稲田 万里

2022年10月note連載から短編小説集書籍化 『全部を賭けない恋がはじまれば』

稲田 万里

2022年10月note連載から短編小説集書籍化 『全部を賭けない恋がはじまれば』

マガジン

  • 結婚生活キホンのキ

  • 瓦版(小説)

  • 占いマガジン(運やら不思議なことについて)

    占い師として仕事している中で気づいたことや、運や不思議なことについて書き連ねていきます。毎月2〜3本上げる予定です。

  • 【連載】キミの女装の中心線

    新宿に集う女装男子とデートした話を書きます🌟

  • 日曜興奮更新

    毎週日曜日に更新します。こちらの更新を元に「全部を賭けない恋がはじまれば」というタイトルで書籍化しました💋

最近の記事

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コスモ事件簿 :パイパン2000円事件

どうも、宇宙オナニーでお馴染みのコスモオナンです。 突然ですが、皆さんは、初めて会った人に下の毛を剃毛をされたことはあるでしょうか?私はあります。 今回は、私の身に降りかかった衝撃の剃毛、いやパイパン事件についてお話致します。 今年の夏、私は長年お付き合いしていた彼氏とお別れし、素敵な出会いを求めて、出会い系を始めました。社会人の出会いは、学生時代と比べ、なかなか難しくネットで気軽に会ってみようと思ったことがきっかけでした。 自分のプロフィールを登録し、プロフィール写

    • 【結婚生活キホンのキ】今夜、ハゲ薬を頂戴します

      新潟はひどい雨が連日降り、己の中でくるしい戦いが続いていた。わたしはいつだって晴れが好き。 先日、その辺りを歩くご婦人と話し込むことになり、明らかに曇天なのに彼女は「今日は天気がいい」と言うのだった。郷に入っては郷に従うしかないので、晴れの女である福岡県民のわたしは「いや〜ほんとにスペシャルないい日」と合わせていった。 解散後、再び空を見上げると、灰色の空がはるか遠くまで続いていた。やはりおかしい。あの人、大丈夫なんだろうか。 夕方、夫のヒロシと合流し、スーパーで大きな

      • 【結婚生活キホンのキ】家の中に男がいる

        新潟は今日も曇りだ。空に向かってシャキッとしろよと言いたい。新潟の雲、いい感じに散れ。こっちはゼロヒャクの人間で、曖昧な状態はキライなのよ。バリバリの快晴か、土砂降りじゃないと落ち着かない。台風がこわいとかいうのもない、ちょっと嵐の後ってワクワクするんだ。 そしてヒロシとの結婚生活、まだ続いている。 やめない、解散!と言わない限り、こんな状態が続いていくのすごくないか。自分の意思が反映され続けている感覚だ。世の中の大きな問題よりも、自分の目先の現実に目がいく。 当たり前の

        • 【結婚生活キホンのキ】よろしくヒロシ

          久しぶりの更新だ。noteの存在をすっかり忘れていたが、思い出しちゃったので書くしかねぇ。ちっ、毎日がセクシーで仕方なくて、筆が進まない。プロフィールに「作家」って書くのも恥ずかしいが一応書いているから、こつこつ書くしかない。世の中、プロフィールに「作家」と書いてる人が多すぎる。一体どこまでが作家で作家じゃないんだろう。ああ、一度名乗ったなら、作家は死ぬまで作家なんだよ!と知らないおばさんに怒られたい。そしてなるべく知り合いには怒られたくない。 歳を重ねムカつくことがあって

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        コスモ事件簿 :パイパン2000円事件

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        記事

          【瓦版】鉄フライパンと電話

          昨日、福岡に地震がやってきてビビって瓦版の更新がストップしたけれど私は元気にやっている。この頃、仕事が忙しくなって毎日書くのやべーなと思いつつ続けられている。いつもサポートしてくれる方、個別にコメントくれる方たち、ありがとうございます! 久しぶりの地震。マンションがプリンみたいに揺れた。こえーよ。福岡には危険な警固断層というのがあるらしい。なんでもっとニュースにならないんだろう。大きい地震が来たら甚大な被害が予想されるとのこと。あーん、防災対策しなきゃならんと改めて思った次

