見出し画像

トマトの調べ

二〇一七年二月八日水曜日

晴れ

そとに出ると、日差しがあたたかい。公園で過ごすには寒い日かしらと思っていたけれど、これはお散歩日和だ。

ストーブの熱は弱火よりもつよいようで、汁気がとんでしまったきのうのおでん。かつおぶしがなくては出汁が足せない。すぐに公園へいきたいけれど、きょうは買い出しはしたくなかったけれどしょうがない。えっちらおっちらスーパーへ。

昼に炊いたお米、わるくなりかけていたニラをみつけて流れるように作ったにらと海苔の佃煮でおむすびをつくり、いざ公園。

帽さんと、夏の夕方にポテトチップスまたはタコスとビールをたべる川沿いの道(なにかあだ名をかんがえたい)に日があたっている。きょうはそちらに行ってみようかしらと降り立って、おむすびをたべる。コンクリートの低い塀のようなところをすすすいと登るのんさん。佃煮混ぜおむすびもおいしそうにほおばって、口のまわりは海苔だらけ。芝で覆われているものの思っていたよりコンクリートが出ているところが多く、よたよた歩きやはいはいをするのんさんにはよくなかったかしら、向かいの土と芝だけのほうにしたらよかったかな、と思いつつおむすびをたべる。たべおわって、両の手をつないで歩きながらすすむ。やっぱりコンクリートが多い。すこし進むと、石の階段(七段)を見つけ、よっこいしょと登りはじめる。上まで登ると拍手をして、よっちよっちと降りる。それを数回くりかえして、登った道をまた手をつないでゆっくり歩く。やっぱりまだまだコンクリートなので、抱っこしてもうすこし先の地面のやわらかい芝のあるどこかへ移動しようか、どこがいいかなとわたしは思っていた。川沿いの柵を見つけ、駆け寄る。このような鉄の柵というのはどうも魅力的らしく、みつけると手を伸ばす。いつもは抱っこしてぽんぽんとすこしさわるくらい。じぶんでうごいているから、いつもとは違う高さの場所にさわりたいようにさわることができる(高さの限界などはあるが)。

そこで、あ、と思う。どこだっていいんだなあっと。どこにいたって、のんさんはたのしむことができる。そして、次のことばかりここ以外のよさそうなところのことばかりをかんがえているわたしと、目の前のいまとここを味わうのんさん。どっちが豊かかしらと思った。

けっきょく橋のあるところで折り返すまで、この道であそぶことにした。すこしの段によじ登ったり、ちいさな石を拾って並べていたり、どうぞとくれたり。はらっぱではないところだからできるあそびがそこにはあった。その場所、場所でないものもあるが、あるものはある。どこをみるか。のんさんはとても充実した表情でたのしいさんぽになったみたい。いくつもの偶然をたのしみ、そこにいるひとがどんな表情をしているか、だな。


夜ごはんは、おでん二日目、いつかの焼売、ごはん。

たまごが染みて、汁もたっぷりできのうよりずっとおいしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?