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なぜ損小利大を実践できないのか?

 こんにちは。怠け者です。
 初めてのnoteで何を書くか迷いましたが、行動経済学の本を読んで感じた損小利大の難しさについて書いてみることにしました。
 最後まで読んでいただけると嬉しいです。 

人間の脳は損小利大に向いていない?

 投資の世界には、損小利大という言葉があります。
 損失は小さいうちに処理して、利益は大きく成長させることで、トータルで勝つ手法と理解しています。
 よく見る言葉で、投資を始めたての初心者の方でも知っていると思われますが、株で負けている人の多くは実践できていないのではないでしょうか。
 偏見かもしれませんが、大きく負けている人は、いつか戻ると信じて含み損をホールドし続け、たまにちょっと含み益が出るとすぐに利確してしまう(利小損大)という特徴があるように感じます。
 損切を早くして利確を遅くするだけなのに、どうして実践することが難しいのか?
 私なりに考察してまとめてみました。

プロスペクト理論

 行動経済学の代表的理論に、プロスペクト理論があります。
 
「プロスペクト理論」とは(ウィキペディアより引用)

不確実性下における意思決定モデルの一つ。選択の結果得られる利益もしくは被る損害および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデル

ウィキペディア(プロスペクト理論)

 要するに、「損得や確率が絡む不確実な場面で、人間がどのようなプロセスで意思決定をするかを説明する理論」です。
 プロスペクト理論により、人間の性質として
・同じ金額であれば、得した喜びよりも損した悲しみの方が2.25倍大きい
・得をしているときはリスクを避け、損をしているときはリスクを好む
・損得の額が大きくなると感覚が鈍くなる
ということが分かっています。
 これらの性質がまさに損小利大を難しくしている要因と考えています。
 以下、簡単に解説します。

同じ金額であれば損した悲しみの方が大きい

 1万円拾ったときと1万円落としたときを比較すると、落としたときの方が2.25倍感情が揺さぶられます。
 これはそのまま利確、損切にも当てはまり、利確をする際には儲けたラッキー程度ですが、損切をする際にはまさに身を切られるような辛さを味わう人もいるでしょう。
 損切というのは、損失を確定させる行為なので、辛さを回避するためについ後回しにしてしまいがちです。

得をしているときはリスク回避的、損をしているときはリスク志向的

 必ず1000万円が貰えるくじと、50%の確率で2000万円が貰えるけど、50%の確率で1円も貰えないくじの2種類があったとします。
 どちらも期待値は1000万円ですが、どちらかのくじを引くように言われたとき、必ず1000万円貰えるくじを選ぶ人が大多数のようです。
 これが、お金を貰えるくじではなく、支払わなければならないくじになると、結果が変わります。
 その場合は、たとえ2000万円支払わなければならなくなるリスクを負ったとしても、50%の確率で1銭も払わなくて済む後者のくじを選ぶ人が増えるようです。
 このように、人間は得をしているときはリスクを回避する傾向があり、損をしているときはリスクを志向する傾向があります。
 損小利大を目指すのであれば、含み益を大きく育てる必要がありますが、含み益の状態というのが、リスクを回避したくなる状況であり、逆に含み損が膨らんでいく状態は、リスクを取りたくなる状況です。
 つまり、感情のままトレードをすると
・今は含み益でも、買値に戻ってしまったら得がなくなる→利確
・今は含み損でも、買値に戻れば1銭も損しなくて済む→ホールド
という選択が一番落ち着くのです。

損得の額が大きくなると感情が鈍くなる

 個人的には、これが含み益を育てにくく、含み損が大きくなりやすい原因だと考えています。
 プロスペクト理論では、損得の感じ方として以下のような価値関数のグラフが知られています。

ニッセイ基礎研究所HP(景気後退の選挙への影響-プロスペクト理論でひも解く-)より引用

 このグラフのとおりであれば、利得が大きくなればなるほど得られる満足感は少しずつ減っていきますし、損失は大きくなればなるほど、感じる悲しみは徐々に薄くなっていきます。
 
200万円の含み益が100万円の含み益の2倍うれしいかというとそうではないのと同じように、200万円の含み損は100万円の含み損より2倍悲しくはありません。
 そして、もし100万円の含み損が株価の上昇でチャラになったときは、0から100万円の含み益を得る喜びの2.25倍の喜びを得ることができます。
 つまり、自分の感情を喜ばすことだけを目的とするならば、それ以上自分に喜びを与えてくれないどころか、なくなったときに悲しみを与えてくる含み益はすぐに利確して、さらに増えてもさして悲しくないが、チャラになったときに大きな喜びを得ることができる含み損を全力ホールドすることが最適解です。
 そんな選択をしたら負けが積みあがっていくというのは誰でも分かりそうなものですが、論理的に考えると、感情でトレードしたときの到達点はここになります。

まとめ

 上記のように、人間の脳は損小利大が自然にできるようにはできていません。
 何も考えずにトレードを行えば、むしろ利小損大に落ち着くようにできていて、何も対策を打たなければPFが含み損だらけになるのは時間の問題です。
 最後の最適解について、文章で見ると「そんな奴いるのか?」「何言ってんだこいつ?」と思われる方がほとんどでしょう。
 ですが、PFが含み損だらけになっている人は、いつか株価が買値に戻ると信じて、無意識にこのような思考回路になっている可能性があります。
 是非、PFと脳内の再点検をお勧めします。

 私の独断と偏見で書いた記事なので、誤ってる部分も多々あるかと思います。
 ご意見ご感想があれば、お待ちしています。

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