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そういえば私もトヨコだった

スクールゾーンのYouTubeが好きでよく見ている。

スクールゾーンは吉本所属のお笑い芸人で橋本さんと俵山さんのコンビ。YouTubeではコントというには生々しいというか、よりリアルというか、人間関係の1場面を切り取って、それぞれ2人が持ち前の演技力で演じた動画を定期的にアップしている(のぞき見シネマ)。

数多くの動画がアップされているが、その中でも特に私が好きなのは「韓国人店員と韓流好き女子」シリーズだ。

韓流好き女子であるトヨコが、韓国料理屋の店員ドンジュに惚れてしまい、恋人関係になろうとトヨコがドンジュに必死にアプローチするシリーズである。
トヨコのアプローチの仕方が絶妙に痛々しく、ときには友人、会社の後輩を出しにしてドンジュとの距離を詰めようとする。また、シリーズが進むといつの間にかトヨコの中ではドンジュと付き合っている(相思相愛になっている)ことになっており、好きかどうか、愛されているかどうかを試すような行動もしている。
ドンジュは一貫して店員としてトヨコに接しており、トヨコが全力で恋のバッティングをして、ひたすら空振りを繰り返すというストーリーになっている。動画自体は長尺なのだが、トヨコの痛々しさとドンジュのドライさが面白くてついつい何度も見てしまう。

どうしてこんなに惹きつけられるのか、トヨコの痛々しさから目が離せないのか。それは私もかつてはトヨコ、いや今ももしかしたらトヨコだからなのかもしれない。

前述したとおり、トヨコはドンジュに恋するあまり、痛々しい行動ばかりとっている。会社のシュッとした後輩を連れてきて嫉妬させようとしたり、注文もないのに呼び出しベルを鳴らしたりと、もう立派な痛客である。
でも恋をして相手の気を引こうとするばかりに、こういった痛い行動をしてしまったことがある人って案外多いのではないだろうか。私はたくさんある。

  • マッチングアプリで知り合った人の誕生日を知りたくて、毎日その人のプロフィールを見て年齢が変わるタイミングを調べていた(本人に聞けよ)

  • 「あなたのことが気になっている」ということをどうしても直接伝えることができなくて、「あなたの恋愛を応援できない」という回りくどい言い方をしていた(ポエミ~)

  • 気になっている人には別の気になっている人がいて、2人がご飯に行く日を知った日には夜更けに連絡して上手くいったかをLINEで聞き出しそうとした(そしてその後急に恥ずかしくなって送信取り消しをした)

全体的に衝動に駆られて行動してその後反省してその行動の痕跡を消す、みたいなことが多い。相手からしたら丸わかりだったりするのに、勝手に盛り上がって一人で完結している。そう、一人芝居なのだ。
相手という生身の人間、役者がいるのに、その人を小道具や舞台セットとして扱って一人で起承転結までまっしぐら、熱演をぶちかましている。相手からしたら舞台の上に棒立ちさせられていい迷惑。さらにたまに台詞を吐かない(リアクションをしない)と、愛がないと言って文句を言われる。とんだ地獄芝居である。

そんなかつて私が繰り広げていた一人地獄芝居が動画の中で再現されている。トヨコが演じてくれている。

トヨコに対して笑うのは純粋な面白さからだけではない。トヨコ自身、そして過去の自分への嘲笑、懐かしさ、哀れみ、色々な感情が乗っかってきて面白い。目が離せない。
シリーズ自体は7話まで更新されている(最新話ではネルソンズとコラボしている)。これからもこのシリーズから目が離せないだろう。恋愛していない今でも目が離せないのは、もしかしたら私自身がまだまだトヨコだからなのかもしれない。
どうしたら独りよがりの恋愛から脱却できるのか、一人芝居から二人芝居になれるのか、今も答えはわからない。いつかは二人芝居をしたい。脱却の道筋はもしかしたら、シリーズが更新されると見えてくるかもしれない。自分で答えを探しつつも期待しておこう。

かつて、ないし現状恋愛で痛々しい行動、痛ムーブを一度でもかましたことがある人には、ぜひこの「韓国人店員と韓流好き女子」シリーズを見てもらいたい。きっと笑いつつ、あなたも目が離せなくなるだろう…。

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