夢

これって“明晰夢”!?謎の夢。

私は、定期的に同じ夢を何度も見る。

睡眠障害とまでは言わないが、こと睡眠に関しては
少し難があるのだ。

その一つに、「定期的に見る同じ夢」というのがある。

そして私自身、この夢には何かあると感じている。

というのも、それは夢ではないのだ。
いや。夢なのだが、夢ではないのだ。

私は夢を見るときほぼ、というか確実に毎回「明晰夢」である。
「明晰夢」という本来の意味、概念とは少しズレがあるかもしれないが。


夢だと自覚している私は、夢の中で動く自分を見ている。
見ている、というのはまるで自分が写っている映像を見せられている
ような状態である。
ある程度視界の調整はできるが、
“夢の状況を自分の思い通りに変化”させることはできない。
(この夢の中でできることはまた次回)

そういう明晰夢(なのかは定かではないが、夢だと自覚をしているということで明晰夢と個人的によんでいる。)は私にとっては夢ではないのだ。

その夢というのは【昔、住んでいた家の夢】なのだ。
その家の中に、まだたくさん荷物を残していて、
ゴミやら大事なものやらたくさん残していて、
早く取りに行きたくてやってきたはいいものの、
夢の中の自分は、家中を見て回るだけで何も持って帰ろうとしないのだ。

でも夢を見ている自分、すなわち寝ている方の自分はその
“持って帰らなければならない大事なもの”が何なのかわからない。
だから、夢の中の自分が何を探しているのかがわからずに
ただ見ているだけなのだ。

夢の中の自分は、確実にその昔の家に何かを置いたままにしていて、
それを取り返したいと思っている。
そう、あの家に忘れた何かがあるのだ。確実に。

ドアから入り、右手にある障子の二つ目の部屋。
障子と部屋の境には足首ぐらいまでの段差がある。
その部屋に二段ベットがあり、下の段に
私の荷物が大量に詰め込まれている。
まるでゴミのように。

夢の中の私はいつも確実にその二段ベットで足を止める。
じっくり眺めるのだ。何かを手に取る訳でもなく、
ただじっくり、眺めるのだ。
そして、家の中を歩き回り、何度か二段ベットの下を眺め、
目を覚ますのだ。

さて、ここでこの夢の何が問題なのか、「難がある」と表現したのか。
それは、私が

【そんな家には住んだことがない】

ということだ。
夢には行ったことのない場所や建物などが出てくることはよくある。
現実ではありえない構造や、あの場所とこの場所がくっついていたり。
それは「夢」だから何でもありなのだ。

しかし、これだけは言える。私は

【その家に住んでいたことがる】

のだ。夢の中だけの脳内で作られた建物ではなくて、どこかに確実に存在しており、そこに居を構えた時期が私にはあった。確実に。

整理しよう。

私の経歴や半生を考えると、どの時期にもその家に住むようなタイミングはなく、自分の中でしっかり計算して住んでいた家を挙げていっても
その家に住んだ時期が入るスキがないのだ。
現実としてその家に住むことは不可能なのだ。


しかし、私の記憶の中で、生身の実感として、
はっきりとその家に
住んでいたという認識がある。

そして、その家にその時の荷物を
すべて置いてきているという実感もある。

もし私の記憶違いで
【本当にどこかの時期で住んだことがある】
のならば大変なことであり、ありえないことなのだ。

まずその家は賃貸である。
私は入居や退去の手続きをした覚えがないのだ。
その家に入居したり、引越しをした覚えが、記憶がない。

そして退去した人間の荷物をそのままにしておくことはありえない。
荷物や様々な手続きのため連絡が入るはずだ。
私が何らかの理由で連絡がつかなかった場合は
おそらく荷物は処分することになるだろう。
そして場合によっては法的手続きのようなものもあるかもしれない。
そんなことは今まで一切ない。
だから、もし住んでいたとしても実際には荷物なんてもうすでになくなっているはずだ。

住んでいなかったとすれば、ただの夢だと切り捨てることもできる。

しかし、私のこの実感は何なのか。
確実に住んでいたのだ。
あの二段ベット、段差、障子、すべてが現実の私の目で見た光景なのだ。
荷物をすべて置き去りにしてきているのだ。
取りに行かないといけないのだ。

この夢を見た朝は、私は正気なのだろうか。

何を置いてきてしまったのか、
こんなに時間が経ってしまってどうすればいいのか、
焦燥感と不安感が襲ってきて、
私の中で確実に存在している家を
いろんな不動産屋のホームページを検索したり、
また昔の時系列を計算したりする。

この夢を見た朝は、私は現実と夢のどっちにいるのだろう。

夢の中か、現実か。
どちらが現実なのか。
これを書いている今は現実なのか、夢なのか。

もしかしたら、私はずっと夢の中を歩いているのかもしれない。
どこか違う世界線、パラレルの世界での出来事なのかもしれない。
その世界から私はいつの間にかこの世界線へ
移動してきているのかもしれない。

あの置き去りにした大切なものは、何だったんだろう。
夢の中の私は、置き去りにした荷物の中の
大切なものが何か知っているのだろうか。

早く取りに行かないと。

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