          【瓦版】鉄フライパンと電話

          【瓦版】断食

          こんなにお腹が減ったのはいつぶりだろう。東京に帰りたいと思ったのはいつぶりだろう。新たな性の扉を開かされたのはいつぶりだろう。はじめての断食道場だった。激しい体調の変化に翻弄され、途中でロマンスもあったので恋のパワーで食欲もさらになくなり、私は幸せなのに辛いという人間の感情の両極端を一週間でたっぷりと味わうことになった。 今回はその体験を書いていきたい。医学的根拠は何もないが、自分流を突き詰めた結果を伝えたい。 断食といえば辛い、と誰もが分かる。食の楽しみは人生にとって重

          【瓦版】断食

          【瓦版】美容師のおばあちゃんとの思い出

          うちのおばあちゃんは現役美容師だ。今年で90歳になる。 幼い頃からおばあちゃんに髪を切ってもらうことが当たり前だった。 私の家族も全員切ってもらっていた。 実家の横がおばあちゃん家で、前髪の長さが気になるなぁと思えば彼女の家に走って美容室の扉を叩いてお願いをする。 大きな扉をバッと開けて私の頭を撫で、フカフカの椅子に座らせ、いつも大きな羊羹を出してくれた。子供だった私は、羊羹の味が渋くて苦手でショートケーキがいいんだけどなぁと思いながらも煎れてくれた熱いお茶と一緒にガ

          【瓦版】美容師のおばあちゃんとの思い出

          【瓦版】スプーン曲げピアス事件

          「取りますね、ちょっと痛むかも」 ギュュッポンッ。 「お疲れ様でした」 1つの恋が終わり、とある新宿の皮膚科の硬い硬いベットに私は寝ています。女医さんのねぎらいの言葉が重い。 最近、大好きだった男がいた。マッチングアプリで一目惚れした。顔がとにかく好き。出会う男たちの9割タイプじゃない中で、その彼を間違えて左にスワイプしそうになった瞬間に親指をグッと止めた。あっぶねぇ、すきだ。 初手のメッセージはもちろん私から送る。 「はじめまして、イケメンですね。好きです。」

          【瓦版】スプーン曲げピアス事件

          【瓦版】今夜はシャッフルさせて

          今夜は両手に50枚の正方形。ああ、コンドームの話である。 なぜか昔からコンドームをよく貰う人生だ。自分で買ったことなんてほとんどないんじゃないか。色、機能、厚さ、ジェルが入っているものも。 高円寺の立ち飲み屋で横揺れになって酔えば、右横から今夜の相手がやってきて「ここ半年で一番おもしろい話」というのを披露してくれる。まずまずで最高、あまり楽しい話をされちゃうと悔しくなるから、こっちの自尊心が穏やかなうちにもう1軒行こう。 急な「コンビニに寄りたい」というリクエストにお応

          【瓦版】今夜はシャッフルさせて

          【瓦版】酔っ払いからの電話を考える。

          なぜだか知らんが、酔っ払いからの電話をよく受ける人生だ。 それは深夜の2〜3時あたりによくかかってくる。 仲良しの度合いは、弱〜強まで幅広いグラデーション。シラフではそこまで仲良くなくても、酒が入れば旧知の友のようになってしまう。 私が夜型というのがバレているから、きっと酔った人たちが「あいつって、深夜のなんかしらの窓口だったよな」と思い出してしまうのだろう。 深夜の電話は、まず迷惑になるだろう人にはかけないと思う。私も深酒をしそうになると、LINEのトークリストを非

