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笠原桃奈に祝福を

桃奈を見たのは2015年の研修生発表会が最初だ。加入してすぐの桃奈は12歳で歌も拙く、初々しさというより、ただただ幼い子供だった。それから1年後の研修生発表会で再度見た桃奈は、「え?誰?」というほど大人っぽい妖艶な子になっていた。衝撃と同時にベストパフォーマンス賞を受賞したのは当然の結果だとも思った。

2カ月後、桃奈がアンジュルムに電撃加入した時の喜びは、いまも昨日のように思いだせる。まだ13歳だけど、これからどんな成長の物語を見せてくれるのだろうかとワクワクが止まらなかった。

久しぶりに加入ドッキリ報告の動画を見た。こんなに震えていた子犬のような女の子が、1年後には制御するのも大変な大型犬に成長してくれたのもヲタク一同、嬉しかったよね。

2018年に起きた「赤リップ事件」

中学生の桃奈が周りのお姉さんメンバーたちに憧れて色んなリップを塗って背伸びしていることが微笑ましかったのに「年相応の化粧」なんていう古臭い価値観による呪詛で、10代の女の子を委縮させかねない出来事だった。だが、それは当時のリーダーである和田彩花の逆鱗に触れることとなった。

和田彩花だけではない。他のメンバーも静かに立ち上がった。それぞれがそれぞれの距離と言葉で桃奈を優しく守ってくれた。莉佳子はLINEで「かっさーが好きなメイクをすればかっさーの事が好きな人たちがそのメイクも好きになってくれるよ」と励ましたらしい。

桃奈の周りには素敵なお姉さんたちが居て、そしてアンジュルムのヲタクである沢山の女性たちが味方として桃奈を支えた。

自分は男だから、こういう時に少し羨ましく感じる。当然リップなんて桃奈の好きな色を好きなように試したら良いと思うし「中学生だから」なんて考えで女の子の可能性を邪魔する人間は言語道断だと思う。というか、大人の女性に憧れる女の子の気持ちが分からない時点で「お前はつんく♂の歌詞を理解していないのか? お前の目は、耳は節穴か?それでもハロヲタか?」と言いたいのだが。

非公式な切り抜きだから、こういう場にあまり相応しくはないのだが、その時のライブのMCであやちょが穏やかにヲタクをたしなめ、桃奈にエールを送る姿は本当に頼もしく、優しく、素敵だった。

桃奈にとって和田彩花という存在はとてつもなく大きなものになった。

そしてあやちょは、折を見て繰り返し発言をするようになった。

私は、「自然な色」ではないということや、「アイドルだから」という理由でリップの色を変えたくても変えられないことがあったから、同じように苦しい思いや悲しい思いをメンバーにさせたくないと思ったんです。

今の桃奈を作り上げたのは和田彩花だ。そして和田彩花もまた、この時のことが切っ掛けとなり、より深く「アイドルとは」を考えるようになったと推測している。なんて素敵な関係だろうか。

桃奈はそうやって少しずつ、歩みだしていた。

伝説となっている『コンサートツアー2018春 十人十色』や翌2019年の和田彩花卒業コンサート、その後に続くメンバーの卒業のなかで着実に桃奈はアンジュルムに無くてはならない存在となった。

桃奈は今、17歳だ。

だが、並みの17歳では経験できない濃い人生を送っている。沢山の魅力的な女性に囲まれて、沢山の夢と沢山の別れを経験してきた。

僕らヲタクはいつも置いていかれてしまう。僕らヲタクは彼女たちと同じ歩幅で歩くことが叶わない。ただただ見守り、見送ることしかできない。でも、それで良いのかなとも最近は思う。そんな、ただ存在する僕らも、彼女たちの人生の一部であることに変わりはない。

アンジュルムの新曲『愛されルート A or B?』は笠原桃奈の曲である。

つい先日、そんなnoteを書いたばかりだ。

急激な桃奈の成長を頼もしく思っていた矢先だった。

桃奈がアンジュルムリーダーとなる未来が見たかった。

でも、それは僕らヲタクの夢であって桃奈の見る夢ではない。

17歳で自分の未来を選択できる子に成長したことを喜びたい。

あやちょの言葉は、いつも僕らを落ち着かせてくれる。

桃奈に素敵な未来への祝福を。そして叶うのなら桃奈の卒業コンサートが盛大な「桃奈コール」で包まれる世界が来ますように。

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