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103.【雑学】素数ゼミ【数学×生物】

 人間が数学を発見(?)したのは紀元前よりもっと前でしょうが、学問としては哲学者が数学を取り扱っていたことが多いそうです。確かにロジックを考えて詰めていく過程は哲学チックです。そして”自然的”。
 生物界でも数学的に基づいている事があります。選択圧による必然が関わって綺麗になる。見ていて不思議でしょうか。当たり前なのでしょうか。

セミ

 幼虫として地中に何年もいて、地上に出てきたら求愛を歌いまくり、一週間で儚く散る…。そんなイメージでしょうか。実は「成虫は一週間しか生きられない」というのは俗説で、成虫でも10日~1ヵ月ほど生きるそうです。
 日本の夏にはそこかしこでセミの鳴き声を聞くことができます。非常に身近な虫のひとつでしょう。夏の風物詩でもあり季語にもなっています。古くから日本の夏を賑やかしていたことが伺えますね。(時々、賑やかしぶりを発揮し過ぎてどえらい事になっている事もありますが…。)(伏線)
 個人でセミに脅かされる人も多いのではないでしょうか。ネット上でも少し流行った”セミファイナル”(地面に落ちてるセミが急に動き出してびっくりする、アレです。)などは最たるものですが、子供のころにおしっこかけられた人も多いでしょう。田舎だけですかね?
 そんなセミにしてやられたのは数知れず、並々ならぬ悪感情を覚えている人。いらっしゃいましたら、是非体格差を生かして一方的に捕食してみてください。素揚げなども意外と美味しいです。
 ーえ?食べない?そうですか…。

素数

 打って変わって、お次は素数。「1とその数でしか割り切れない数」と言うことです。興奮しますね。
 皆さんが気になるのは「何の役に立つか?」の部分が大きいかと思います。(ただ基礎研究の重要さも意識していきたいところ)ただの数字でしょ?ところがどっこいこころはわっしょい、意外と身近に素数が使われているのです。そう、今この瞬間にも行われてる、通信の暗号化です。
 RSA暗号とよばれる技術で、ざっくり言うと大きな桁の素因数分解の計算が大変という事を生かして素数を暗号のカギにしてしまおう、という事ですね。詳しくは是非ググってください。

素数ゼミ

 さて、本題の素数とセミとの件ですが、周期ゼミと呼ばれるセミの種がいて一定の周期で地上に発生するセミです。その中で周期が素数のものを指します。とりわけ13年と17年周期ですね。
 正確に周期ごとに一斉に羽化して大量発生し北米でよく知られています。(というか周期ゼミは北米にしか生息していません。)これが何億匹にも上りどえらい合唱になるわけですね。伏線回収!
 ではなぜ素数ゼミが大量発生するのか。

 理由は氷河期までさかのぼります。地上の植物や動物が少ない時期、周期セミ達は地中にいる年数を増やし氷河期対策をするも数を減らします。さらに地上に出たとしても、仲間がいなかったら子孫を残せません。ダブルパンチです。そこで一斉に羽化することにしたのですね。これが大発生の原理と言われています。
 次になぜ周期が素数になったか。素数は最小公倍数がどうしても大きくなってしまいます。そのためほかの年数を周期にする周期ゼミとの交雑が少なくなります。なので周期の乱れが起きずらいのです!必然、素数ゼミが羽化するタイミングでみんな一斉にドカンと出てくるので子孫が残せてきたわけですね。


 周期ゼミが選択してきたような書き方もありましたが、そんな事自由にできるわけではありません。何世代も超えて選択的に生き残ってきた結果が今の素数ゼミになっているわけです。素数の特徴がたまたま生き残りに適正があっただけ、素数も周期ゼミもそこにいるだけです。意思は介在しません。

 人間には意思も意図もあります。作ることができます。
 自然との違い、野生動物との違いはこの意思と意図が明確かどうかなのかと思います。考える葦であるために、常に意図をもって動いていきます。

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