ストリートファイターリーグへもっと良くするための提言

 本年度のストリートファイターリーグ(以下、SFLと呼称)の詳細が発表された。
 今までの6人のチームリーダーを置き、JeSU公認ライセンスを持つ選手たちからチームメンバーをリーダーがドラフト形式で指名する形から大きく変更があった。

 今回は全8チームが参戦し、その参戦形態は様々だが、全チーム共通して、法人がチームを所有するという形態をとる形になったというのは前回と異なるポイントだ。

 ゲーミングチームがそのまま参戦する形となった2チーム(以下選手名敬称省略)
 株式会社TOPANGAより参戦の魚群チーム(マゴ、まちゃぼー、もけ、水派)。
 株式会社忍ismより参戦する忍ism Gamingチーム(ももち、藤村、大谷、ひぐち)。

 既存のチームに一部外部のメンバーを加えた形で参戦する3チームは株式会社 KADOKAWA Game Linkageから参戦するv6プラス FAV Rohto Z!チーム(sako、りゅうせい、ときど、ボンちゃん)。
 グッドエイトスクアッド株式会社から参戦のgood 8 squadチーム(ガチくん、カワノ、ぷげら、キチパ)。
 株式会社 Sun-Genceから参戦する「新旧デトネーションチーム(チーム名未発表のため仮称)」(板橋ザンギエフ、ナウマン、竹内ジョン、立川)。

 チームメンバー2名決定されており、+2名をドラフトで獲得する3チームは
 再春館システム株式会社より参戦するネモ、シュートチーム。
 株式会社 DouYu Japanより参戦するmildom beastチーム(仮称)(ウメハラ、ふ~ど)
 名古屋OJA株式会社より参戦するMOV、どぐらチーム

 以上の8チームである。

 実はこのチーム割についてかなり議論が噴出している。
 一目見ただけで分かるが、なぜかすでに4人そろっているチームと揃っていないチームが混在していること、チームメンバーに戦力均衡を行おうという意思が見えないのが大きく波紋を呼んでいる。

 今回のチームメンバーの選定についての経緯は一切発表されていないため、どういった流れでこのチームが出来上がったのかわからないため判断ができない部分が多々存在するが、筆者の視点から妥協できるポイントとできないポイントを書いていこう。

・妥協できる点
 チームメンバー全員が単一チームからの参戦をしているチームについては個人的には妥協できるポイントだ。昨年度のももちスプラッシュに関してはドラフトでのチームメンバー選定であったが、チームオーナーのももちが自身のチームメンバーで固めていたことや、マゴスカーレットでも同じ傾向のチームが組まれたこともあり、忍ismと魚群チームに関しては以前よりチーム単位での参戦を望んでいたことは汲み取れる。FPSなどのジャンルではチーム単位で参戦するのが当然の形態なので今回は格ゲー界にもその形が持ち込まれ念願かなった形だ。
 しかしながら、このチーム単位での参戦という形態を全8チームで目指した結果、今回の歪んだチーム編成が呼び起されてしまった引き金になった可能性がある。


・妥協できない点
 先述したチーム単位の参戦という形をとるには最低各チーム4名のJeSUライセンスを保持する選手が所属している必要がある。しかし現在日本にそれだけのメンバーを集めているチームは魚群と忍ismしかなく、個人で活動している選手などもいるなかでチームの体裁をとるにはどうするかということを考えたときに、スポンサー企業などにSFLリーグ用のチームをもってもらい、そこに各チーム所属の選手をレンタル選手という形で派遣してもらい混合チームを作るという方法をとったとみるべきだろう。

 しかしその中で不明な部分が浮き上がってくるのは、完成しているチームとしていないチームの2種類が存在しているということだ。ここが一番の謎だろう。
 FAVゲーミングチームの(sako、りゅうせい)の二人に加えて高い実績を誇るときど、ボンちゃんの二人を加えたチームが出来上がっている一方。Mildom beast所属の(ウメハラ、ふ~ど)のチームに関しては2枠がドラフトで後日決定となっている。既存のチームを軸にした形の二つのチームだが、なぜか有力選手を二人抱きこんだ形のチームと全くの未知数でメンバーをこれからドラフトで確保しないといけないチームが同時に存在している。
 さらに問題を広げれば、再春館システムチームや、名古屋OJAチームに至っては完全に新規で参戦するチームでありながら、チームメンバーではない個人同士で2人が決められたのちさらにドラフトで2名を確保せざるを得ないという状態になっている。
 ドラフトをするチームとしないチームが存在している時点でかなり不透明だ。
 果たしてこれは戦力の均衡を目標にされているのか?

