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コンサルの資料って数千万円もするの!?そのカラクリ解説します

みなさん、こんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。

今日は「なぜコンサルの作るパワポはあんなに高いのか」というテーマについて、具体的な給与体系や調査コストを交えながら、解説していきます。また、コンサルタントが作る資料の特徴についても、分析していきます。

はじめに

おそらく多くのビジネス・パーソンはコンサルティング・ファームの資料を「流石に高すぎる」「あこぎ」「ぼったくり」と思っていることでしょう。その額、一冊数千万円。下々の身からすると高額の極みです。
100ページにも満たないその資料が、とんでもない金額で取引される。そして、発注者はそれを納得して受け取り、次の仕事を依頼する(あるいは、コンサルタントが提案してくる)。

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全くもって不自然極まりないのですが、これが平然と行われていることを思うと適正な金額なのでしょう。過剰な接待が大々的にに行われているという話も聞かないので、やはりこれが適正価格のようです。

本記事では、その価格の謎、つまりその金額で取引が了承される謎について踏み入って解説してみようと思います。

実際に値段相応の資料なのか

ここでは、値段の構成要素として二つの要素を考える必要があります。

1)デザイン性:見た目の美しさが、対価に対して満足できるものであるか
2)コンテンツ充実度:内容が、対価に対して十分な質・量であるか

この二通りの目線で、価格が妥当かどうかを検証していきます。


1)デザイン性

まず、MEDLEY社の会社紹介資料を見てみましょう。

様々な媒体で紹介されている通り、MEDLEY社はヘルスケア系ベンチャー企業の雄であり、資料もかなり”今風”な仕上がりになっています。

次に、コンサルティング・ファームの資料を見てみましょう。

上記はMcKinsey&Company社がインドの貧困と成長についてまとめたスライドです。グラフスライドは全体的に原色系の色を用いており、ケバケバしい印象を受けます。また、右側の余白に画像を埋め込んでいるスライドが散見されますが、これもスライド全体の視認性を下げることになっています。

続いて、BCG社の資料に関しても、確認してみましょう。

こちらは全体的に色使いが地味で、余白も広いため、デザイン的にはあまり優れた資料でないことがお分かりいただけるでしょう。また、イラストに乏しかったり、四角四面なスライドが続いたりすることも見て取れると思います。

上記で紹介した2つのスライドは少し古い資料なので、これだけでダサいと断定するのはナンセンスですが、他のコンサルティング・ファームの資料に関しても、デザイン性は似たり寄ったりで、最新のベンチャー企業の資料と較べると少し……いや、はっきりと劣ることが分かります。読み物として地味なので、とてもとても数千万円の資料には見えないのが実情です。


2)コンテンツ充実度

では何で相応の対価を示しているのかというと、言うまでもなく、コンテンツです。一つ一つ例に上げるとキリがないのですが、戦略ファームを中心としたいわゆるプレミアム・ファームは大きく二種類の案件を抱えています。

a)即効性の案件:コスト削減や新規事業開発等
b)遅効性の案件:中長期計画やパーパス(目的)系等

a)については、例えば調達系のプロジェクトなどが分かりやすいです。調達系なら、コスト最適化により数か月一億円のプロジェクトを発注したとしても、今後数年にわたりそれ以上の削減効果が見込めるので、価格の説明が容易です。調達先の選定から、調達の考え方・その実行の仕方までを逐一資料に落とすという作業がメインとなります。近年流行りのDX(デジタル・トランスフォーメーション)などもその内数となる場合があります。

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b)については、いわゆる戦略ファーム御用達の案件になります。十年後の市場の変化×自社のアセットを見定め、今後とるべき方針を策定する。これぞ戦略コンサル、という案件です。a)なら自社内でもある程度頑張れる企業はありますが、b)に関しては自社の経営企画部やお偉いさんがどう頭をひねっても出せないor策定に数年かかってしまうケースがほとんどです。

そのため、後者の定量化は難しいにせよ、コンサルの付加価値が大きいことが分かります。これをぽっと出のベンチャーや、社内のちょっと頭がいいような人材が実現するのは極めて困難です。

以上から、中身としては相応のものが出てくるので、それに対しては納得感をもって対価が支払われていることが分かりました。そうすると当然、次の疑問が生まれてきます。

まだまだ納得できない人向けに:なぜそんなにも高額なのか

中身が詰まっているとはいえデザイン的にはは大したことがない資料が、高値で売れる理由は分かった。しかし、もうちょっと安いくてもいいのではないだろうか……というのが発注者の本音だと思われます。プロジェクトには数人しか参画しているようには見えないのに、お値段数千万円/一か月。これはやりすぎではないだろうか……。


1)コンサルタントの人件費

実は、コンサルタントのチームは現場でよく見かける人間と、バックオフィスで働く人間の2つのタイプで構成されています。バックオフィスの存在は当然と言えば当然(どの企業でも経理や財務の人はいるものなので)なのですが、コンサルタントのチームにも普段あまり見かけない人間がいます。

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上述のあまり出てこない人の筆頭格がシニアパートナー。シニアパートナーというのは、日々の現場にはほとんど出てこない。こういう人たちのコストが費用を圧迫しているのは言うまでもないのですが、こういうシニアな人材こそがコンサルタントの示唆の肝なので外そうにも外せないのです。「シニアパートナーは参画いただかなくて結構ですので、ディスカウントしてください」という発言は当然NGとなります。


