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おはぎとおおきな茶碗蒸し

二〇一六年十二月十八日日曜日

晴れ

あたまのなかで再生されたうたをつかまえて、携帯電話で三角じるしを押す。

自転車でおいで/矢野顕子

思いきって両耳イヤホンをつけると、
ふぁあぁぁっと膜が張る。
ちいさなうちゅうに包まれる。

たしか矢野さんはツイッターでかな、歩きながらイヤホンやヘッドホンをしたらどこにいるのか感じられなくなる・わからなくなるから外で聞くことはないというようなことを書いていた。
そのことがあたまをよぎって、 (ほんとう どこにいるのかわからなくなるや) と思う。
そして、どこにいるのかわかりたくなくて再生したのだなあと。

すっぽり包まれた宇宙船わたし号。
ひとりでいることが非日常になっているこのごろだからか、潜りたくなったのか浸りたくなったのか。

yet / clammbon
バイタルサイン / clammbon

書くことと聞くことを同時にできない不便さを感じつつ、ひとつひとつに浸ったらいいかとそれがいいんだなと書くことを選ぶ電車のなか。
バイタルサインはいつかのライブ映像。ぐぅっと熱量がつたってびりびりびりびりびりりりとくる。前髪を切るか悩みながら原田郁子さんのみじかいそのころの前髪と、伸ばしているいまの前髪のことを思ったりして。
わたしはいまこもっているころなのかもなあと。ばっとひらいているときではなくて、なにかをはじめる準備のころなのかもしれない。
宇宙船わたし号のなかは、ひりひりとしやすい。画面の向こう、パックされたそのときのメンバーの熱を受けとってううっとくる。

ヨシグチさんとのおはなしは、ゆるやかに弧を描いて、食と健康という話題に着地しカットが終わった。食と健康というのが、あたまのなかを占める割合の多さをかんじて、膜はふんわりとわれることもなく接地した。そんなふうに思った。

いくつか寄り道をして、さあ帰ろう。

ワーーーーーーーープ。


玄関をノックすると抱っこされたのんさんと帽さん。のんさんはぽおっとした表情からみるみる目にちからがはいってゆく。 (そうだよ、ぽさん!あ、おっぱいをー)あわあわあわてて一度抱っこすると手をはなさないというようすになった。四、五時間はなれていただけなのに随分会っていなかったように感じる。

帽さんがつくってくれたおはぎをたべながら、のんさん一歳のお祝いをする。わが家ではホワイトデーといえばのおはぎ。煮た小豆の粒あんと胡桃と牛乳でつくる胡桃あんの二種類が定番。もち米をよくたべるからと誕生日はおはぎにしたのでした。のんさんはぱくぱくぱくりとよくたべた。

たべた後、のんさんと帽さんはならんで昼寝。

夜ごはんは、おおきな茶碗蒸し、豚汁、白菜の浅漬け、太巻き、寿司。

お祝いのごはん、どんなのがいいかなーとあれやこれや思ったのだけれど、まだ量もたべないしたべやすいのがうれしいかなと茶碗蒸しをつくった。そして、やさいがたべやすくいろんな種類たべられる豚汁。
たべないときは口をとじるのんさんが口をずっとあけて茶碗蒸しを頬張ってくれた。

おはぎにおおきな茶碗蒸し。
それらは、いわゆるお祝いらしい色合いのよいものじゃないけれど、父と母の愛のカタチよ。
おめでとう。ありがとう。日々よろしく。

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