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# day3 才能に嫉妬して過ごした青春だった

 18歳にして世界の文壇に躍り出たフランソワーズ・サガン。衝撃のデヴュー作「悲しみよ こんにちは」を16歳で読んだ。何が情けないって、同じ年頃の少女が描いたというのに、そのワールドがまったく分からなかったこと。ただただ描写の美しさに圧倒され、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」(←若い人は知らないよね)で見たような別荘でのバブリーなバカンスに憧れ、そして「で?」と。

 それでも、大学の第二外国語にフランス語を選んだのは、なんだかよく分からないけど、もやもやと心に残る一冊に影響を受けたから。しかも、サガン専属翻訳家のような朝吹登美子さんのお兄さまが、私たちのフランス語担任で、やたら胸を躍らせた。ミーハー(笑) 書庫を探したらサガンのオンパレード、いつ読んだのだろう、こんなにたくさん・・。

 結局のところ、若くして売れっ子で多作で、才気あふれたサガンに嫉妬して青春を過ごしたのね、わたし。小説家になりたいと思ってた気もするけど、サガンのおかげで身のほどを知り、せめてライターの道を…と、せっかく入社した総合商社を1年で辞めて、フリーのコピーライターになった。やがて、もの書きから足を洗うつもりで、経営コンサルタントへキャリアチェンジしたのが30歳のとき。今思えば、嫉妬の青春に、終わりを告げたかったのかもしれない。また、読もうかな。嫉妬の青春をとり戻せるのかな。。

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