silver story【お母様の家】#24

#24
 近づいてくる神様の化身に少しだけ緊張しているとだんだんと太陽の光に照らされてきたその顔は優しい微笑みだった。 
 その微笑みを見た一瞬で気持ちが楽になり、腹をくくるなんて思っていた私がなんておろかなんだろうと恥ずかしくなった。
 村長さんの心の広さ、あのお母様とユキさんを受け止めた寛容さを改めて感じてしまった。

結果はどうなるかわかない。もしかしたらお母様はここを離れるかもしれないのに、村長さんはすべてを打ち明けて受け入れようとしている。

もしかしたら私を見つけた時に既にすべてを受け入れようと決めたのかもしれない。

村長さんは私の脇を抱えお母様といっしょに私を自宅まで連れて行ってくれた。

ユキさんの家と違って重厚感のある門構え。
 こちらではアンクル・アンクルといわれる門を通ると正面にはなんとも恐ろしげな彫刻が施してあるアリン・アリンが行く手を阻むように置かれている。
これは、門からすぐ中が丸見えなのを防ぐことと邪悪なものを中に入れないという意味があるらしい。
 
アリン・アリンを過ぎるとすぐに右側にサンガと言われる家寺がある。やはり花やお供え物でにぎやかだった。

色鮮やかな花や草木の中庭を囲むように家屋や倉庫、台所が別々にあり まさにジャワの昔からの住宅だった。

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