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めんどくさい笠原桃奈の『愛されルート A or B?』

テレビ朝日の『あざとくて何が悪いの? 』という番組で、かみこがプチブレイクしているアンジュルムだが、この新曲『愛されルート A or B?』は完全にそんな「あざとい」ことが出来ない系女子のモヤモヤを歌っている。

そしてそんな曲で目立っているのが17歳の笠原桃奈というところが、なんともアンジュルムらしくて良い。かみこと二人で「かみかさ双子」なんて言うくらい仲が良いのだが、属性は正反対。“天然愛され世渡り上手”な上國料萌衣に対し、“天然考えすぎ素直になれない”笠原桃奈というコントラストがMVでも浮き彫りになっているのが面白い。

作詞はアンジュルムでは『泣けないぜ…共感詐欺』『Uraha=Lover』などを生み出している山崎あおい。等身大の女子の憂鬱を描いたら現ハロプロクリエイター陣のなかでも抜きに出る存在である。

愛想よくいれば 褒められるはずだった
「つまらない」なんて
そんなセリフは想定外

冒頭から主人公は溜息まじりだ。「ニコニコと愛想よくできない」「“かわいげ”が分からない」真面目にがんばるのは得意だが、ちょっと年下ムーブで「生意気な態度」とかもできっこない。結局、今の社会で愛される女子は? 分かりきった話だ。

ドジばかりしちゃうくらいがカワイイの
逆に?でも怒られたくないし
手が掛かるくらいのほうがカワイイの
逆に?ああ 迷宮入りで

「逆に?」と疑問形になっているのが、この主人公らしいところだ。「ドジばかりしちゃう」ことを良しとしていない。「手が掛かること」を良しとしていない。いや、そうやってしまって「怒られる」ことが嫌だと思っている。でも、世間は自分の考えとは「逆に」なっている。

そんなディプロマシー(外交術)は自分には攻略不可能。

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だから「もうやめたい、めんどくさい!」と笠原桃奈に歌わせているのが、とても良いとは思わないか。僕は思うぞ。

そして、そんな笠原桃奈17歳ともうひとつ対になるのが伊勢鈴蘭17歳だろう。「れらぴ系女子」という異名も板についてきたアンジュルムの新オシャレ番長に就任間近な彼女もまた、器用に世渡りができる系女子の印象がある。

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アンジュルムにおける真の「あざとい」は伊勢鈴蘭だろう。

モノクロとカラーで織りなすMVのコントラストは、そんな両者のURAHARAな気持ちも表現してくれている。

「器用に不器用なふり」それができる子が持てはやされる世の中に息苦しさを感じている。でもそれは女子だけの問題でもない。男子だって同じような状況はある。やはり愛想がよくて、元気なバカが先輩にも気に入られる。女子も男子も関係なく、人生そんなもん。

だけど、変わりたくない!

そう締める『愛されルート A or B?』は作詞家・山崎あおいの真骨頂だ。


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