2)人件費以外の費用

コンサルタントも企業人であるので、当然その他諸経費がかかってきます。彼らの年収だけで費用を算出するのは、車の金額を板金だけで計上する愚に等しいといえます。ということで、その他費用も加えてみましょう。

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おおよそこんなものではないでしょうか。上の人件費だけみると1,000万円と少しの値ですが、普通の企業と同じように福利厚生費や会社のピンハネ分などが乗ってくるため、合計数千万円程度と大変お買い求め易くなっております。人員数はチーム体制によって、年収はファームによって変動するので、あくまでこんなものだろう、ということでどうか一つ。

人がなぜこんなにも必要なのかというと、それは彼らが最終報告資料だけを日々作成しているわけではないからです。最終報告資料に至るまで、中間報告や現場のメンバーと日々鍔迫り合いな議論をしてこその、最終報告資料なので。そのために「こんなに人が必要ですかね……」と思う方もいらっしゃると思いましが、彼らの働きぶりについて、ここでは説明の場を他に譲りたいと思います。ネットのどこかや友人にお尋ねいただければ。

それでも納得できない人向けに:コストを下げる方法

しかし、それでも納得がいかない。高すぎる、と暴動を起こしたい方向けにいくつかディスカウントの方法を紹介しましょう。


1)社内の根回しをしっかりとしておく

コンサルタントをよく思わない人は多いです。理由は、彼らの年収。外部から自分の何倍もの単価の若造がやってくると、心中複雑になることもあるでしょう。彼らの年収をなんとかするのは難しく、またコンサルタントの有用性を説明するのも難しいため、釈然としません。

そういう人はどうするか。そう、妨害に回るのです。もっとも妨害と言っても、いい年をした大人がやることなので、直接的なものではないのですが。

例えば、社内のデータ収集に対して動きが遅いなどがそれにあたります。データのある場所すら把握していないという企業側の問題もあるのですが、それを把握している人になかなかリーチできなかったりするケースもあります。また、重要人物にインタビューをしたいが、企画側(コンサルタントに発注した部門)とそうでない部門の熱量の差分は思いのほか大きいため、インタビューをしたいと思ってから一週間以上経過する、というのもザラにあります。

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そういうときにラグタイムが発生し、プロジェクトの期間が延びる。そうすると、費用もかかる。もしかすると妨害している方は妨害しているという自覚がないのかもしれませんが、そうこうしている間にもどんどんコストは膨らんでいっています。

この問題を解消するためには、社内の根回しが必要不可欠です。例えば、社長がトップダウンで「これは最優先のプロジェクトのため、協力を惜しむな」と指令を一言述べるなど。なんなら、KPIを設定して賞与に反映させてもよいくらいです。個人の賞与とコンサルタントの費用を天秤にかけた時、どちらがコストパフォーマンスが良いか、そういう計算のもとに根回しを実施したほうがよいでしょう。


2)協力を惜しまない

協力というのは、具体的には社内データリサーチや社内向け資料作成などを指します。社内データリサーチは、コンサルタントもその企業のデータのフォーマットを理解しているわけではないので、自社で実施した方が効率がよい場合も多いです。社内向けの説明資料は、わざわざコンサルタントが手掛ける必要がないともいえます(最終報告資料を除く)。

また、協力する際に「現場のエースの成長のため……」という観点は捨ててもよいでしょう。コンサルタントにとっては企業側がどれほどの人材を出してきたとしても、コンサル的な業務に従事させる場合にはそれほど戦力になりません。なので、現場のエースはあくまでコンサルタントの議論相手として配置するべきです。

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3)その上で、(提案の次点で)プロジェクトの期間を短縮させる

上記を達成すれば、コンサルタントの手間が減る。手間が減れば、期間は短くなる。それをプロジェクトの提案次点で(あるいは、次回プロジェクトで)示せれば、コスト削減に繋がることは言うまでもありません。

つまるところ、彼らに根回しや意味のない資料作成など余計な仕事をさせない、ということが肝心なのです。高級文房具と日夜揶揄されるコンサルタントですが、そう揶揄する方が高級文房具扱いをしているからこそそういう発言が出るのであって、本質的には彼ら高級文房具ではありません。そういう役も「できてしまう」だけなのです。そのため、コンサルタントの価値を最大限に発揮できない社内向けの資料作成などは、企業側で巻き取ってしまうべきです。

前段で述べたとおり、コンサルタントはデザイン的に優れた資料を作成しているわけではありません。資料においては、中身の充実とシンプルな伝わりやすいさが彼らの売りでなのです。その中身の詰まった資料を企業側で分かりやすく視認性の良い資料に手直しするだけで、そのクオリティはグッと上がります。

おわりに

値段が高すぎるコンサルタントの資料のからくり、お分かりいただけたでしょうか。彼らの資料は中身は大変充実していて、その付加価値を出すためには相応の対価が必要になります。それが現状は数千万円単位の金額となっているのです。
しかし、工夫をすればコストを下げることは不可能ではありません。彼らに単純にディスカウントを要求するのではなく、社内での根回しや作業の巻き取りを実施するなど実績ができれば、交渉の余地はあります。ロジカルにそういった議論を吹っ掛ければ、それが彼らの土俵である以上、きっと受けて立つに違いないでしょう。

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