          【瓦版】酔っ払いからの電話を考える。

          【瓦版】隠したチェキ

          どうやら私は痔主らしい。税金も他の人と同じくらいかかるみたい。 痔になることは、ずっと昔からお父さんから予言されていた。お父さんも痔だったようで、そのまたお父さんも痔だったみたい。 それを意識したのは中学2年生の頃。お母さんが飲んでいた中国の怪しいダイエット茶をこっそり飲んだ。単に痩せたかったので、ごくごく適量よりはるかに多く飲んだ。 激しい稲妻が腸を揺さぶり、トイレへ駆け込んだ。 天にお祈りポーズをして「痩せろ痩せろ痩せろ」と、いきみまくったのだ。3時間ほど経っても、

          【瓦版】隠したチェキ

          葬式のラッキーセブン

          親戚で、やさしくて、よくふざけていたおじいちゃん、「キヨさん」が亡くなったのは高2の頃だった。 いつも会いに行くと、上京した彼の孫が大量に家に残したHIPHOPの古着を着ていて、かなりギャップがある姿で出迎えてくれた。笑顔で話してくれているけど、彼の胸にはF◯CK!!!と書かれていて、なんとも言えない気分で帰るのが常であった。 そんな彼が急に体調を崩したという話を聞いた。 高校の重要な試験の前日の夜、電話が鳴った。英単語の記憶途中だった私は、完全に集中力が途切れてしまった

          葬式のラッキーセブン

          【瓦版】道で何度も再会する人

          何度も道端で会ってしまう人は、いますか? それは簡単に運命というしかないけれど、それを言うと物語が進みそうで怖い。 先日、突然というかひっそりといなくなった知り合いがいた。もしかしたら会うたびに変な咳をしてたし、死んでしまったかもしれない。その人は、やさしくて思いやりがあって、誰からも好かれていたと思う。多分。ここではその人を、先輩と呼ぶ。 5年前の元旦の午後、お腹をくだしながら渋谷の宮益坂を下っている途中、後ろから名前を呼ばれ、振り返るとその人だった。 「わ、お久

          【瓦版】道で何度も再会する人

          熟女を取るか、ドイツを取るか

          どうも。福岡は雨降ってる。 みんな、最近、深呼吸していますか? 息を深く吐いたり吸ったりしてないと、不安になりやすくなるそうなのでわたしも今、スーハーしています。占いをする時でも、相手を鑑定する前に冷静になるため深呼吸必須です。 ふう、落ち着いてきた。 いま、福岡の誰もいない公園のベンチに足を組みながらこの文章を書いています。桜の花びらが足元に散っていて、春の終わりを感じる。今日も、よく生きた。 仕事がつらくてたまらない、と悩んでいる同級生からの相談が最近増えてきまし

          熟女を取るか、ドイツを取るか

          【瓦版】昨日まで生きていた人が、えびせんになっていた

          「死体の匂いって、こんな感じなんですか?」 この日は桜が満開とニュースが出ていた。 昼食を食べた後、また入居者が死んだと警察から聞いて現場に来た。死んだら私たちの会社では部屋と呼ばず、『現場』と呼ぶのだ。男はちゃんと固くなっていた。えびせんを焦がした匂いが充満している。死んだらえびせんになるのか。 「昼飯食べたあとでラッキーだったね」 そうやって一緒に死体を確認した会社の先輩は言った。わたし達は中央線の不動産会社に務める会社員だ。普通の会社員は終業時間まで誰かが死んだ

          【瓦版】昨日まで生きていた人が、えびせんになっていた

          【瓦版】OL時代の大好きな先輩たちについて

          やぁ、今は夜だ。考えことをするにはふけすぎている夜だ。 最近は、よくOL時代の先輩達のことを考えている。みんな、いやな癖も良い癖もあって、すきだった。あ〜もう少しだけ、後輩でいたかったな。 今日はそんな先輩たちとの大好きな思い出の一部を書き連ねて心を満たしたい。いま、自分の心はエンプティマークで悲しいからさ。 課長Aさんの場合 まず口が軽い。わたしがセンシティブな話をしてる途中から、遠くにいる別の社員の人にバラすシステムを取る先輩だった。悪気はないようなので毎回ゆるし

          【瓦版】OL時代の大好きな先輩たちについて