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カビ毒について

混ぜ屋になると、聞きなれない言葉ばかりである。

カビ毒について、学ぶ必要が出てきたのも混ぜ屋になってからだ。

カビ毒というのが、問題であるというのは、
これまで聞いたことはなかったのだが、
カビ毒に対して何かしらの対策をしなければならないらしい。


さて、カビ毒だが、カビ毒のことをマイコトキシン(mycotoxin)と言うらしい。

このカビ毒、本当に多くの種類がある。
・アフラトキシン
・デオキシニバレノール
・ゼアラレノン
・オクラトキシン
など、本当に様々である。
詳しくは、農林水産省のHPをご覧いただきたい。

人が食べる食品であれば、農林水産省や厚生労働省が確認をしているのだが、
牛や豚、鶏などが食べるエサについては農林水産省の管轄だ。


そもそも、飼料の汚染については、
飼料安全法第 23 条第1号
(有害な物質を含み、又はその疑いがある飼料)への該当性を判断する基準として、「飼料の有害物質の指導基準及び管理基準について(局長通知)」
において、規定されている。

規定されているのは、重金属とカビ毒なのだが、
今回はカビ毒の話なので、重金属についてはまたどこかで、、、


カビ毒が畜産に与える影響があるのは確かなことであるが、
どれくらいの被害を与えているのかは、まだわかっていない。

しかし、それぞれのカビ毒がどのような影響を与えているのかは、
わかってきていることがある。


例えば、アフラトキシンであれば、
人が摂取すると発がん性があるとして、リスク評価をしている。
畜産において、アフラトキシンを気にかけているのが、乳牛だ。
エサであるトウモロコシなどがアフラトキシンに汚染されており、
牛乳に移行することを確認している。

最終的に検査をされているので、カビ毒に汚染されている牛乳が、
私たちの口に入ることはない。

アフラトキシンで言えば、肝臓に影響を与えるカビ毒なので、
肝臓障害や脂肪肝、慢性的な免疫力の低下により、
鶏であれば、卵が生まれにくくなったり、
乳牛であれば、牛乳の量が減ったりするのである。


他にも様々な毒があるわけだが、
これを完全に防ぐ方法は ”存在しない”

存在しないから何もしなくていいのではなく、
被害を最小限度に抑え、経済性を上げなければ、
経営は成り立たなくなるのだ。


では、カビ毒を抑えるにはどうしたらいいのだろうか?

カビ自体は、プロピオン酸などで殺菌するなど、方法はある。
しかし、カビは殺菌しても、カビ毒は残る。

そんなカビ毒に対応する方法は限られている。

・カビ毒を酵素や真菌によって無毒化する。
・何かに吸着させて、体外に排出する。
・肝臓に負荷がかかるのを、軽減する。

大きく分けると上記の3つに分けられる。

①カビ毒を酵素や真菌によって無毒化する。
この方法で毒を無毒化する方法もある。
しかし、この方法は現時点で唯一であり、無二である。


②何かに吸着させて、体外に排出する。
例えば、炭のような多孔質の物質に吸着させ、カビ毒を排出する方法。
炭だけではなく、珪藻土などの土、ゼオライトやベントナイトという鉱物、
酵母細胞壁になどに吸着させて、体外に排出させる。

吸着させるものが多いだけに、どれを選んでよいか悩むところであろう。


③肝臓に負荷がかかるのを、軽減する。
カビ毒によって、肝臓などに負荷がかかる。
負荷がかかるのであれば、その負担を減らそうという方法。

マリアアザミなどの植物から抽出したものを与えて、
肝機能を強化するなどの方法をとるが、
これには各社の工夫が出るところでもある。


カビ毒に対して、どのような方法を取るのかは、
農場の状況を鑑みた、経営判断である。


それにしても、奥が深いな、混ぜ屋の勉強


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