見出し画像

胸が大きい

人間の女に生まれると、どうしても体型に関してのあれやこれやがついてまわるなと最近よく思う。特にSNSが常になった今の時代は、身体の細さや目の大きさ、鼻の高さ、それから胸の大きさなんかで他人との差を感じる人も多いのでは。

記事を書くにあたってわかりやすいように表記しておくと、私の下着のサイズはG70。
女性は自分の下着のサイズ以外はお店で見ないだろう・男性はそもそも全くわからない人も多いだろうという前提で書くと、どこの下着屋さんでもカップならA~F、アンダーなら65~75はたいてい揃えてある。カップがG・Hになると「大きいサイズコーナー」が展開されていて、種類も少ない。ちなみにこれはアンダーの大きいとはまた別。
お店や商品によってまちまちだけど、それくらい、大きいということは珍しいのかもしれない。


私は別に、胸が大きいことを自慢したいわけでも、それを使って何かをしようと思ったこともないし今も思っていない。だからこの記事を読んでも、どうか嫌な気分にならないでほしい。それから、相手が誰であっても、胸が大きいというだけで好奇心や悪意を向けないでほしい。
なりたくてなったわけじゃない。気づいたらそうなってただけで、自分の体にあって当たり前のものだから。

…とは言え、意図せず胸が大きいことがメリットとして働く場面がわりとあった。
こと異性関係においては、恋愛関係に発展するかもしれないと意識するような間柄の人はみんな、私にお財布を出させないようにしてくれた。ご飯やその前後のカフェはよくあるが、水族館や遊園地などに行ったときでもだ。
当時は若かったからとか、単純に女だからとかはもちろんあるとは思うけど、それでも、私は全く美人でも可愛くもない。じゃあなんでお金も時間も割くのか。きっと胸が大きいからだ。
男性のうちみんながみんなそう思ってるわけじゃないことは分かってるけど、私が知り合ってきた人のうちの7割くらいはそうだった。だって、その先のことを暗に示してくるから。(そう思うとメリットなのか微妙だけど。)

対して、30歳を越えた今でも、デメリットに感じることはたくさんある。
通学のバスの中、座っていると前に立っている男性がのぞき込むようにワイシャツを見ていたことに気づいたことがある。これは私が前かがみになってた瞬間があったことや、学年が上がったからって調子に乗ってボタンを開けていたことも悪かったけど。
出かけると、知らない人にすれ違いざまに「でかっ!」って言われたことがある。繁華街に行くと、「お姉さんなら1時間でウン万円稼げますよ」としつこくついてこられる。人の多い駅に行くと、どさくさに紛れてわざと胸にぶつかられたり、触られる。バッグを斜めにかけてただ歩いているだけで人に見られる。

良くも悪くも、胸が大きいことでいろいろなことを経験して、隠さなきゃいけないのか、気にしないようにすればいいのかがわからなくなった。
よくテレビやネットで、「性犯罪に巻き込まれるのはそういうのを助長させる格好をしている被害者が悪い」という意見と「好きな格好をしているだけなのに事に及ぶ加害者が悪い」という意見が対立することがあるけど、まさにこれだと思う。

ありがたいことに、近しい人達の中には嫌な風に見たり・言ったりする人はいないし、性的な目を向けてくる人もいない。(後者に関しては、時と場合によって思うことがあっても出さずにいてくれているだけかもしれないけど。)
特に、普段から関わりのある「同性」に嫌な態度を取られたことがごく最近まで本当に一度もなかった。

私としては、先に書いた通り、なりたくてなったわけじゃない。気づいたらそうなってただけで、この胸は自分の身体にあって当たり前のものだ。
だから、例えば身体のラインに沿ったニットを着る。胸が目立つ。そうすると、「わいせつ物陳列罪」と聞こえる距離でコソコソ言われ、笑われる。
それなら目立たないようにと、オーバーサイズのシャツやスウェットを着る。お腹の部分が胸のせいで膨らんでしまう。そうすると、「デブ」と聞こえる距離でまたコソコソ言われ、笑われる。
異性のいる場では、「色目を使っている」と言われる。下心を持った異性側が、下心を原動力にして私に話しかけているのを見てそう言われる。
これは全部、仕事で関わりのある同性から言われた。

何度も言うけど、私は美人じゃないし可愛くもない。強いて言えば、驚くほどのブスではないってだけ。
だからきっと、異性からすると「こいつなら俺でもいける」と思われるし、同性からは「こいつブスのくせにちょっと胸があるからって」と思われるんだろう。

ダイエットという努力をせずに服装だけで細く見えるんだから、身体のラインに沿った服を着たい。
荷物を持たなくて済むんだから、バッグは斜めにかけたい。
誰かと話すとき、楽しい話なら笑いたい。
普通に過ごしたいだけ。
なのになんで異性には好奇の目を向けられて、同性には嫌悪の目を向けられなきゃいけないのか。

と、ずっと思って生きてきた。だって誰にも言えなかったし。


でもそれが最近になってやっと、胸が大きいことも含めて私だからと思えるようになった。近しい人に、悩んでいたことをすっかり全部吐き出して、どう思うか聞いて以降は楽になった。

吐き出した相手曰く、「気にしたって仕方がない」「それで生きてきたんだからそれでいい」と。
確かにそうだ。ものすごくシンプルだけど、それ以外には何もない。
たぶん私は吐き出したかっただけだったんだろう。

好奇心を鋭く向けてくる人は無視できるようになったし、あんまりにもしつこいのなら利用してやろうかと少しは思うようになった。
それから、嫌な風に言ってくる同性は、申し訳ないけど私と比べて胸が貧相な人しかいないから、心まで貧相な人なんだなと思うようにしている。


私はたまたま周りにいる人に恵まれたし、大人になってからやっと考え方も変えられたけど、まさに今誰にも言えずに悩んでいる人もたくさんいると思う。そういう人がこれを読んで少しでも気持ちが軽くなると嬉しい。
冒頭にも書いた通り、今の時代は良くも悪くも他人とすぐに比較されがちだけど、別に何も気にすることはないよ。(これは胸に限って言えば、大きい小さいどちらも。)

自分の身体を大事にして、ハッピーに生きよう。





きっとタイトルだけを見て、ニヤニヤしながら記事を開いたも中にはいると思う。いや、そういう人はここまで読んでないか。わからないけど、もしそれで最後まで読んでいるのなら言ってやる。

嫌な思いをさせてきたのはお前みたいなやつだ!!!

なんてね。

この記事が参加している募集

振り返りnote

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?