 ここに「賭博黙示録カイジ(著: 福本伸行)」に登場する兵藤会長の至言を書きたいと思う。
「公平である必要はないが…少なくとも…公平感は客に与えねばならんのだ…」

 これはギャンブルのワンシーンで露骨な操作を行った部下に対する戒めの言葉であるが、プロスポーツにおいてもこの要素は非常に重要なのである。

 リーグ戦を実施する以上、「どのチームが優勝するかわからない」という楽しみを奪ってはいけない。つまり圧勝するチームと大負けするチームが結果的に存在したとしても、事前にそれが簡単に予想されるようなチームを作ることはあってはならないということだ。

 昨年までチームを公平に作るために実施していたドラフトでさえ、今回は3チームだけが実施するというまったく意味不明である。このようなチーム割を行うと何が起きるかというと、強豪チームに対しては応援がされなくなる。弱小チームはモチベーションが保てないという2つのリーグを楽しめなくなる要素が生まれてしまう。それを嫌っていたはずのSFLがどうしてこんな形でチームを作ったのか、いろいろ担当者に伺いたい。まあ理由なんて聞いたところで納得いく答えは決まっているが。

 チーム割に関して私の提案としては、せめて8チーム3人の決定+1人のドラフト選手を全チームが獲得するという形だろう、制度を公平に与えることはもちろんドラフト枠も増えるし、どのチームにどの選手が加わるかの面白さも担保されるはずだ。

 そして戦力を補完するためのドラフト制度についてだが、これが現在のSFLのルールと相性が悪いこともまたこの問題に拍車をかけている。

 ここでもう一つの問題であるSFLのルールについて苦言を呈したい。
 現時点ではまだ本年度のルールは発表されていないため、昨年実施時のルールについて洗い直す。

 1チーム4名のうち3名が試合に出場。両チームの出場メンバーが決定したのちBAN対象のキャラを決定する。総当たり戦1巡するうちに1度は4人全員が試合に出場する必要がある。

これが昨年のSFLの大まかなルールだ。

 このルールに対しての批判が集まっているものは、「サブキャラを見たくない」「出場機会が極端に少ないメンバーがいるのはいかがなものか」と言うものだった。

 個人的にBAN制度については面白さを加味できる要素と思っているため、サブキャラを強いられると言う状況自体は嫌っているわけではない。しかし現行ルールではBANに対する読み合いと言うものが限定的なため面白みは薄い。出場機会が極端に少ないメンバーがいると言う点については私もこの状況には絶対テコ入れが必要だと思っている。この2つの批判に対して私なりの解決策を考えてみた。

 まず4人1組は変わらない、BANの決定タイミングを変える。最初に両者ブラインドで相手のBAN対象を決定する。そしてその後相手のBANを予想しながら出場する3人を決定すると言うもの。もしここで相手のBANをしっかり読めれば、3人ともメインキャラで対戦に臨むことができる。ここの読み合いで一つの盛り上がりを作れるし、4人目のメンバーも自身のメインキャラをしっかり出して役割を作ることができるのではないかと考える。正直なところこのルールにしない意味がわからないし、発想が出てこないような奇抜なルールでもない、どうしてこうしないのかとただただ疑問である。

 そして先程の現行ルールとドラフトの相性が悪い点についてだが、SFLリーグのルール上サブキャラクターの使用を前提に練習を行わねばならない。しかしながら現状ライセンスを獲得したばかりの選手などは、サブキャラを練習している暇なく、特に職人と呼ばれるタイプのプレイヤーはサブキャラに興味すら抱かない人も多い。こういった強いはずなのにルールのせいで活かせないと言うプレイヤーは数多く、ドラフトでのメンバー選出の可能性を大きく狭めている事案である。そのこともあり、可能性を広げるためにもルールの改訂を要求したい。

 もうチームメンバーは決定してしまった以上変更は聞かないだろうが、ルール改訂に関しては一考の余地はあるだろう。懸命な判断を望みたい。

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