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【結婚生活キホンのキ】家の中に男がいる

新潟は今日も曇りだ。空に向かってシャキッとしろよと言いたい。新潟の雲、いい感じに散れ。こっちはゼロヒャクの人間で、曖昧な状態はキライなのよ。バリバリの快晴か、土砂降りじゃないと落ち着かない。台風がこわいとかいうのもない、ちょっと嵐の後ってワクワクするんだ。

そしてヒロシとの結婚生活、まだ続いている。
やめない、解散!と言わない限り、こんな状態が続いていくのすごくないか。自分の意思が反映され続けている感覚だ。世の中の大きな問題よりも、自分の目先の現実に目がいく。


当たり前の話なんだが、まだ家に人がいるのが信じられない。しかも、好きな男だ。数ヶ月前まで手も繋いだことがないのに、家の中に集合して滞在し続けている状況にドキドキする。お互いに盗賊だったらどうするんだろう、なんですべてを知っているわけではないのに、信じ合っているんだろうとか余計なことを考える。盗賊の嫁、かなりきついよな。

朝、目覚めてベッドの上で横を向くとギョッとする。
誰かいる、いや好きな男がいる。

幽霊になって、生きている人間をこっそり見ている気持ちで寝顔を見る。
顔のパーツ、よく見たらこうなってんだとか、この人の中にも臓器とかあって、細胞も分裂したり死んだりしているんだなと思う。まつげの長さに嫉妬する、これ、まつげエクステ行ったら12,000円はかかるやつ。

顔をよく見た後は、脳内で未来の葬式にトリップする。棺桶をのぞく自分。

「先に死ぬなっつったんじゃん」と棺桶を小突いて揺らし、ちゃんとキレてる自分の姿を想像して泣きそうになる。

耐えられず、現実のヒロシの全身をダイナミックに揺らして「おはよう!時間がもったいない」という。

ヒロシはそんなことも気にせず、冷蔵庫に入っているフルーツポンチを食べ始めるのだった。

昨日、信濃川沿いの芝生でヒロシと寝転がって、いろんな話をしていた。

「地球最後の日、何してたいか」

私は聞いた。私だったら、派手なパーティーをして、しこたま酒を飲み、訳わかんなくなったあたりで、頭上に落ちてくる真っ赤に光る隕石を見てアーン綺麗だなと感動しながら死んでいきたい。

ヒロシは「普通に家で過ごすかな。地元の家族と集合するにしても、移動時間とかあるし」

もったいない男だよ。家で隕石が落ちてくるのを待っているなんて、もったいないよ。

「そうはさせないけどね」
「こわいな」

そう言って、信濃川の流れを共に確認した。信濃川、くさくなく、穏やかで、たっぷりと水を運ぶ川。

もったいないことはしたくない、たまたまの確率で出会った二人、すべての情景を記録できない目を持つのが悔しいけれど、これ!というシーンだけは覚えていこう。

思いっきり次の執筆をたのしみます