見出し画像

「MaaSとは」でたどり着いて欲しい記事 (1/3 前編)

「もっと楽に&自由にいろんな所へ行きたい」
「なるべく混んでいないルートで移動したい」
「地方で暮らす高齢の両親の生活が気がかり」
「障がいのある方々がさらに行動しやすくなったらいいな」

こんなことを考えたことはありますか?
その思いは、今まさに実現への途を歩んでいます。


はじめまして!
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社(以下パーソルP&T)、システムソリューション(SSOL)事業部所属の吉田です。

パーソルP&Tは、総合人材サービスグループであるパーソルのITを担う中核会社です。
会社、事業部の詳細はSSOL採用チームのnoteをぜひご覧ください!


本noteをご覧いただきありがとうございます!
私はSSOL事業部の中でも、モビリティソリューションデザインチームというチームに所属しています。
ざっくりいうとモビリティ(ここでは移動手段全般)に関するサービスを考えたり、アプリを構築したりするチームです。


このnoteでは、私たち、モビリティソリューションデザインチームが現在取り組んでいる「MaaS」について、3回にわたってお伝えしていきたいと思います。

「MaaS」について学び始めた方、ちょっとした興味本位でたどり着いた方、すでに「MaaS」に関わっている方・・・
様々な皆さまと一緒にMaaSについて考えたり共有したりしながら、
社会課題を解決していきたいと思っています!

MaaSで社会課題の解決?どういうこと?という方には、ぜひとも読んでいただきご感想を頂ければ幸いです!


1.MaaSってなに?

●MaaSとは
Mobility as a Serviceの略。マースと読みます。
簡単に言うと、ICT(情報通信技術)を活用して、シームレスな(途切れない)移動を提供することです。
たとえばお家から目的地まで、スマホひとつあれば予約も決済も乗車も簡単にできる、などのこと。
サイクルシェアやカーシェア、電動キックボードといったパーソナルモビリティなどが最近日本でも多くみられるようになりましたが、そういったものを使って、かつ組み合わせて、一つのサービスとして利用できることがMaaSとなります。

●MaaSって何のためにあるの?
よくMaaSの目的やゴールとして挙げられることとして
「移動を便利に」「高齢者の移動手段を提供」などがあります。
しかしこのような目的を掲げる背景を考えると、様々な社会課題が存在します。

たとえば・・・
少子高齢化や、都市への人口集中による地域過疎に伴う働き手の不足、
高齢ドライバーの増加、待機児童・・・etc

こういった社会課題は、何か一つのことをすれば解決する!というよりは、
あらゆる課題・問題がつながり、絡まり合っているため、様々な側面から対応を考える必要があることがほとんどです。

そしてMaaSは、こういった社会課題を解決していくための手段の一つである、というのが私たちの考えです。

日本政府は、成長戦略コンセプトとして「Society 5.0」を掲げています。
これはIoTやAIの導入によって日本社会の課題解決を目指す考え方です。

画像2

画像3

引用:内閣府. 「Society 5.0 科学技術政策」  


これまでは情報を人が分析・解析したうえで活用してきましたが、これからはIoT技術やAI技術によって分析・解析された情報を活用することで、人手不足の解消や、技術の可視化、生産性向上、自動運転の一般化や配送効率向上等に繋げようという考えに変わっていきます。
Society 5.0の目的は、上記技術の活用によって社会課題を解決し、一人一人が快適に暮らせる社会を実現することです。

※Society 5.0の詳細は内閣府HP「Society 5.0 科学技術政策」をご参照ください。

そしてこのSociety 5.0実現のためのフラッグシッププロジェクトとして政府が掲げているのが「MaaS」なのです。


2.日本版MaaSの特徴

MaaSは、北欧の国フィンランドに本社を置くMaaS Global社が、首都ヘルシンキでWhim(ウィム)というサービスを提供したことから始まりました。
ヘルシンキではCO2の削減や渋滞緩和等、都市環境の改善を目的として
マイカーの利用抑制かつ公共交通の利用拡大という側面が大きく影響しています。
一方、日本ではヘルシンキ同様、都市環境の改善も求められてはいますが、
目的として大きく打ち出しているのは前述の通り「社会課題の解決」
具体的には、少子高齢化や地域過疎が進む中での、地域ごとの生活課題にフォーカスを当てて改善していくことが求められています。

また、欧州では公共交通は国や自治体など公共団体が保有し、運営は民間の交通事業者が行うため原資は税金や補助金で支えることが一般的です。
日本では、JRや私鉄など民間企業が交通事業を保有・運営しているため、運賃収入等が原資となります。
このような違いの背景には、日本の人口密度の高さや、鉄道建設と鉄道沿線の開発を一体化することで収益を確保してきたことが考えられます。

MaaSの展開が進んでいる国の多い欧州では、都市交通は1都市に1事業者が一般的とのことで、日本のように多数の交通事業者(※【参考】参照)がそれぞれ独立して営業している状態とは大きく異なっています。
そのため日本でMaaSの「移動をシームレスに」という考えを実現するには、
この多数の各事業者が協力する必要があります。

