【パワポ研オリジナルテンプレート解説③】パワポ研テンプレで「決算説明資料」の読み方を理解しよう!
みなさんこんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。日々noteやTwitterでパワポに関する情報発信をしています。
今回は、現在好評発売中のテンプレートの中から「決算説明資料」を例にとって、決算説明資料の読み取り方を解説していきたいと思います。もちろん、決算説明資料を”書く”立場の人も参考にできる内容になっております。では早速見ていきましょう!
テンプレートの概要はこちら↓
決算説明資料とは?
決算説明資料は、主に「株主向けに企業の現状と将来像を説明する」ために用いられる資料です。企業には株主に対する説明責任が存在しますので、それを四半期に一度実施するための資料、という位置づけです。
この決算説明資料は企業によって「ちゃんとやっているか否か」という度合いが全く異なります。デザインが全くイケていない企業もありますし、逆に例えば株式会社ZOZOなどは独自の世界観でかなり力の入れた決算説明資料になっています。
ですが、力を入れる必要が果たしてあるのか、という問題があります。そもそも本業で業績が好調なのであれば、株主的にはとくに聞きたい話もありません。なので、好調な企業は派手な説明資料を作る必要はありません。逆に調子が悪い企業では、その説明を丁寧にこなす必要があるのは当然ですね。
今回例に挙げるテンプレートでは、企業は「それなりに好調」なためそこまで凝った資料にはなっていません。しかし、押さえるべきところは押さえているので、世の中にある決算説明資料の中でも有数の見やすさになっていると思います。もし作成担当者がいらっしゃったら、こちらを参考にすればまず文句は言われません。
そんな決算説明資料について、この場で解説をしていきます。
スライド作成に入る前に
今回紹介する資料は、決算説明資料の見栄えとしては80点くらいのものです。「100年に一度の出来栄え!」とか「決算説明資料で話題になる!」類のものでは決してありません。しかし、企業の言いたいことは100%伝えられますし、また読み手もその全てに納得できる内容になっています。
なお、掲載する企業は架空の企業です。また、資料内部に出てくる商品やその他固有名詞に関しても全て架空のものになります。
スライド解説
◆表紙
画面に商品画像を配置しつつも、必要な要素が全て入っています。この場合必要な要素は「いつの」「どのような」「誰の」資料ということで、この場合は「2020年度通期の」「決算説明会の」「東亜城南科学食品の」資料ということになります。必要最小限の構成ですね。右上に社名とロゴ、というのも定番のやり方です。ちなみに、表紙があまりに野暮ったい企業はその中身も大体野暮ったいことが多いです。
なお、ピッチ資料などはタイトルを凝ることがありますが、決算説明資料でタイトルを変わったものにすることはまずありません。
◆目次/ディバイダー
目次は導入している企業が多いです。このスライドでは左側は紺色に染め上げていますが、表紙同様に商品などを配置する企業も時々見られます。しかし、写真というのは凝りすぎるとどこまでも凝れてしまうので、適度な線引きを儲けましょう。企業によっては荒すぎるjpg画像が強引に張り付けてあったりしますが、それをするくらいなら画像はない方がマシです。
構成は、「昨年度(or前期)の総括」「翌年度(or次期)の見込み」と「Appendix(おまけ)」というものが一般的です。
◆今期ハイライト
いわゆる、エグゼクティブサマリーです。株主の皆様はこれ一枚で大体の業績がつかめます。逆に作り手側は、これ一枚でほぼ全てが伝わるように作成しなければなりません。
とすると、必然的に情報量の多いワードスライドになります。その場合はどこを見ればよいか目が散ってしまうので、このスライドのように赤字でハイライトをかけてあげるとよいですね。
◆業績サマリー(グラフ)
よくある、「売上と営業利益」の組み合わせです。株主(あるいはその候補)は最もこのページを気にします。今期だけではなく、過去からの推移を入れるのがポイントです。また、セグメントに切ってあるとより親切ですね。
なお、細かい数字は有価証券報告書を見れば分かるので、ぱっと見て視認できるスライドであるべきでしょう。もしも情報がなければ、株主の皆さんは有報を確認しましょう。
◆業績サマリー(表)
前のページと書いてある内容は同じですが、今期の数字についてより分かりやすくなっています。なくても良いページかもしれませんが、グラフでずらっと並べられるよりも見やすいですよね?
