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【パワポ研のパワポ資料探訪35】米国の株式市場で注目のPalantir Technologies

様々なパワーポイント資料について解説するこのシリーズ。
毎回大変好評をいただけておりまして、おかげざまで引き続きシリーズを重ねられております(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回は少し趣向を変えて、米国のPalantir TechnologiesのIR資料について解説していきたいと思います。
対象とするのは、2023年度の決戦説明資料(Q4 2023 Business Update)です。

Palantir Q4 2023 Business Update

なお、Palantir Technologiesの存在を始めて知ったという方もいらっしゃると思いますので、まずは会社概要を紹介し、その後にスライドの解説を行います。それでは、早速見ていきましょう。

企業概要

Palantir Technologiesは、2003年に設立されたデータ分析プラットフォームを提供するアメリカのテクノロジー企業です。設立者には、PayPalの共同創業者であり、著名な投資家であるピーター・ティールをはじめとするシリコンバレーの著名人が名を連ねています。同社は、特に政府機関や大規模企業向けに強力なデータ統合および分析ツールを提供しており、その技術力と実績から注目を集めています。
主なサービスとしては、Palantir Gotham、Palantir Foundry、Palantir Apolloの3つのラインナップを展開しています。

Palantir Gothamは、主に政府機関向けに提供されるデータ分析プラットフォームです。特にテロ対策や犯罪捜査において活用されており、複数のデータソースを統合してリアルタイムでの分析を行うことで、迅速かつ的確な意思決定を支援します。さまざまなデータベースや情報源から得られる情報を関連付け、潜在的な脅威を特定するための強力なツールとして知られています。

Palantir Foundryは、商業セクター向けに設計されたデータ統合および分析プラットフォームです。製造業、金融業、ヘルスケアなど、多岐にわたる業界で利用されており、企業が保有する膨大なデータを効率的に統合・分析することで、業務の最適化や新たなビジネス機会の発見を支援します。

Palantir Apolloは、ソフトウェアのデプロイメントおよび運用管理を自動化するためのプラットフォームです。Apolloは、Palantirの他の製品と組み合わせて利用されることが多く、GothamやFoundryのアップデートや機能追加を、世界中のさまざまな環境にシームレスに展開することを可能にします。このプラットフォームは、クラウド環境やオンプレミス環境を問わず、デプロイメントの効率化と信頼性の向上を図ることができます。

スライドの紹介

表紙

シンプルながらも、フォントや色合いなどの細かい部分にこだわりが感じられる表紙です。Q4を直感的に表現するために、○を4つ並べたり、コピーライトの表記が右上にあったりと、デザインの面でも工夫がみられます。

業績ハイライト

一見目次のように見えるスライドですが、第4四半期と通期の主な業績が並んでいます。会計基準が日米で異なるので、厳密には同じではないのですが、売上、営業利益、トラクション、フリーキャッシュフローなどが前年同期比比較で示されています。
結局のところ、投資家が知りたいのはこの辺りの情報に集約されるので、表紙の次に配置されているのは、いかにもアメリカらしいですね。

ビジョン

Palantir Technologiesが目指しているビジョンと、意識している顧客層を示すスライドです。特に何も表現していないともいえるのですが、具体的な事業内容を記さなくとも、何を目指している会社なのかが伝わるので、事業内容が複雑で多数ある場合などは、参考になるかもしれません。

競合優位性(概要)

こちらもかなり抽象的なスライドで、一見中身がないように見えますが、政府系の顧客が多い中、具体的な情報を公開できないという事情もありそうです。たとえば、比較対象として挙げられている"High Complexity"や"Low Complexity"が何を示しているのかについては具体的に明らかにされていません。一方で、桁数の違いだけで「何となくすごそう」という感じが伝わってくるので、IR資料としてはこの書き方で十分なのかもしれません。

競合優位性(詳細)

既存のSaaSと比較した際の詳細な説明資料です。どのような観点でどの程度優れているのかが、アイコンと数字を交えて説明されています。また、このスライドに関心を持った人のためにwebバナーのような形で参考URLが埋め込まれています。これはあまり日本のIR資料では見られない試みですね。

グラフ

昨年同期比との比較で、「業績ハイライト」のページで記載されていた数字がグラフで表現されています。Y軸や補助線などがないシンプルなデザインと、黒を背景とした色合いが視認性を高めていますね。メッセージがあるスライドとないスライドがありますが、「見れば分かる」スライドに関してはフォーマットにこだわらずメッセージを省略するというところにも文化の違いが垣間見れます。

トラクション

インフォグラフィックスのような非常に視認性の高いデザインのスライドです。第4四半期に獲得した案件の総数と、500万ドル、1000万ドル以上の案件の数が示されています。大企業や政府系機関など非常に機密性の高い取引先が多いため、その詳細は公開できないものと考えられますが、このようにおおよその規模感を示すだけでもガラッと印象が変わります。

まとめ

今回は今後急成長が期待される米国のテクノロジー企業のIR資料を紹介させていただきました。普段紹介している日本企業の資料とは異なる部分も多く、一概に全てを参考にできるかどうかは疑問ですが、取引先の機密性が高い際の業況の示し方や情報の削減の仕方など、取り入れられそうな部分も多かったかと思います。今後も日本の公開スライドを中心に解説を行っていく予定ですが、気になる海外企業などございましたら、気軽にお知らせ下さい。

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