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Z級の日々:愛チャリと強制リセット

自宅を引き払うために、関東に一時帰還している。丁度気持ちも症状も落ち着いたので、親と心機一転始めようという話になったのだ。

愛チャリとの別れ

到着して一番最初に手をつけたのは自転車だった。買取などのスケジュールの都合で、初日しか自転車を構う時間が取れなかったのだ。事前に自転車屋に連絡を入れると、引き取りも対応しているとのことだったので安心し、店に向かうために自転車置き場に向かった。半年以上メンテナンスもなく、ほぼ吹き曝し状態にされた愛チャリは、関東引っ越し前の輝きを文字通り失っていた。金属部分がすっかりくすんでしまった。タイヤの空気は完全に抜けて、漕ぐのはほぼ不可能なので、諦めて押して歩くことに。
寒いはずの12月に汗だくになりながら、40分ほどで店舗に到着。カウンターで引き取りの依頼を伝えると、自転車に処分費用がかかる言われ、予想外の出来事にショックを受けた。想定外の良くない出来事に見舞われるのはまだ慣れていない。私の自転車はお金にもならないし、なんなら処分のために追加で処分費用の支払い。あんなにあちこち一緒に出かけた自転車と、こんなに惨めな別れを迎えることになるなんて。乗り手を失いただ風雨に晒されるだけになった愛チャリは、見窄らしい粗大ゴミとしてバックヤードに連れて行かれた。

強制リセット

放心状態のまま店を出て、しばらく歩くと悔しくて涙が流れた。人目も憚らずおいおい泣きながら家に向かって歩き始めた。馴染みのない街でひとり。
望みもしない、社内公認の害悪部署に転勤させられて、うつ病になって、全部強制リセットになったのに、当の原因たちからは何もない。一般的に鬱病は労災認定のハードルが高いらしく、人事にも「労災はお勧めしない」と言われた。でもなんで自分だけこんな目に遭わないといけないんだ?
苦しみながら生きているのに、のうのうと生活を続けているであろう彼らがまた許せなくなった。

以前にも書いたが、彼らには自責という感情がないようなので、私のことも「付いてこれなかったアイツがダメなだけだ」と思っているのが容易に想像できる。実際何人もの部下たちを退職処分に追い込み社内で問題視されながらも、その「指導」に全くメスが入らぬまま今日に至っている。しかし、こうして悔しくて泣こうがネットの海に愚痴を垂れ流そうが、何も変わりはしない。現実も社会も厳しいのだ。

何もない

悔し涙でマスク全体がベチョベチョになった頃には、自宅に到着していた。散々声を上げて泣いたからか、すっきりすらした。部屋を見渡すと、自分で買ったお気に入りの家具がずらりと並んでいる。ダークブラウンを基調にした空間に、ブルーのソファとラグが映える。しかしもう未練はない。大丈夫だ。

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