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畜産してる人が、除草するメリットは

今年も、だんだんと暑くなって、関東ですら梅雨入りか?というような
暑さを感じ始めている。
そして、梅雨すら開けてしまえば、酷暑になることだろう。

畜産を生業とする人々が除草する理由

水も、太陽光も、あれば茂るのが雑草
その雑草を放置するとろくなことがない。
害獣でもあるネズミの隠れ場所になったり、吸血性のあるハエであるサシバエなどにより、ストレスがかかるだけなく、病気を媒介する可能性は否定できない。

牛を守れ!動物たちを襲うサシバエを駆除・予防する方法を一挙紹介|生活110番 (seikatsu110.jp)

畜舎周囲の環境を整えることは、病気の発生を抑えることにもつながる。
除草をしっかりと行う事が必要なのか、どんな除草方法が良いのかなど書いてみる。


①規則的な問題

畜産に携わる人々は、守らなければならないことがある。
それが、『飼養衛生管理基準』である。

『飼養衛生管理基準』が何かというと、
農林水産省の飼養衛生管理基準は、家畜の飼養に係る衛生管理の方法に関する基準を定めています。家畜の所有者はこれに従い、家畜の飼養に係る衛生管理を行う必要があります1。また、飼養衛生管理基準の遵守状況や取組事例なども公表されています。2

衛生管理を行わなければならないことが規則として定められており、
その中には2項目除草について言及している。
〔野生動物に関する事項]23項目目 衛生管理区域への野生動物の侵入防止
[飼養環境に関する事項]32項目目 衛生管理区域内の整理整頓及び消毒
において、除草において言及されています。

もう少し、飼養衛生管理基準の2項目について詳しく話そうと思う。
なお、引用は、飼養衛生管理基準遵守指導の手引き(豚及びいのししの場合)
から行う。


〔野生動物に関する事項〕23項目目 
衛生管理区域への野生動物の侵入防止

・ねずみ等の 野生動物が隠れる場所をなくすよう、防護柵周囲の除草その他の必要な措置を講ずるこ と。
・野生いのししの排せつ物等に病原体が含まれている場合には、ねずみ、イタ チ等の小動物の体表に付着して運ばれる可能性があります。防護柵等の周囲を除草や舗装することで、ねずみ等が隠れられる場所をなくし、ねずみやその捕食動物である イタチ等が衛生管理区域に侵入するリスクを低減することができます。
・防護柵等の周囲について、原則5m幅以上の除草や舗装等を行う必要があります。

文中にはこれだけ明確に書いてあるが、目的は明確で、衛生管理区域へ野生動物を侵入を防止する事が目的である。


〔飼養環境に関する事項〕32項目目
衛生管理区域内の整理整頓及び消毒

・衛生管理区域内は、ねずみ等の野生動物の隠れられる場所をなくすとともに、病原体が侵入した場合に当該病原体が残存しないよう、不要な資材等の処分、除草及び資材、機材等の整理整頓等を行って、敷地を定期的に消毒すること。
・衛生管理区域内を野生動物が身を隠しづらい場所とすること及び効果的な消毒を行い病原体が残存しないようにすることを目的として、不要な資材や廃棄物 (壊れた機材、ゴミ)等の処分、除草及び資材、機材等の整理整頓等を行って、定期的に消毒する必要があります。
・衛生管理区域周辺の農場敷地においても、雑草等は野生動物が身を隠す場所となることから、そのような場所の除草や消毒も実施する必要があります。

こちらは、23項目目の内容よりも敷地内部でねずみなどの野生動物が住み着くなどの農場内での感染拡大の防止などを考え整理整頓と除草を行い、消毒漏れのないようにすることを目的としているように思う。


②環境的な問題

規則がなかったとしたら、除草をすることは無意味なのかというとそうではない。

雑草が生い茂ることで、換気されにくくなる。
換気されないということは、結構致命的で、換気不良によるとアンモニアや硫化水素といった、有害物質が滞留しやすくなる。

それだけではなく、換気されなかったことで床が湿った状態が続くことで、病原菌の温床になりかねない。

雑草が生い茂り、丈も高くなることで、空気の循環を遮る。
そうすると暑い空気が滞留することに他ならない。

畜種や畜舎によっては、除草が必要なさそうなものもあるが、
それはあくまでも限定的な状況だけに限られるだろう。
環境的な問題を除いたとしても、除草する意味がある。


③害獣の隠れ家をなくす

①規則的な問題で書いていることだが、除草を行わないことで、
電気柵などで飼養衛生管理区域を区切っていたとしても、柵が有効に機能しているかを確認することが出来ない。
(というか、電気柵では除草不足で草が電気柵に接触すると、電気柵の効果が漏電によってなくなる)

また、ねずみなどの小動物の隠れ家にもなるだろう。
病気を媒介するといわれるねずみにとって、居心地の悪い環境を作ることは必要不可欠である。


④害虫の発生源をなくす

先ほどの害獣での話と同じく、害虫も様々な病気を媒介しかねない。


飼養衛生管理基準に書いてないこと

飼養衛生管理基準について、①規則的な問題で書いたが、書かれていない重要な点がある。
それは、『どのように除草するかは何も書かれていない』こと

除草してくださいって書いてあるのにもかかわらず、どのように除草するかは何も書いていないので、除草する手段は様々な方法がある。
・除草剤を使ってもいい
・草刈り機を使ってもいい
・防草シートで覆ってもいい
・アスファルトやコンクリートで舗装する
などなど、手段は多い。

どの方法でも長所や短所がある。

手段のマトリクス

DIYレベルで自宅で行うならともかく、畜舎や場内といった、広範囲を行うとなると、どの選択を取るかは非常に悩ましいところである。
最初にコストがしっかりかけられるなら、舗装してしまうのが最も良いが、
いかんせん高い上に、舗装自体の生産性が高くない。

安く済ませるなら、草刈り機や除草剤だが、草刈り機は燃料や歯といった準備を行ったうえで、野外で行う必要がある。
しかも、夏の時期では1回草刈りをしたのみでは間違いなく不十分である。

除草剤なら安価であるかもしれないが、1回散布したら半年除草できるものもあるが、2週間後にはもう一度散布しなければならないようなものまでさまざま。ある程度コストはかかるが、1回散布すれば半年除草できるもので出来るところはやってしまうのがベストではないだろうか。

しかし、ハイバー🄬X粒剤では除草しにくいものがある。


ササ・竹対策の除草剤

ハイバー🄬X粒剤と同じく粒状の除草剤
散布は比較的簡単であるものの、ササ・竹に効果があるという資料すらある
↓クロレートSの技術資料(タケ・ササ防除)

https://www.sdsbio.co.jp/products/docs/sds11912_202104.pdf


コケ対策

コケも一般的な除草剤では防除が難しい。
こちらは希釈して散布する液体の除草剤なので、散布機の準備が必要

しかし、コケ対策としては効果的らしい


最後に

畜産において、除草を欠かすことが出来ない。
しかも、除草しないわけにも規則的にもいかない上、
除草しなかった場合のデメリットが多い。

除草する方法は非常に様々あるが、畜産に携わる人口も減っており、
除草にかける時間をもっと牛や豚、鶏などのもっと手をかけていきたい
ところにかけるためには、除草剤の選択が必要不可欠だ。

『除草剤これ一本』という製品はない。
だからこそ、除草しなければならないものに対して、
しっかりと選択をしていく必要があると考える。

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