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ソファーの上でロマンスを

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2004~2006 Novels Archive 大澤誉志幸さんの音楽から想起した物語。
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#掌編小説

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こんにちは。幸坂かゆりと申します。 こちらは更新、案内ページです。このマガジンは2004年頃から同タイトル『ソファーの上でロマンスを』という拙ブログにて書いていた短篇を纏めています。当初、敬愛するアーティスト、大澤誉志幸さんの曲名を小説化して書くという目的を持っていたのですが、あまりにも曲が膨大なのと自分で聴き込んでいないもの、難しいと感じるもの等が多くなり、当時は毎日のように更新していましたが書けないまま放り出した形になってしまいました。 けれど、大澤誉志幸さんのタイト

幸せな歩き方

「つきあっている人がいるんだ」  彼は彼女に向かってこう言った。好きです、と告げられた返事だ。 「そう、残念だわ」  彼女は淡く微笑んで答えたものの、一瞬だけ意気消沈した面持ちを彼に見せた。彼と彼女は同じ職場にいたが彼女が退職するという今日、会社を出てから外で声をかけられ、彼は突然、上記のような愛の告白を受けたのだ。  彼女を嫌いな訳ではなかった。快活で嘘のない笑顔がきれいで。ただ彼には恋人がいた、と言うだけだ。 「はっきり言ってくれてありがとう。仕事では今まで色々とお世話に

次のCurveまで

 真夜中、彼女に呼び出された。  呼び出しはいつも急だが、虫の知らせなのか、いつも5分程度で出掛けられるようにオレの準備が整っている時に連絡が来る。薄手のジャケットを羽織り、待ち合わせた場所まで車を走らせた。  既に彼女が待っていた。クラクションを軽く鳴らして合図を送るとすぐに助手席に滑り込むように乗り込んできた。 「久し振り。どうした? こんな時間に」 「いいじゃないの、たまには。ドライブしない?」  彼女は長年の女友達だ。シートに落ち着くやいなや、おもむろにバッグから煙

深層のプール

 仕事を終え、帰宅した加奈子は思わず家の鍵を乱暴にテーブルに置いた。  最近、自分を遠ざけるような態度を取る婚約者、浩樹に不信感と軽い怒りを抱いていた。浩樹は優しい人だ。以前なら会えない日には連絡をくれていた。けれど最近は特に「忙しい」と言う言葉が増え、その度に謝ってくるものの加奈子が連絡を入れないと浩樹から返事は来ず、時間だけが過ぎて行った。今日も約束を破った浩樹に謝られたが、忙しいと言っていることもあり、責めるのも躊躇われたため、消化不良のままだった。  気になった加奈

Private Heaven

 目を覚ますと、一瞬ここがどこか判らなくなった。  国際線の飛行機の中、ナナは周囲を見渡して思い出す。  こうして飛行機に乗っているのにまだ迷いがある。もう空の上だから後悔したって遅いんだけど。ナナはシートを倒してもう少しだけ浅い眠りに入った。目的地まではまだ時間がかかる。  それは突然だった。  土日祝日等とは縁のない仕事をしているナナに五月のゴールデンウィークは頭になかった。いつものように健やかに眠り、朝になり、新聞を取りに郵便受けを見に行くと見た事のない封書がナナ宛