自分の「…」をめぐる言語データを分析する#3

理論的枠組みを何だかんだ紹介したので次はデータの分析に移りたい。データを分析するとなれば、もちろん文字起こし、あるいは今回ならとりあえずデータを集合させるということをしなくてはならないので、それぞれのSNSプラットフォームにおける私自身の言語データを寄せ集めてみる。期間は#1で言及しているあの投稿を見た日である8月10日から同月31日までとした。

追記:データを起こしながら、対照群となんとか群、実験群?条件群?を用意しなければならないことに気がついた。同じ日数分を、8月10日までであつめ、期間を7月19日からとした。

①LINE
基本的に私は人物A(まだ同意を得ていないため関係を伏せる)とラインをすることがほとんどで、その他の人との間で定期的なメッセージ交換が見られなかったため、今回は人物Aに対して送信したもののみを扱う。

まずは投稿後の言語データ。プライバシーのためいくつか省略した箇所には(省略)、伏せるべき語句に関しては黒く塗りつぶしをした。

画像1

画像2

軽く見てもわかるように、全部で42回分あった「…」表現のバリエーションのうち「…」を使った回数はその大半を占める39回で、「……」、「………」、「。。」がそれぞれ1回のみだった。

次に、投稿を目撃する以前の言語データを公開する。

画像3

目につくのはそもそもの「…」表現の少なさなのだが、投稿以前では21回中18回「…」、残り3回が「……」となっている。ここで私は自分の仮説を全く支持する結果ではなかったことに大いに絶望したが(なにこの口調笑)、これは人物Aという存在がそうたらしめている可能性も否定できないのではないかと思った。そうかもしれないことを裏付けるためにも、あるいは元々の仮説を検証するためにも、他のSNSプラットフォームにおける言語データを起こす必要がある。

②Instagram
インスタグラムでの言語データは、ストーリーという二十四時間で画像または動画がメインとなった視覚的な要素に文字やステッカーなどの要素を追加できる機能のものを扱うこととした(理由は#1で述べてるよ)。この時、ストーリーの公開範囲はいずれも5人だけだった。以下に、7/19-8/10, 8/10-31のストーリーで共有した画像の文字の部分を起こしたものを添付した。

画像4

ここではあまり「…」表現自体が見られなかったが、投稿以前で(投稿目撃時刻が夜11時、ストーリー投稿時刻が夜8時だったため二つめまで含むこととする)2回あった表現のうち一回が「……」、もう一回が「…」のバリエーションを使用している。投稿目撃後では、「。。」「……」がそれぞれ一回ずつとなっている。ここまで見て本当にどうして投稿を見た後で「…」をより使うようになったと考えたのか、まるでわからないほど元々「…」もよく(それも頻繁に)使っていたことに驚いている。

③Snapchat
確認できる言語データなし(指定期間内のチャットが残っていない)

④muute
確認できる言語データなし(指定期間内に「…」をつかった言語データがない)

⑤某SNS
①の時と同様、プライバシーのためいくつか省略した箇所には(省略)、伏せるべき語句に関しては黒く塗りつぶしをした。

某SNS7:19-8:10①

某SNS7:19-8:10②

投稿目撃以前の言語データによると、14回の「…」表現があり、そのうち一番多かったのが「…」の8回、ついで「、、」が4回(「、、、」の場合もあった。これを統計に含める場合はこの期間内のバリエーション数は5つということになる。)、「。。」が1回、「……」が一回である。一方投稿目撃後の言語データでは、16回中「…」が14回、「、、、、」および「、、、」がそれぞれ1回ずつ、「。。」が1回、「……」は0回であった。

こうやって見れば見るほど全く影響を受けてなくて「◯」。(←ここに「草」を想起した人はSNSユーザーであるに違いないだろう。最近の打ち言葉で「〜なくて草」表現はめっちゃ多いし流行りなのかいいねがつきやすいことはなんとなくわかっているのだが、研究の仕方がわからない。流行り文体と個人的には呼んでいる。若者を中心に広がりやすくて、オタクコミュニティとかで共通認識的になっている表現を多く含むと踏んでいる。SNSに疎いおとなは知らなかったりする表現が多い。何んらかの主張の後にかっこかっことじである種の含意をする「・・・()」表現もこれに含まれると推測している。(一緒に研究したい人がいたらぜひしましょう、どうか))

ANYWAYS, これは計画倒れというやつでしょうか?どうしよう、全然社会に貢献しない研究をあれやこれやと考えを膨らませてワクワク楽しんでしまっていた。ただ、少なくとも私が「投稿を見てその表現およびバリエーションに対してなんらかの意識的な介入を受けた」と感じていたことは研究をしようと思い立った時点である程度明らかなのではないだろーか。ちなみに、調査では結果が出ようと出まいと、事後調査的な役割として社会心理学のスナイダーの自己監視と表出行動の研究を参考にアンケートを取って個人のセルフモニタリングの度合いによって表出する言語行動を統制したり調整したりするのではないかというのもやろうと思っていた(のだが、今読み返すとこのセオリーを当てはめていいのかも疑問が残る)。

また、確かに「…」表現は最も多いものの、「、、」や「。。」表現など、投稿に見られた表現を投稿以前も以後も使っていたことが確認できた。ここから、次の研究としては「…」表現のバリエーションそのものについてもう少し深く追求してみてもいいように思った。そしてその調査ではそれぞれのアティチュードをアンケートなどをもとに量的調査で明らかにできたら、のちの自分あるいは同じような分野を担う研究者の役に立つのではないかとhopefullyの意も込めて思う。

あとは、純粋に先行研究にもっと手を出すべきだったと反省。あまり研究室に行けてなかったので、参考文献を漁れなかったので、「…」に関する調査・研究で既に世に出ているものを言及することができなかった。それゆえ、今回の研究の重要度や貢献度は著しく低いし、内容としても優れたものとはいえない。とても反省。精進します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?