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頭痛が起きていた

或るマッサージ屋の日常6

冬の札幌は寒い、そして室内は乾燥しがちだ
ガスストーブは意外と乾燥する

そんな寒い冬のある日
出張マッサージで男性指名、個人宅が入った

路面もつるつるだ
時間もかかったがマンションへ到着
ご自宅へ

ピンポーン

インターホンで少し下がった後、オートロックを解除してもらいご自宅内へ入る
インターホンの応対で、開けておくから入ってきてとのことだった

失礼しまーす

今回のお客様は20代前半の頭痛持ち
結婚はしている
一週間ほど頭痛が続いていて吐いているらしい

普段は肩こりがひどくなると頭が痛くなり、吐いてしまうらしい

90分コースだったので、じっくりめに全身ほぐしつつ肩回りをさらに重点的にほぐす

ガチガチになっていたので、ほぐれた後は少し頭痛が楽だったようだ

このまま眠りたいということで、料金をいただき店に戻った

翌日
また同じお客様から連絡が入る

今日も90分お願いしたいとのことだ
昨日の今日でそんなに凝るものかな?と思いつつも指名出張だったのでご自宅へ向かった

本日は旦那様もいらっしゃって、旦那様のご友人もいらっしゃった

そんな中、マッサージを始める

すぐに違和感には気づいた
それほど昨日よりも固くないのだ

クエスチョンマークを浮かべたあと、聞き取りを始める

前回はあまりに辛そうだったため、それほど質問はしなかった

今回は頭痛はするけど、昨日ほどでもないらしく話はできた

一週間、と言っていたが実際は一か月であったこと
一か月前は風邪をひいて頭も痛く熱も出たこと
血液検査などはしないで、いきなり解熱剤が出てること
(抗生剤が出たかどうかはわからない)
風邪をひいたときからずっと頭痛が続いてること

これらのことを聞き出した

そして熱はない、普段より少しあるぐらいだそうだ
マッサージ自体は好き

となると、もしかして…と思い、首を持ち上げてみた
これは項部硬直という検査だ

がっつり陽性がでた
頭を上げただけで、痛みのために硬直させてしまうのだ
結果的に、下手すると風邪のウイルスが入り込んで頭痛が出ている可能性が出てきてしまった

散々迷った
なにせ90分コースは手取りもいいし、途中でマッサージを中断して病院に行ってもらうというのはいろんな意味で愚行でもある

迷った挙句、旦那さんに奥様の頭痛がどんな可能性があるかを説明し現状をお伝えした
そしてあまり乗り気ではなかったが、救急車か車で救急に行って検査受けてください、と伝えてマッサージは中断させてもらった

店に電話すると超絶怒られた

少なくても30分で出てくる奴があるか!
といわれた

旦那さんが交通費に、といって3000円くれたが没収だ
当たり前だが

それから店に戻り、普通に仕事をしていた


次の日、電話が入った
例の旦那さんから、僕宛に

妻は髄膜炎だったよ、ありがとう
こじらせたために一か月入院だ

といわれ
ほっとしたような、余計なことをしたような妙な気分になった

読みが当たったことはうれしい
が奥様の一か月の入院も確定してしまっため素直に喜ぶのもどうかと思ったのはよく覚えている

ばつが悪そうだったのは、店長だった
3000円は返してもらってはいない

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