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「マイって女を捜しているんだ」 その日突然、大柄な男がバーのドアを乱暴に開けて訊ねて来た。 深夜まで営業している海沿いにあるこの小さなバーには、時折、漁師たちも訪れ、たまに潮に乗って荒くれ者もやって来る。この男もその一人だろう。 「……どんな方ですか?」 若いバーテンダーがグラスを磨きながら切り返す。 「凄く美人でプロポーションが抜群なんだ。長くてツヤツヤした真っすぐな黒髪で」 「今日は黒髪のお客様はいらしていませんね」 バーテンダーは慣れた口ぶりで間髪入れずに答える