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【パワポ研の決算資料探訪11】アシロ社の決算説明資料は”新時代のスタンダード”と言える

企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ11回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「株式会社アシロ」。(解説)。この決算説明資料の特徴は、「取り立てて特徴が無いが、見やすい。誰でも真似できる」ということにあります

2021年10月期 3Q決算説明会資料
(https://assets.minkabu.jp/news/article_media_content/urn:newsml:tdnet.info:20210913497448/140120210913497448.pdf)

それでは早速見ていきましょう。

表紙

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特に拘りはなさそうです。強いて特徴を挙げれば、会社ロゴの三角形を意識した図形が配されています。表紙は日付と「いつの決算資料か」と企業名(+ロゴ)が入っていれば十分です。

また、ここで資料全体に繋がる色が提示されています。この青緑系の色と黄色系の色は資料全体を通じた”テーマ的”カラーとして頻出します。

目次

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前述の通り、テーマカラーを上手く使っています。妙な工夫がなく、見る人の負担も少ないです。強いて言えば、左下のロゴと右下のページ表記の"P."は不要かもしれないですね。Pと書かなくてもスライド右下に数値が記載してあればそれはページ数ですので。不要な情報を極力排することは読み手の負担を減らすことに繋がり、そういった読み手の負担が少ない資料は良い資料と言えるでしょう。

ディバイダー

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ちょっと凝り過ぎかもしれません。この一枚を作ってしまえば他のディバイダーでも使いまわせる、というのであれば問題はないのかもしれません。読み手としては「別に気にも留めない」のでどちらでもよいのかもしれません。こういうテクスチャを作成する場合は、黄金比的な(あるいはそれに準ずるもの)を採用・検討しなければ、見る人によっては違和感を覚えるかもしれないので案外難しいのです(このスライドがそうなのかは分かりませんが)。

事業内容

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さて、本題にようやく突入します。冒頭で「取り立てて特徴がない」と述べましたが、特徴がないのが最大の特徴になります。

一般的にスライドというのは、「タイトル」と「メッセージ」があるものです(ここでは「事業内容」がタイトルで、「当社は~」がメッセージ)。しかし、この片方(特にメッセージ)がないスライドが決算説明資料では頻発しています。例外的に数値等を「言いたいだけ」のスライドならメッセージは不要なのですが、ほとんどのスライドにはメッセージが必要です。なぜなら、スライドはその「メッセージ」を言うということが存在意義であり、画面中央の「ボディ」の部分はそれを支えるための「オマケ」でしかないからです。タイトル×メッセージ×ボディの構成を徹底するだけで、資料全体がぐっと見やすくなります。

さてそのボディですが、このスライドでは左右の2パネルに分かれております。こういうように明確に左右を区切る(あるいは三分割する)スライドは全ての基本なのですが、案外それを守れていない資料が多いです。ひどいものでは、縦横無尽にグラフは図形が配置されていたりもします。そうしたスライドは酷く見づらいものになってしまいますが、上記のようにちゃんと分割されていると見やすいものです。なお、後に出てきますが「分割する必要がない」スライドではこの限りではありません。

ビジネスモデル

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例えばこのスライドは「分割する必要がない」スライドですね。スライド全体で、図的にビジネスモデルを表現しています。

また、前のページでは触れませんでしたが、多様な色を用いる場面でもメインカラーの「青緑系」と「黄色」(+黒系)で資料を処理しています。例えば縦軸(「リーガルメディア」や「派生メディア」)などは全く違う色を使う企業もありますが、このように統一テーマの色にしておけば見易くなります。

当社顧客基盤及び市場のポテンシャル

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これは左右に分割した方がよいスライドで、そしてきれいに分割されています。。左が顧客基盤(数)、右が弁護士報酬。両方を合わせて「まだまだ拡大できますよ」というのがメッセージ。シンプルですがよくできたスライドです。

弁護士数の増加基調の継続

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この資料も「分割する必要がないスライド」です。注目したいのは、珍しく「赤系」の色を挟んでいるところ。これはアクセントカラーとなり、特に強調したいところをハイライトする役割があります。「ここぞ」というときにしか使いません。この資料では、「一人当たりの国民数の減少」が広告出稿需要に繋がることから作成者が重要と考えていると推測できます。それならばもう少し折れ線グラフのpt数(太さ)が大きくても良かったかもしれませんが……。

予算進捗

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このスライドは「シンプル」ということでピックアップしてみました。スライドは「ワンスライド・ワンメッセージ」が原則で、そのメッセージが支えられるならボディはこれほどシンプルでもいいのです。情報量が少なそうに見えて不安になる人もいるかもしれませんが、最低限という意味ではこの程度でも十分です(余白に不安があるなら営業利益率などを示してあげてもよいかもしれません)。

リーガルメディアの収益モデル

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このスライドも左右で分かりやすく分割されています。また、赤色も上手くハイライトとして起用されています。文句のつけようのないスライドです。

四半期決算

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このスライドは「Appendix(おまけ)」です。このスライドはメッセージがありませんが、「特に言いたいことがない」スライドなのでこの構成でいいのです。このスライドが本編に入っているとイマイチですが、Appendixなら問題ありません。色使いも奇麗で、数値も右寄せ。分かりやすい表スライドですね。

まとめ

「至ってシンプル」と思われた方もおりますでしょうが、この「シンプル(普通)」というのが足し算と引き算を組み合わせた結果生じるモノなので、意外と難しいのです。それを徹底するだけで見やすい資料になる、という解説でした。

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