僕が釣りを通して学んだこと
「ノウハウコレクターになるべからず」
僕が釣りを通して学んだ教訓だ。
釣りを始めたのはもうかれこれ10年以上前。
一口に釣りと言っても色々あって、最初にハマったのは海のルアー・フィッシング。それも少しライト目の、シーバス (スズキ) をメインターゲットに据えた釣り。
サビキ釣りのような、撒き餌して魚を「待つ」釣りとは違い、身軽な装備で魚を探し歩く「攻める」釣りが性に合った。
シーバスは難しい
性には合ったんだけど、これがまあ難しい。なかなか釣れない。釣れないどころかアタリすら無い。
釣れない、釣れない、釣れない。
はじめの「ザ・初心者」の頃はそれでもよかった。初心者だから釣れないんだと割り切ることだってできる。
でもそれが何度も続くとさすがに「なぜ」という気持ちが大きくなってきて、次第に釣りに出かける時間よりもシーバスフィッシングの動画で釣り方を調べる時間の方が長くなる。
誰だって負ける戦はしたくないのだ。
日中は早く、夜は遅く巻け
流れの変化を狙え
プレッシャーの高いシーバスにはワームやシンキングペンシル
こういったノウハウは少し調べるだけで簡単に手に入る。なるほどそうか。このテクニックを使えば、次は釣れるだろう。
しかしそれでもシーバスはなかなか釣れなかった。単発で出ることはあっても後が続かない。
僕はほとほと困り果て、一旦メインターゲットを変更することにした。
「シーバスがダメならクロダイだ」
黒鯛と落とし込み釣り
海の釣りでは、スズキの他に黒鯛という年中人気のターゲットがいる。その名の通り、見た目はあのおめでたい「鯛」に近い。
関東ではクロダイ、関西ではチヌと呼ばれる。
体長は小さいもので20cm程度から、大きくなると4〜50cm。50cmを超えると「年無し」と呼ばれ、釣れればそれこそおめでたいサイズとされる。
70cmを超えることもあるスズキよりは大きくならないが、その体高から繰り出されるパワーは強く、魚との駆け引きが楽しめる。
この魚の釣り方として最もポピュラーな「攻めの釣り」が落とし込み (ヘチ) 釣りだ。
足元しか狙わない釣り
その特徴は何といっても「狙う範囲」にある。落とし込み釣りで狙うのは、ヘチ (岸壁の際) に限られる。
もしあなたが釣りに詳しくなければ、風呂場をイメージしてみるといい。バスタブから顔を外に出し、下を覗き込むと、目に映るのは何だろう。
排水溝? そう。そして「溝」だ。
落とし込み釣りでは、その溝の範囲しか釣らない。
糸の先に針を付け、ガン玉と呼ばれる1g程度の小さなオモリで、エサをゆっくり落としていくだけのシンプルさ。
どちらかと言えば玄人向けとして知られるこの釣りだが、これが素人でも案外釣れる。何なら行くたびに釣れる。
釣れるもんだから、僕はすっかり落とし込み釣りにハマってしまった。
エサを変えれば黒鯛以外の魚も当然のように釣れる。メバルやアジ、メジナやカサゴ……
その中にはもちろん、シーバスも含まれる。
ポイントはこれだけ
釣れると色々なものが見えてくる。思うに釣りで最も大事なポイントはこれだけだ。
釣れるタイミングで釣れる場所へ行き、
その魚が食うエサを
自然な形で目の前に届けること (親が作る朝食くらい自然に)
これだけで魚は釣れる。とてもシンプルな、それでいて動かしようのない答え。
ルアーも考え方は同じだ。小魚のようなルアーであれば、小魚が泳いでいるように見せる。小イカを模したルアーなら、か弱い小イカが水中を漂っているように見せる。
自然に、自然に。それをターゲットの目の前に通そう。何も変わりは無い。
あなたは今、何を求めているだろうか。
英語の上達法?
仕事を効率化するためのテクニック?
早く走るための練習法?
答えは意外なほどシンプルな形で、あなたの手の届く場所に横たわっているかもしれない。
ヘチに潜む黒鯛のように。
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