化物語は、はじまったばかり。
明治初期、西洋の文化が日本に持ち込まれ、新しい日本が産声を上げました。
文明開化。
辞書にはこう書かれています。
僕がはたらくのは、すき焼きレストラン「㐂つね」。
店名の由来は、文明開″化″から来ています。
文明開化の象徴である、すき焼き。
国民食であり、ハレの日の定番です。
すでに抜群においしい料理。
もう完成されたスタイルであろうすき焼きも、sioのフィルターを通して覗いてみれば、まだまだ美味しくできるのではないか。
そんな問いから、このレストランは生まれました。
すき焼きは、もっと、おいしくなる。
その余白に気づいたオーナーシェフ鳥羽が「㐂つね」を生みだしたのでした。
一見完成されたものにも「どこか余白はないか?」と考え抜いて、価値を昇華させる。
おや?これまでもいくつかやってきたように思います。
例えば、「江戸弁 のり重」。
僕らがつくるのり弁にも通じるものがあるのです。
さて、すき焼きに話を戻します。
すき焼きのベースとなる味覚は″甘じょっぱ″。
㐂つねでは奥行きを増やすために、酸味、苦味、辛味、香りをうまく使います。
また、すき焼きの前に季節の香りや魚介の料理も楽しんでいただきます。
それは、ハイなテンションを作り出した上で、メインのすき焼きを迎えていただきたいという想いから。
すべては、すき焼きをもっとおいしく食べていただくために。
すき焼きを、もっと楽しんでもらいたい。
㐂つねが、すき焼きを化させる。
その一端を担いたい。
そう思って、仕事をしています。
化物語を進めるために、なによりも大事なこと
まだまだはじまったばかりの化物語。
そのためには、日々の積み重ねがなによりも重要です。
もぐもぐどころかテキパキとチームを引っ張る女将、誰よりも繊細で想いのある料理長の白木、三児のパパかつ縁の下の力持ち早ちゃん。
さらには、、ミツバチやパワースポット?ロボットに薬学研究など学業にも勤しむ個性豊かなアルバイトのスタッフたち。
個性豊かなメンバーが、㐂つねを日々支えています。ほんとに多種多様です。
さて、今日で奈良に引っ越し、㐂つねに来て半年が経ちました。
理想とは裏腹に、思う通りにはいかないこともあり、いや。
うまくいかないことの方が多いです。
これまでの社会人人生でいろいろなことをやってきました。
器用貧乏のように思われることもあります。
でも、僕は紛れもなく不器用野郎なわけで。
だからこそ、時間も掛けないといけないし、学び続けなければいけないと思います。
今はホールを中心に、お客様にすき焼きを焼かせていただいています。
初めましての方、常連様。
近隣の方から、遠方から観光の方。
友達と、家族と、おひとり様で、会社の忘年会で。
さまざまなシチュエーションの方にお会いしてきました。
そして、たくさんの「美味しかった」と「楽しかった」をいただきました。
ただただ手前味噌ですが、㐂つねで食べるすき焼きの食体験は、ほんとうによくできたコンテンツだと思います。
ただ食べるだけではなく、食べすすめていく中で、誰もが驚いたり、楽しかったりする何かが散りばめられている。
㐂つねはもちろんのこと、それが僕の働く会社がやっているレストランなのです。
来年はもっと、飲食の難しさや大変さの先にある楽しさを伝えられるように発信すると決めた最終営業日。
この先ずっと続いていく歴史からすると、化物語はまだプロローグ。
僕が少しずつ、物語を紡いでいけたら。
それが僕が奈良に来た意味になるのかもしれないから。
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