◆変化のドライバー1
さて、株主視点で気になるのが「なぜそのような業績を達成できたか(あるいは、そのような結果に終わってしまったのか」ということですので、その説明が必要です。この場合は、個別のセグメント毎に説明をしてあげるのが一般的でしょう。
このスライドでは、ヘルスケア事業について買収をしましたのでその詳細を説明しています。この「変化のドライバー」については、各部門から上がってくる情報を集約して纏めるのが作成者の腕の見せ所です。
ちなみに、こういった株主向け資料(IR資料)は、多くの企業ではIR部(ないし社長室)が主導で作成し、各パーツを各部門が担当して、それをまたIR部が取りまとめる、という様式で作成されます。なので、割合に各部門に都合の良いことしかかかれないこともあるので、株主の方は注意が必要です。
◆変化のドライバー2
一瞬戸惑うレイアウトになっていますが、インパクトは大きいです。黒基調の背景に白文字というスライドがポツンと一枚あると「映えます」ね。ただし、使いどころが難しいので無理して導入する必要ありません。この場合は、新商品の貢献があまりに良かった(という設定)でしたので、このようなフォーマットになっています。
◆変化のドライバー3
一転、キャッチーなスライドになります。決算説明資料では以前はこのようなキャッチーなスライドはあまりありませんでしたが、最近は遊び心の少しあるスライドも増えてきています。このスライドも、文字だけでメディア露出を表すことは十分にできましたが、アイコンがあると雰囲気が伝わりやすくなりますので採用しています。
◆営業生産性の改善
さて一転ワーディなスライドになります。これは、「どんな課題をいかにして解決したか」というスライドになりますが、こういった内容は恣意的にピックアップできるので作り手としては楽ですね。一方で、投資家の皆さんは警戒が必要です。鵜呑みにすることなく、数値的指標でどのような改善したかを確認するのが肝要です。
なお、このスライドでは他企業のロゴを引用しています。これもキャッチーですね。
◆コスト構造
前のページの補足になるスライドです。このスライドがあれば、投資家も「ああ、改善したな」と納得できます。こうした定量的なデータは、もし不都合がなければどんどん使っていきましょう。もしかするとこのスライドも、営業部的には「ちょっと数字開示し過ぎ」ということになるかもしれません。
ここからは、来期について言及したスライドになります。
◆中期計画
よく見るこのスライド、情報量は全くありません。しかし、決算説明資料では中期計画に関するがほぼ必須です。なぜなら、投資家には長期的に株を持っていてほしいからです。
なお、中期計画について別資料で解説する場合はそこまで詳細な情報を掲載する必要はありません。この資料でもそのような設定に基づいて軽く触れる程度に留めています。
◆業績見通し
いわゆる来期のサマリー(予定)です。今期のサマリーと同じフォーマットで全く問題ありません。あまりコロコロ見た目が変わると投資家は理解しづらいものです。
◆業績見込み
これも今期と同様のフォーマットですので、特段コメントはありません。一言あるとすると、予定は未定です。企業は調子のよい数字を高らかに歌い上げますので、投資家は当然警戒するべきでしょう。
◆事業毎の施策(予定)
予定は未定ですが、「こうしたことをやります」ということは決まっています。この場合では、「自社商材の拡充をかんばります」というのがそれに相当します。以前の頁でも使いますが、真ん中に矢印を挟んだフォーマットというのは使い勝手が良いです。
◆海外進出
これも使い勝手の良いフォーマットですね。「海外進出をします!」というだけでは今一つですが、具体的な地点を指し示すことで納得感が出ます。
一方、投資家としては「本当に実現できるのか?」を質疑応答などで問いただすべきでしょう。紙面には限界がありますので、書いていない情報が出てくるかもしれません。
◆人材獲得
さて、昨今HR(ヒューマンリソース)が注目されています。転職市場も活況ですので、こうした人材を獲得していますというアピールは投資家にとっても悪くはない情報です。また、転職希望者はIR資料を見ることがままある(というか、当然そうすべき)ので、そういった副次的な効果も狙えます。
ここではキャッチーなアイコンを利用していますが、実際の従業員の画像を出してもよいかもしれませんね。より「リアル」なイメージを与えられますし、掲載された従業員も悪い気はしないでしょう。
◆社長のメッセージ
一般に、決算説明資料は社長が代表して株主に向けて伝えることが多いです。そのため、予め社長の言葉を綴ったスライドを入れておくと議事進行がスムーズになります。このスライドでは、紺系の背景に白文字と、「映える」スライドにしてあります。また、文字サイズも相当大きいです。
逆に、投資家視点では話半分に聞いておいてもよいかもしれません。実際に何を考えているのかは分かりませんからね。
さて、ここからは「Appendix」の内容になりますので、基本的なあってもなくても良いスライドです。では、なぜ作るのかは個々のスライドで解説します。
◆会社概要
あっても良いし、無くても良いスライドの典型です。「この会社に新しく投資しよう」という投資家向け資料になりますね。なので、建前上は既存株主向けの決算説明資料としては本編に採用しないことが多いです。ただし、上場初期などは本編に入れてもよいかもしれません。
◆ESG
最近はやりのESGです。これも本業とはあまり関係がないので本編には入れないことが多いです。しかし、ESG的な取り組みをしていないと投資家が納得しないことが増えてきたので、こういう一枚があればベターですね。上記のように、実際の作業や取り組みの画像と、その結果が分かればGoodです。
◆貸借対照表
これも本編には不要です。「あれ、必要じゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、こんな細かいスライドを社長が時間内に説明にするのは不可能です。また、紙面のスペースにも限界がありますので一部の抜粋となります。そういう意味でもAppendixです。細かい話は有価証券報告書を見てください、ということです。なので、投資家の皆さんはしっかりと有報を確認しましょう。
◆CF
これも上記と同じ理由で本編ではありません。ですが、無いと投資家が不安になるので入れた方がよいですね。
◆免責事項
必須です。しかし、別に説明したいわけではありません。なのでAppendixなのです。
なお、内容については前年度のものの流用や、他の企業のものなどを参考にしながら手短に作りましょう。
◆裏表紙
表紙と同じく、特に拘らないようにしましょう。また、表紙と違って必要な要素は特にないので、ロゴを大きく記載しておけば十分です。
まとめ
以上が80点の決算説明資料の全貌です。実は、80点レベルに到達している決算説明資料はほぼありません。ですが、これを参考にすれば簡単に作れることがご理解いただけましたでしょうか? また、投資家の皆さんにも見るべきポイントを解説できたと思います。
いろいろTipsを交えましたが、基本は他の資料と同じです。伝えたいメッセージをクリアに伝えるスライドを作ろう、そのために余計なノイズを無くそうということだけです。お分かりかと思いますが、必要以上にVividな色使いもしていないし、アニメーションもないし、変な影や3Dは全く使用していません。
なお、この記事で紹介したスライドは「パワポ研オリジナルテンプレート」として購入可能です。ページの最下部のURLより詳細をご確認ください!
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