【パワポ研の決算資料探訪22】株式会社キューブの「スタイリッシュ過ぎる」決算説明資料
企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ22回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。
今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、株式会社キューブ。衣服・雑貨の企画・製造・販売/ ライセンス事業を担うベンチャー企業です。
それでは早速見ていきましょう。
表紙
この時点で既にスタイリッシュに見えます。黒地に白文字という組み合わせは、可読性はともかくとして高級感を与えます。また、蛍光色(蛍光グリーンやイエロー、パープルなど)はゲーミンググッズなどにしばしば使われる通り、近未来的な印象を与えます。
会社概要
会社概要のページで、この資料が普通でなくスタイリッシュなことがわかるでしょう。表紙はまだしも、他のページで背景を黒地にするケースは、特にIR資料においてはまず見られません。なぜなら、やはり可読性は落ちてしまうからです。また、印刷した際にインク代がハンパではないという問題もあります。
しかし、PCの画面でさらりと見るくらいなら問題なく、スタイリッシュさを優先させたいという判断なのでしょう。確かに、IR資料はコーポレートのイメージを体現する側面もあるため、優先すべき事象があるのなら、そうするのも一つの手段です(例えば、ZOZOなどはその好例です)
この事例では、黒地に白文字、そしてゲーミングに映える蛍光パープルを採用しています。もし余力があったとすると、右側の円グラフはパワポデフォルトに近いカラーではなく、このスタイルにマッチした色、それこそ蛍光色などでまとめてもよかったかもしれません。
2022年度業績ハイライト
上記で円グラフについて指摘しましたが、他のページでは上手く蛍光色などを活用した艶やかなグラフが作られています。紫・青系統の色を上手く明度・再度を調整して見やすいグラフになっていますね。これなら黒地にも違和感なく溶け込みます。
また、このスライドでは左右のタイトル(「販売チャネル別売上」など)の下のラインが左右それぞれピンクと紫になっています。白色でもよいのですが、とにかくスタイリッシュにしようとする工夫が感じられます。
市場環境・マーケットサイズ
円グラフもこのようにゲーミングな色合いになっています。可読性はこの色合いならもっと下がるかと思いましたが、オレンジ色などを組み合わせて見やすさが保てています。また、メッセージ(「富裕層に向けた……」)部分の下線は、今度はグラデーションになっています。綺羅やかな工夫です。
2022年度決算サマリー
案外にオレンジ色も合うんですね。水色は少し見解が分かれそうです。
国・地域別展開状況
地図もおしゃれ。白地図でも十分映えそうなポイントですが、あえて縞状のデザインで、かつ青系統グラデーションカラーで地図を描いています。手間暇がかなりかかっていますが、独自性はかなり出ますね。
成長戦略:ロードマップ
光の描写(図の右端の白い部分)を入れると、かなり艶やかになりますね。白、オレンジの各色も、効果的に使われています。
ピンク色がかなり目立つので、このような積み上げグラフのスライドは、資料全体でかなりの存在感が出ます。
マネジメントチーム
もちろん、グラフ以外もゲーミングでスタイリッシュな仕上がりになっています。
通常、こういった役員紹介のスライドは落ち着いたテイストに仕上げられることが多いですが、このスライドも他のスライドと同じく、近未来的なテイストに収められています。名前フリガナ部分の青~紫へのグラデーションは、本質的には全く不要ではあるのですが、手が込んでいて気持ち良いですね。
今後のチャネル計画
グラフ以外でも、この時間推移(時系列)を表すページはオレンジ色をかなり効果的に活用しています。本質的には、ピンク・紫・オレンジそれぞれ全く意味がなく、白地に黒文字・黒図形でその機能要件は満たしています。しかし果たして、このような色遣いは恰好が良いですね。
沿革
時系列で言えば、この沿革を表すスライドは強烈ですね。
おそらく、色に頼らない(例えば、白地のスライドでも)他にはない魅力を呈するでしょう。況や、この色の組み合わせをや、といったところです。尖っていますね。
ディバイダー
(あえて)最後に、このディバイダーのスライドを紹介して結びます。どうやったらこのデザインの発想が出てくるのか。一介の(デザイン畑ではない)サラリーマンでは厳しいでしょう。
キューブ社はラグジュアリーブランドを提供する企業ですので、やはり同社のデザインセンスが優れている、ということに他ならないのかと推測できます。
まとめ
はっきり言って、めちゃめちゃ格好良い、洗練された、スタイリッシュなIR資料であると言えるますが、素人がマネするのはかなり危険です。それは、まず普通はこのようなセンスは(みなさん残念ながら)持ち合わせていなく、また(デザイン系の企業ではない限り)収益には直結しない業務になってしまう割に、手間暇がかかるからです。要すれば、労多かれど益少なし、の典型になりやすいためです。
しかし、キューブ社のように自社のデザインセンスが優れ、かつ優れたデザインセンスを示すことが自社の価値を引き上げるのなら、このような工夫は当然業務として行うべきでしょう。上手いやり方かと思います。
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