見出し画像

ポカリ的街並み

 エイトビートを刻むようにゼッケンを縫う母にガムシロップに似た何かを感じ、思わず仰け反った。解体していた木の実に託した夢はあたかもタオル地のリモコンから勢いよく飛び出した電池の如く儚く、きっといつか叶うと〇〇家の末裔に祈るのであった。備中鍬で歯を磨く怪物の虫歯は本当の悪魔より少し大きくて、じゃんけんにまつわるあの噂を信じざるを得なかった。

 ボルトを埋め込んだ右足が疼くのはこの駅の改札を潜る時だけで、それが何を意味するのかあの時の僕は知っていたし、今の僕も知っている。
 キャロットを積んだ栄養ですくすく育ち切った神々に正露丸という名の名刺を配り、雑音の彼方纏わりつく熱気に泣く子も黙ったはずだろう。在宅ワーカーがスニーカーを新調するような液体に世界の謎の全てを教わったことがあるか?
 代田橋にかかる虹は七色であたかもそれ以外が七色ではないという戯言で屑籠がいっぱいになった燃えるゴミの日の翌日を生きる〇〇族たちの狭き肩身さながらであった。生きとし生けるべらぼうに分厚い辞書で調べた"鎌愛"の意味を履き違えつつも、私にとって暮らしに寄り添う自称フローリング仮面のあの人に叶う日なんか来ない。

 シャワーを浴びた翌日にまたシャワーを浴びている。そんな普遍的な生活に差す光の粒子の一粒でも掴めたら変わるはずと拳に力を込め、爪は爪切りに切られ、試験に落ちそうになる夢を見た。混ぜたら安全と混ぜなくても危険を混ぜるような行動を取り続けるハイブリッドな父に掛ける言葉などありはしなかった。

 玉屋ーと花火売り場で叫ぶほどに酒に酔っていた私はドンキホーテの一角で進める殺害計画のようにスルスルと思考回路をあの嫌われ者の黒い虫が痛みなど怖くないとカサコソ、カサコソ這い急ぐ。
 結局エロいだけのバカ息子に、払った学費は蜜の味がして、降り注ぐ歴史を乾かすことしか出来ない吸引力でタバコを吸っている。溜まった灰だから。重要なピース以外足りない。1ピース欠けたパズルも999ピース欠けたパズルも未完成という友達であの人に奢る種無し葡萄の皮みたいなものだ。明日も晴れる。期待だけでいい。傘はある。降るもの拒まず、パルム投げたら試合終了。

この記事が参加している募集

桜前線レポート

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?