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クエン酸って、本当に万能

クエン酸って、めちゃめちゃ万能で、
家庭だけでなく、畜産でも幅広く使われる。

特に、暑い季節になればなるほど、
クエン酸の問い合わせは多い。

何せ、クエン酸は家庭の掃除でも使ったりするので、
流通量が多い。

だからこそ、他の有機酸に比べれば安い。

今回は、クエン酸の使い方や添加量について書いてみようと思う。

①養豚でクエン酸を

「豚は酸っぱいものが好き」というのは、常識らしい。
(子豚は別らしいが)
で、クエン酸を与えることも多くある。

あるのだが、どれくらい豚に与えたらいいのか、というのが問題になる。

沖縄県が、
「夏期における繁殖豚の飼養管理改善」
として、「クエン酸添加飼料の給与効果」というのを公開している。

https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/chikuken/kikaku/keyword_kara_sagasu/documents/35_15_1997_35-15_05-03_buta-kanri_gijutsu.pdf

この試験では、クエン酸を添加したことで、
・授乳期の飼料摂取量が多い傾向にあった。
・授乳期の体重減少率が少ない傾向にあった。
・授乳期の胸囲の減少率が少ない傾向にあった。
・平均発情再帰日数および離乳後10日以内の発情再帰率が、
 良い傾向にあった。
(初回発情時の受胎率、次産産子数には差は認められなかった)
とのことであった。

ここまで見ると、『いいじゃない』と思うのだが、問題がある。

この試験では、クエン酸を飼料中に3%添加している。
つまり、飼料1トンに30キロ入れている。
いくら安いとはいえ、30キロはまずい。
クエン酸は1袋25キロなので、1袋以上入れることになる。
正直、無理がある。

なので、養豚でクエン酸を与えるのであれば、
コスト的に0.3%~0.5%(飼料1トンに3キロ~5キロ)
ということになるらしい。



②ブロイラーにクエン酸を

ブロイラーという肉用鶏にクエン酸をあげたいという話もあった。

ブロイラーにクエン酸を2.4%や3%入れることで、増体率が増す傾向があるらしい。

https://ir.kagoshima-u.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=3587&file_id=16&file_no=1&nc_session=2qt9n73rulitkcm2g3ivaaorj0

鹿児島大学が出している、
「家禽における有機酸塩類の利用に関する研究」
を読んでみたが、実際のところ何とも言えない。
(上記URLの文章)

しかも、ここでも2.4%や3%なので、
飼料1トン中に24キロ~30キロのクエン酸を入れる試験をしているので、これもコストを考えると不可能であろう。

経験として、ブロイラーへのクエン酸の添加率として、
可能性を見出したいのであれば、0.4%~0.5%
飼料1トン中に4kg~5kg
実際の添加量としては、0.1%~0.2%になるらしい。
飼料1トン中に1kg~2kg



③クエン酸を水に溶かして与える

クエン酸には、結晶と無水というものが存在しているらしい。
畜産においては、無水が多い。
(結晶を見たことがない)

なんでかというと、混ざりやすさということもある。
言い方を変えるなら、クエン酸(結晶)の場合、
カチカチに固まることがあるらしい。
固まってしまったら、混ざるものも混ざらない。
混ぜ屋としては、作った製品としてのプレミックスや混合飼料、
原料といったものが固まってしまうということは大問題なのだ。

もう一つあるのかもと思ったのが、クエン酸としての含量
とあるメーカーでは、クエン酸の結晶と無水で、クエン酸の含量に差を作っているらしい。

原料によって、有効成分が原料のうちにどれくらいあるのかというのが、
差が存在しているものも数多くある。
だからこそ、計算が面倒になるクエン酸(結晶)を使用しないのではないかとも思った。

話を戻すが、クエン酸(無水)を水に溶かすことは可能ではある。
ただ、クエン酸単体を水に溶かすことで、畜産において試験を行った記録を見つけることが出来なかった。
なので、クエン酸を飲水で給与する事での具体的なメリットは明示できそうにない。



①養豚でクエン酸を
②ブロイラーにクエン酸を
③クエン酸を水に溶かして与える
の3つをお話したが、クエン酸を与える理由としては、
・夏の暑さに対する対策(暑熱ストレス対策)
・大腸菌症対策(EC)
・餌を食べなくなる夏時期の嗜好性向上
などなど。


クエン酸単体での使用の他に、他の有機酸と一緒に利用する方法もある。
クエン酸だけではなく、リンゴ酸や酒石酸、乳酸など
比較的手に入りやすい酸を与えるのも方法の1つ。

クエン酸回路なんていう、高校生物の勉強でも出てくる上に、
ノーベル賞も受賞している作用にもクエン酸が関わっていることから、
クエン酸と共に、クエン酸回路に関係する酸を加えるというのは選択の1つ
なんて言われたりしている。
(クエン酸回路については、勉強中なのでご容赦いただきたい)


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