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【マネしたい】2019年マザーズ上場企業のIR資料から考える「メッセージの伝わる円グラフ」とは?
みなさんこんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。
今回は「見映えの良いグラフシリーズ」第2弾ということで、成長著しい東京マザーズの上場企業に焦点をあて、IR資料からExcellentな円グラフとはどのようなものかを考えていきたいと思います。
パワポ研の記事でも円グラフは視覚的にメッセージが伝わりづらく、あまり使用をオススメしないグラフという位置づけでお伝えしてきました。ただ、割合を示す際には円グラフが根強く使われていることも事実です。
そこで今回はどのような円グラフであれば、メッセージが伝わりやすいのかを紐解いていきたいと思います。それでは早速、見ていきましょう!
2色の対比でメッセージを補完 「freee」
![フリー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41240366/picture_pc_7765283ebcc69c55ea0e20439816e439.jpg?width=800)
クラウド会計ソフト大手のフリー株式会社のIR資料は、「対比」が明確な配色となっており、視認性の良い資料を作成する上で非常に参考になります。円グラフに内包されたメッセージは「中小企業におけるクラウド会計の普及状況を鑑みると、まだ10%ほどしか導入が進んでおらずかなりの伸びしろが大きい」ということですが、灰色と青色の「対比」がはっきりしているので、上段のメッセージを補完する形で、クラウド会計ソフトウェア市場に開拓余地があることが一目で理解できます。
上級テクニックのカラフル手法 「BASE」
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41240885/picture_pc_d9865e7375b77a33dd3fca2fe7cccfe4.jpg?width=800)
ECサイトの開設サポートサービスを提供するBASE社は、全四半期比で円グラフを並べることで、「ECにおいて、どの領域の商品が売れているのか」を示しています。この資料では強調カラーである「赤色」とメインカラーである「緑色」を使うことで「ファッション領域の割合が大きく増加」「食べ物・飲み物領域の割合が減少」というメッセージを表現しています。使用する色が増えるほど資料は見づらくなることが多いですが、視覚的に嫌な印象を抱かない配色となっており、上級テクニックと言えるでしょう。
決算ハイライトで異例の円グラフ「ギフティ」
![ギフティ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41241994/picture_pc_3d3075929b2eeb5862cb73bcff46e1c1.jpg?width=800)
あらゆる体験に対してギフティングの可能性を模索しながらサービスを展開するギフティ社は、非常にユニークな形で円グラフを使用しています。IR資料の序盤に登場する決算ハイライトに円グラフで「売上構成比」を示すとともに「それぞれの事業概要」を説明しています。上場企業ともなると、通常、複数のサービスを展開しているので、「どの事業が何をやっていて儲かっているのか」という点が最も気になるポイントになります。その説明をこのスライド1枚で抑えることができるのは、参考にすべき活用方法だといえます。
株主構成はメッセージが重要「ランサーズ」
![ランサーズ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41242542/picture_pc_21777b81bd087de9624b36920b07ee88.jpg?width=800)
個人の働き手と企業とのマッチングプラットフォームを運営するランサーズ社からは株主構成を示す円グラフをご紹介いたします。株主構成の資料は「グローバル展開が志向されているかどうか」という観点で海外投資家比率を見るために増えてきている印象があります。この資料では、濃青~灰色をグラデーションさせる形で、各株主グループの推移を示しています。また、海外投資家、国内投資家、VCの領域に濃い色を使うことで、メッセージで言及された内容が視覚的に強調されています。重要なことは「どんなメッセージを伝えるか」と「そのメッセージを円グラフとどのように対応させるか」です。配色にこだわりすぎずに、メッセージとの対応を意識することが大切だと言えるでしょう。
テキストの視覚的な印象が強いことがわかる事例 「ChatWork」
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41243433/picture_pc_b09dee7a89ac365e29e550732f03c777.jpg?width=800)
ビジネスチャットの開発・運営事業を展開するChatwork社の円グラフはお手本通りと言えるでしょう。灰色と赤色(ピンク色)を対比する形で、ビジネスチャットの利用状況が進んでいないことをメッセージとして伝えています。
ただし、この資料からお伝えしたいことはその点ではありません。同じ色を使っているにもかかわらず、視覚的には明らかに右下の「6,455億円」のほうが優位なのです。つまり、極論を言えば、円グラフの代わりに「ビジネスチャットの利用状況は、企業全体の31.5%にとどまる」としたうえで、「31.5%」の文字サイズを大きくして、色を変えるという方法もあり得るということです。
この資料の場合は円グラフを選択していることは適切だと思いますが、資料を作成する際には、短絡的に「割合」=「円グラフ」と考えるのではなく、円グラフの視覚的な印象が弱いことを理解した上で、円グラフを他の表現で代替できる可能性は無いかを確認してみることも重要だと言えるでしょう。
文字のバランスを意識したドーナツ型「Makuake」
![](https://assets.st-note.com/img/1661779027782-fNfiBdy7xW.png?width=800)
クラウドファンディングプラットフォームを提供するマクアケ社の円グラフはBASE社よりもさらに色数が多いものの、明度・彩度が適切に調整され、視認性の高いデザインとなっております。マクアケ社のロゴ自体が水色、ピンク、黄色、黄緑の4色をメインカラーとしているため、グラフの配色にも非常にこだわりを感じます。
また、グラフの中で利用する数字に関してもフォントの大きさを数字と単位(%や件など)で分けたり、グラフに入りきらない部分を外出ししたりと、視認性を向上させる取り組みが確認できます。
真ん中が空洞になっている「ドーナツ型」の円グラフは、中の空洞の大きさと文字のバランスを調整するのが難しいのですが、同スライドはその難題をクリアした好事例と言えるでしょう。
2020年9月期決算説明資料より引用
まとめ
円グラフは良く使われているグラフの一つではありますが、スペースを取る割に情報量が少ないグラフです。積み上げ棒グラフなどの他のグラフで代替ができるのであれば、無理に使う必要はないともいえます。もし使う場合には、できる限り色の数を減らして「メッセージとの関連」と「濃淡の対比」を意識することで、ある程度インパクトのあるグラフを作成できるようになるでしょうと思います。今回紹介した各社のデザインが何かの参考になれば幸いです。
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