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#day7 人生はいつでも書き換えられる


 ブックカバーチャレンジの7日間があっという間に過ぎた。医療や介護や最前線の皆さんへ感謝を伝えたくて、蔵書から青い表紙の本を探した。あれこれ迷いつつ、日々動く心に従い、7冊を編んだ。そして、アンデルセンの『人魚姫』(注:挿絵は『リトルマーメイド』)を最後の1冊に選んだ。

 この物語との出逢いはおそらく、幼稚園児の私に両親が買い与えてくれた絵本だった。ラストのページ、虹色のシャボン玉のような泡、泡、泡に包まれ、天使に先導されて天にのぼっていく人魚姫はあまりにも美しく、あまりにも悲しく、いまでも脳裏に想い描くことができる。あの絵本は、どこへ行ってしまったのだろう❓

 とても美しいラストシーンに心動かされながらも、王子さまを恋敵に譲り、海の泡になって消える運命を選んだ人魚姫が可哀そうで可哀そうで、この物語を好きになれなかった。それなのに、同じ頃に買い与えられた『白雪姫』よりも『シンデレラ』よりも『眠れる森の美女』よりも、心にかかり続けた『人魚姫』…。

 その後、これをリメイクしたディズニーの『リトルマーメイド』では、人魚の姫のアリエルは無事、王子さまとハッピーエンド✨ そうそう、人生は書き換えられるのよね~と、わくわくした。そういえば、ディズニーはお姫さまの人生をよく書き換える。『シンデレラ』は『エバー・アフター』にリメイクされ、こちらは王子さまに助けてもらう代わりに、魔物にやっつけられた王子さまを救ってた。女子は強し(笑)

 ほんの最近、人魚姫が人間の世界へやってきたのは、300年を生きられる人魚の寿命を捨て、人間と同じように魂になって天国へ召されたかったからだ、と知った。しかも、泡になって消えたのではなく、風の精になり、ピンクの雲を300年間、渡ることになったのだと…。さらに、風の精として善行を積めば、300年を待たずに天国へ行けるという。原作は、人魚姫の夢がかなう、超ハッピーエンドで締めくくられる。 

 キリスト教の布教めいたところもあるが、『人魚姫』は利他を説く物語だったのだ。そして、「自己犠牲は人生における究極の美学」と感得した。もちろん、身を捨てて誰かを救う自信はないものの…。そういえば、2年前に天へ上った心友の私企業名はブルースカイだった。友人たちに献身し、息子の人生のために自己犠牲を選んだかもしれないカレも、シャボン玉になって青空を渡り、やがて永遠の魂を得るのだろうか。

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