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【パワポ研の決算資料探訪⑦】アトラエ社の決算説明資料は”ぽくない”決算説明資料

企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ7回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「株式会社アトラエ」。ビジネスマッチングアプリのyentaや、成功報酬型求人メディアのGreenなどを運営している企業です。

2021年9月期 第1四半期決算説明会資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6194/ir_material_for_fiscal_ym/95297/00.pdf

資料に関して特徴的なことはあまりありませんが、いわゆるガチガチに固まった決算資料からは少し離れたスライドライティングになっていましたので、それを紹介したいと思います。

それでは早速見ていきましょう。

表紙

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特段変わったことはありません。ロゴもあり、必要な情報もある(決算期と資料名等)ということで、無難な表紙です。強いて言うならば、この後頻出するペパーミントブルーを多く配して、今後のスライド構成を予感させる色使いになっていることはポイントかもしれません。

Our Vision

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このスライドは、まず決算説明資料らしくなくてよいですね。どちらかというと、会社説明資料によく出てくるスライドです。また、決算資料にありがちな「情報をギチギチの詰め込んだスライド」になっていないのも、良いポイントです。ともすると、こういうスライドでスペースが余った場合は、社長が腕を組んで横に立っていたりするもので、そういうスライドは得てしてノイズが大きくなってしまうものです。それを排除して、純粋にメッセージのみで仕立て上げています。

また、このようなスライドが仮にあったとしても、それを4ページ目に入れるというのは中々の判断です。というのも、株主は(傾向として)企業のポリシーやビジョンというよりも、その事業が今後どうなるのかというところにフォーカスして今後の投資是非を決めるものです。その一番知りたいであろう売上等の情報をさておいてこれを出す、というのは勇気と決断が必要なことです。

2021年9月期 第1四半期 実績

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さて、こちらは決算資料に必要な実績紹介のページです。どうでしょうか、他社と比較するとキャッチーなページになっていませんか? 一般的なものは、例えば表に数値がズラっと並んでいたり、あるいはグラフが延々と続いているという様相がほとんどでしょう。このように、ワードベースでハイライトして書く、というのは読み手からすると理解力が深まってよいですね。

参考資料:四半期別業績推移

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もちろん必要な情報は残さなくてはいけないので、参考資料という位置づけで、他社と同じような業績推移のページを掲載しています。でも、このような数値ばかりのページはあまり読まれないと思いますし、また同社も読んで欲しくてこのページを作っているワケではありません。

HR Techとは一線を画すアトラエの事業

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事業紹介のページです。これはデザイン性に優れたページと言えるでしょう。通常なら、例えば画面を横に3分割してそれぞれに画像を載せて語る……というスライドになると思います。その方が情報量が多いので。

一方で、このスライドは情報量こそ少ないものの、デザイン的には優れています。中心の円は三分割して、それを解説する。そのそれぞれの1/3にプロダクトの色を与えているのは見事ですね。

Greenの概要

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前のページで記載した色を思い切りメインで使っています。一般に、資料の中ではベースとなる色を変更しないほうがよいとされていますが、プロダクト毎に資料に色を与える、というのは面白い試みですね。

なお、色が与えられたのはヘッダーとフッター、左側のタイトル・メッセージ、強調したい文章、そして「Point」と記載されたオブジェクトです。要すれば、変えられそうなところは全部手を入れたという様子でしょう。

WEVOXの概要

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前の「Greenの概要」と同じフォーマットで、色だけを変えたスライドになります。上記の通り、変えられる部分を全て変更したスライドですね。逆に言えば、色を変えてもしっくりくるようなスライド構成と配色にしている、ということでデザイナーの腕が光ります。

yentaの概要

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ところが面白いのは続くyentaの紹介ページで、色を結構変えているんですね。というのも、左側で全面に(グラデーションかけつつ)広げている色ではなく、ちょっと見やすい青色を文字に採用しています。形式にこだわりすぎず、ユーザーの可読性を優先させるという考え方に基づいた結果でしょう。

最終ページ

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決算資料探訪のシリーズ記事で最終ページを取り上げることはほとんどなかったと思いますが、このページはおしゃれだったので紹介しておきます。いかにもデザイナーを起用しましたというページですが、まさにその通りです。ビジネスパーソンからはこのスライドの発想は決して浮かびません。ここで示唆があるとすると、「格好良いスライドはビジネスパーソンは作れないので、素直にあきらめるべし。格好良いスライドを作りたいなら、迷わずデザイナーに頼むべし」ということですね。

まとめ

独自のカラーリングとトリッキーなスライドの使い方により、「決算説明資料」には見えない決算説明資料を紹介しました。ここまでオシャレなものを作ることは(おそらく)決して求められてはいないと思いますが、決算説明資料という枠組みの中でもここまで自由な資料を作れる、というのは一つ学びになったのではないでしょうか。押さえるところは押さえて、尖ってよいところは尖る。良い塩梅の資料でした。

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