【参考】

画像4

引用:国土交通省. 「交通政策白書 第2章第2節交通事業等の動向 p.41」令和2年版,2020.
https://www.mlit.go.jp/common/001360948.pdf, (参照2020/01/25 14時)

3.MaaSに関わる人々

世界的にみてMaaS発祥地フィンランドのMaaS Global社から、MaaSに関わる人々を紹介していきたいところなのですが、日本でも既にかなり多くの取り組みが進められています。
そのためここでは国内に絞ってご紹介したいと思います。

●交通事業者
・JR各社
・地下鉄
・私鉄
・バス会社
・ハイヤー・タクシー会社
・航空会社
・・・etc

など、様々な事業者がすでにMaaSへの取り組みを始めています。
いくつか具体的なサービスを簡単に紹介します。

Ringo Pass
JR東日本と日立製作所で共同開発された都市型MaaSアプリ。
シェアサイクルの予約・決済・利用や、タクシーの配車・QR決済などが一つのアプリで可能です。

my route
トヨタ自動車と西日本鉄道が、交通事業者や店舗・イベント情報のサービサーと協力して実証実験を開始したスマートフォン向けマルチモーダルモビリティサービス。今は西日本を中心に展開されていますが、全国展開も進められつつあります。
電車やバスなどの公共交通から、タクシー・レンタカーなどの自動車等を含めた様々な移動手段を組み合わせてルート検索を行い、予約や決済まで完結しているサービスです。

EMot
小田急電鉄が運営・提供するMaaSアプリ「EMot(エモット)」
サービス提供は現在のところ小田急沿線のエリアや静岡西部エリア(遠州鉄道)となっています。
他MaaSアプリと同様に、経路検索から予約・決済まで利用できることはもちろん、駅の商業施設で規定額以上のお買い物をすると往復無料のバスチケットを提供する小売り×モビリティサービスの効果を実証実験で検証したり、
提携店舗で使える定額制チケットを提供する飲食サブスクリプション×モビリティサービスの効果も検証したりと、
移動+α(小田急グループだからこそできること)の提供に力を入れている印象を受けます。

●MaaS特化企業
MONET Technologies
交通事業者以外にもMaaSへの取り組みを始めている企業は多くあり、
そのような企業が多数加盟しているMONETコンソーシアムは、ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMONET Technologiesが設立したものです。
弊社、パーソルP&TもこのMONETコンソーシアムに加盟しています。

MaaS Tech Japan
日本でMaaSといえばこの方、とも言えるMaaSのエキスパート日高洋祐さんが代表のMaaS Tech JapanもMaaS特化企業の一つ。

AmazonでMaaSを検索するとまず出てくる2冊の書籍の共著者でもあります。私自身も、この2冊を読むことでMaaSとは何か、について学び、知っていくことができました。
MaaSとは何か、いったいどういう経緯で生まれたのか、といったことから、
具体的な国内外の多くの事例も知ることができますので、ぜひご一読ください。
MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
Beyond MaaS 日本から始まる新モビリティ革命 ―移動と都市の未来―

ここまで紹介してきたのは本当に一部で、上述したMONETコンソーシアム加盟企業やMaaSカオスマップで調べていただくとわかるように、数多くの事業者がMaaSを始動させています。


4.国の取り組みについて

民間企業を中心に、MaaSへの取り組みを簡単にお伝えしてきましたが、国としてはどのような取り組みが進められているのでしょうか。
まず国土交通省(以下:国交省)では、MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0を策定しています。(令和2年3月19日)

上述のように、現在ではまだ様々な事業者がバラバラにMaaSに取り組んでいる状況です。このガイドラインには、各事業者にとって指標となるような、またMaaSを進めるうえで重要となるあらゆるデータの取り扱い方が記載されています。

また国交省では「日本版MaaS推進・支援事業」として、全国から38事業を選定しました。(令和2年7月31日)
新型コロナウイルスの影響を受けながらも、各地域がそれぞれの課題を解決するために実証実験に取り組んでいます。

さらに経済産業省と国交省は、令和2年度「スマートモビリティチャレンジ」の実証実験地域として52地域を選定しました。(令和2年7月31日)
こちらでは新しいモビリティサービスを実装して取り組むことが求められています。

日本では、上述した社会課題(少子高齢化、働き手不足、地域過疎…etc)の解決、とりわけ地域に根差した生活課題の解決が喫緊で求められており、
私たちも上記の推進事業に注目しています。


5.最後に

長くなってしまいましたが、今回はMaaSについてと、民間企業や国の取り組みについていくつかお伝えしました。次回は実際の地方の取り組みについても、実証実験のニュースなどを通して詳しく触れていきたいと思います。

最近は、MaaSについてニュースでも目にすることが時折あるように感じます。何事も、未知の領域に対しては苦手意識や拒否感が出てしまうものです。ですがやはり何事も、「正しく知ること」が大切な第一歩であると思っています。
そして議論を重ねて、トライアンドエラーも重ねていくことが、MaaSを進める一番の近道になると私たちは考えています。

画像4

今回このnoteを目にした方が、「MaaSをもっと詳しく知りたい」「自分にも関係あるな」と思ってもらえたら、これほど嬉しいことは有りません。
次回もそのように思ってもらえるように、引き続き頑張ってまいります!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?