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生まれて初めてプラネタリウムで寝なかった日の日記

2024年6月、お友達から1通のお手紙が届いた。
美しい字で宛名が書かれ、きちんとシーリングで封をされた封筒を開けると、フワッといい香りが香った。
中身は「この前観たプラネタリウムがとても良かったから是非観に行って欲しい!」という趣旨の、便箋2枚のお手紙と、プラネタリウムのチラシ。
香りはプラネタリウム上映中に使用されているアロマの香りらしい。
(ショップで買ったアロマの香りを便箋に移してくれたみたい。)

このお洒落なお手紙が嬉しくて、今まで全く興味がなかったプラネタリウムというところに行ってみることにした。15年振りくらいのプラネタリウム。

鑑賞した作品はこれ
コニカミノルタ「アラビアンナイト ヒーリング ~ 星が舞う夜 ~」


以下、盛大にネタバレしています。ご注意下さい。

上映前にドームに映し出されていた映像。素敵。

上映が始まるとまず、ドームにドバイの街並みが映し出される。
「ここは大昔、広大な砂漠でした。人々が暮らしを便利にする為に建物を建て街を作り、今のこの煌びやかなドバイの景色が生まれました。」「でも少し奥へ行くと、今でも昔ながらの街並みが残っています。」的なナレーション※1が入り、今度はアザーンが響くスークが映し出される。そして「さらに奥へ行くと、今も広大な砂漠が広がっています。そして空を見上げると無数の星で彩られた美しい星空が…」でドームに星空が映し出されてプラネタリウムが始まる。

星や星座の解説はもちろん、それ以外にも途中、アラブとイスラムに関する解説もあった。
これは〇〇年前に、当時の最新技術と美術を詰め込んで建てられたモスクですよ、とか、イスラム教の教えでは、人類は皆平等で、1日5回の礼拝時間には身分に関係なく皆横並びで神に祈りを捧げますよ、とか。
そのおかげで、リラックス状態だけど全く眠くならずに観ていられた。
(私はプラネタリウムで100%寝るタイプなので、鑑賞前は「まあ半分くらい寝ちゃっても仕方ないな」くらいの気持ちだった。)

そして、最後のクライマックスのシーンは「いつの時代も、どこにいても、信仰があってもなくても、夜になると星空が見える。気持ちを落ち着けたい夜は星を見上げてみませんか。」的なナレーションと、広大な砂漠と満天の星の映像。
もうめちゃくちゃ泣いた…。

建物も、衣服も、何もかも…この社会のシステム自体も、全て人々が暮らしを便利にする為に作ってきたものなんですよ。
便利になるという効果以外に、特に意味なんてないんですよ。
この宇宙の下では、この地球という惑星の上では、人類どころか生物全てが平等で、ただ存在しているだけに過ぎないんですよ。
生まれた時代も、場所も、もはや人間に生まれたかどうかすら関係ないんですよ、皆星に導かれて生きてきたんですよ、この宇宙の中で。
という、この作品のメッセージ(勝手に解釈)がぶっ刺さると同時に、私の砂漠に纏わる幾つかの思い出たち……
半地下の教室※2で「大学生になったら絶対に世界一の砂漠まで旅をするんだ」と思いながら毎日朝から晩まで受験勉強をした18歳の夏を、
現実的にどうやったらサハラ砂漠に行けるのか分からなくて「鳥取砂丘でいいか」と夜行バスに乗って鳥取に行った19歳の夏を、
そして大学卒業直前、遂にサハラ砂漠に辿り着き、友達と、サハラに住むベルベル人の男の子2人と、一晩中語り踊った夜を、
砂丘に座って、美しいスーパームーン※3に照らされたどこまでも続くサハラを、ずっとずっと見ていたあの夜の気持ちを思い出して、
私は宇宙に生かされているだけの何でもない小さな存在で、だけど私の人生には意味がある……うわ~ん(泣)のタイミングでエンディング。

卒業旅行写真のうちの1枚@サハラ

最初に映し出されたドバイの街並みがきちんと最後に回収されるなど、話があちらこちらに移っているように見えて1つのストーリーにまとまっている!という驚き。
「祈り」とか「信仰」とか、日本人がアレルギーを起こしそうなものを星を介して理解させているのも良かったし、
定住の民(日本人)/星がほぼ見えない首都圏育ち/星に全く興味なしという私でもこんな感情になるくらい、星が心の中にあるんだ、星は世界共通のものなんだと感じられたのが良かった。

とても素敵な作品だった。

それにしても最近のプラネタリウムは映像も音響も綺麗で、匂いまで出てきて、まるでテーマパークのアトラクションみたい。すごすぎる。

P.S. サムネイルは数年前、七夕の日に石垣島で撮影したもの。満天の星空をしっかり見たのは人生でこの時1回だけ。星見に行きたいー!


※1 ナレーションは全て私の意訳。もしかしたら記憶違いな部分もあるかもしれないけれど、大筋はあっているはず。
※2 私の高校では当時、特進クラスの教室は2階だか3階だかにあり、成績下位のクラスには半地下の教室が割り当てられていた。
※3 1年で1番大きい満月のこと。サハラのキャンプ場に宿泊した夜がたまたまスーパームーンで楽しみにしていた星空が見られなかったけど、月も綺麗だったので結果オーライ。


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