ぜひ、参考にして頂けたら幸いです。

ボードゲーム制作に必要な3つの要素

私がゲームを作る上で、共通して大切にしてることが3つあります。
それは「コンセプト・ジャンル・アクション」この3つの要素です。
どれを並べても矛盾がないように作ることを意識しています。

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『ボードゲーム制作に必要な3つの要素』

コンセプト決め

まず最初に、ゲームを考える前に必要な過程として、コンセプト決めがあります。コンセプトを決めるという行為は、「このゲームで与えたい体験は何か」を考えることです。

順番は問いませんが、体験と言うコアな部分を決めておかないと、軸がブレブレになります。

まずは、遊んでもらった人にどんな体験を与えたいのかをじっくり考えることで、この後の制作がよりスムーズになるかと思います。

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『お題にあった好きなワード』

今回、私が決めたコンセプトは、「質問を重ねて相手の好きなものを知る体験」です。初めて同士の人も、気心が知れた人も、相手のまだ知らない一面をゲームを通して知れたら、とても素敵だなと思い、このコンセプトに決めました。

ジャンル決め

次は、実際にゲームを固める為に必要な要素として、「与えたい体験にあった遊び(ジャンル)を考える」ことです。

ジャンルとは、資源管理、パズル、クイズ、レース、などなど、多種多様に存在するゲームのベースとなる遊びのことを指します。

コンセプトで決めた体験に、最もマッチする遊びは何かをここで何度も試行錯誤します。

例えば、「質問を重ねて相手の好きなものを知る体験」を再現する為には、お互いがクイズを出し合い、答え合う形式にすることで、その体験を擬似的に再現することができると思います。

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『YES・NOで答えられる質問』

しかし、ただクイズし合うだけでは、とてもゲームとは言えないですし、面白味がありません。そこで、次のステップでは、ゲームを面白くするアクションを考えます。

アクション決め

ゲームを面白くする為に必要なこと、それは、「どんなアクションを起こして、ゴール(体験)に導くか」を考えることです。決めたジャンルから逸脱しないように、プレイヤーにどんなアクションをさせるかを考えます。

アクションを考える上で、個人的にとても重要だと思ったポイントを3つ紹介します。

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『アクションを考える上で重要な3つのポイント』

① 勝ちパターン(セオリー)を複数作る
勝ち筋が一つしかないと途端に味気のないゲームになってしまいます。飽きのこないゲームには、必ず複数の勝ちパターンがあるはずです。自分だけの勝ちパターンを模索できるようなゲームだと、何度リプレイしても、その鮮度は衰えません。

② 取らせるアクションは少なくする
どんなに難解なルールでも、取らせるアクションは少なければ少ないほど良いと思います。私は、プレイヤーに取らせるアクションは最大3つまで、という縛りで作っています。アクションを複雑化しすぎなければ、ルールが難解でも、ある程度理解できます。理解ができる、できないは、面白いの指標として非常に大切なことだと思います。

③ 選択に葛藤(ジレンマ)を作る
ただ回答して得られた体験と、葛藤の末に得られた体験では、インパクトが違います。適度なジレンマを作るコツは、リスクとリターンのバランスを最適に保つことです。どちらかの比重が大きすぎると、選択肢に葛藤が生まれません。

上記を踏まえて、今回のゲームでは、「2つの勝利パターン、3つのアクション、真と嘘を選択するジレンマ」を用意しました。

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『まこと(真)・まことしやかに(嘘)』

<2つの勝利パターン>
1. 相手の好きなワードを当てた方が勝利となる
2. ドローになった時 (お互いに好きなワードを当てた時、外した時) は、「まこと(真)」を多く使っていた方が勝利となる

<3つのアクション>
1. 質問する
2. 解答する
3. 真か嘘か選ぶ

<真と嘘を選択するジレンマ>
1.「まこと(真)」を使いすぎると相手に自分の好きなワードがバレてしまう
2.「まことしやかに(嘘)」を使いすぎると、ドローになった時に不利になる

本ゲームは、この3つの要素によって、全てが成り立っています。体験としては簡素ですが、3つの要素を上手く絡ませることで、ゲーム性が担保されています。

モチーフ編

モチーフを決める順番は、どの順番でも問題ないと思います。モチーフから入ることもあれば、最後まで決まらないこともありますし、途中で変わることもあります。

私は、体験を決めて、ジャンルを決めて、アクションを決めた後の方が、モチーフが決めやすいので、この順番にしています。

モチーフは、ゲーム全体の立て付けだと考えています。パッとみた時にストーリーを彷彿とさせるようなモチーフがベストだと思います。

今回、私が選んだモチーフは「ことわざ」です。

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まことしやかに
『訳:本当ではないのに、いかにも本当らしいさま』

「真と嘘を織り交ぜて相手の好みを探り合う」というアクションを、表現するのにピッタリだと思い、タイトルを即決しました。ゲーム全体の雰囲気も「まことしやかに」を表現するような、印象に残る赤を基調とした和風で、デザインしました。

イラスト編

カードとパッケージイラストの制作は、Canvaを使用しています。

FireShot Capture 048 - グラフィックデザインを無料で簡単作成 - www.canva.com

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無料で使用できる範囲が広く、画像の品質を損わずに保存することが可能です。保存した画像をPhotoshopで加工して、印刷用に準備します。

印刷編

今回の印刷では、アリババを使って、中国の深センの企業に印刷を依頼しました。

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やりとりは基本チャットになります。また、言語は英語を使用します。私は英語が得意ではありませんが、Google翻訳を活用すれば、特に何の支障も無くスムーズに依頼することができました。

最初に、複数の企業に見積もり依頼を出します。その後、一番安価で安全だと思う企業を選び、印刷の依頼を進めます。

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『実際に使用した見積書』

結果として、日本の相場よりも少し安く済ませることができました。また、カードの材質も、光沢/マット/布目エンボス、どれを選んでも料金に差はありませんでした。

箱のサイズに関しても、こちらから指定すれば、自由に変更が可能です。ただし、表箱と底箱で離れた仕様にすると、若干料金が高くなります。他にも箱詰め、シュリンク包装などのオプションも付けることが可能です。

※これはあくまで私の事例ですので、アリババで印刷を発注する際は、全て自己責任でお願いします。

最後に

初めてのボードゲーム制作ということもあり、不慣れな部分も多々ありましたが、自分で0からゲームを企画して、実際に商品化するところまでを経験できて、本当に楽しかったです。

今後も、新しいボードゲームをいくつか企画していますので、暖かく見守って頂けたら幸いです。最後まで見て頂きありがとうございました。

※本作品は、ゲームマーケット公式ECサイトでも販売予定です。




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