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いまなぜ「官民共創」なのか

コロナとの戦いが始まって、もうすぐ1年半が経とうとしています。その間に、マスク製造、PCR検査、病院経営、ワクチン開発・接種、テレワーク推進など、国・自治体と民間が連携して進めた事例は様々ありました。うまく進捗した例、全然進まない例、皆さんも身近なこと、そして私たち人間の生死をも分けうる重大なこととして、「官民連携」の重要性を認識されたのではないでしょうか。

私は、この「官民連携」そして「官民共創」こそ、現代の社会課題を解決していく一つの重要な要素だと考えています。本コラムでは、「官民共創」とは何か、官と民の違い、官民双方の現場で活躍できる人材など、主に「官民共創」や「新しい公共」をテーマに、わかりやすい言葉で解説していきたいと思います。一般社団法人官民共創未来コンソーシアム代表理事、株式会社Public dots & Company 取締役CHOとして、元川崎市議会議員として、そして元民間企業出身者として、見えてきた景色を皆さんと共有できたらと思っています。

さて今回は、「いまなぜ官民連携なのか」。

まず、「官」=行政サイドの現状としては、人口減少・少子高齢化・税収減少・公務員のなり手不足など様々な問題を抱えています。医療・福祉関連業務の増大、住民の多様化などによって、行政サービスは増えていく一方、公務員の人数は減らされて、できるサービスが減っています。行政が自前でやっていくのが困難になってきたため、少しずつ「民間活用」に目が向けられるようになってきました。

次に、「民」=民間企業の事情としては、モノを消費する時代から、コトを消費する時代へと、日本は第4次産業革命といわれる産業構造の転換期を迎えています。既存事業に限界を感じると、企業は自社のビジネスを転換したり、新規事業を始めたりする必要が出てきます。最近、多くの企業の役員や取締役とお話しする機会がありましたが、皆さんこの辺りにものすごい危機感を持たれています。

日本の企業の多くは、これまで「プロダクトアウト型」(会社が作りたいものを基準に商品開発を行うこと)のモノづくりをしてきましたので、「マーケットイン型」(顧客のニーズを汲み取って商品開発を行うこと)のサービス開発については、やり方がわからない企業さんもいらっしゃいます。顧客の価値観やどんなコト消費がしたいかがわからず、もがき苦しんでいる企業もあるかもしれません。その解決策の一つとして浮かび上がるのが、自治体の持っている社会課題です。「地域の課題が分かれば、それを事業シーズとして、新規事業を起こせないか?」と考えている民間企業も出てきました。

このように、「官」も「民」もお互いを求めている現状があり、「官民連携」に市場があると考えています。ここ10年くらいでこの流れが加速してきており、これが今回のタイトル「いまなぜ官民連携なのか」の答えです。社会課題を解決するための一つの手段としての「官民連携」そして「官民共創」について、ぜひたくさんの方に知っていただきたい、そして可能であれば一緒に取り組んでいただきたいと考えています。

官民共創未来コンソーシアム
代表理事小田理恵子
https://ppcfc.jp/

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