D&D(ダンジョンズアンドドラゴンズ)リプレイ「お嬢様の恍惚」 第1-13話『ものいわぬ表現者』(未完結)


!注意!
本作はD&Dシナリオ「ファンデルヴァーの失われた鉱山」を基にしたリプレイです。ネタバレを含みます

「そうよ!彼女がいなくては、私たちは先に進めないわ!協力して!」
要するに、最後に勝つのは勢いと誠意なのだ。これでだめなら我々に交渉材料はもう残されていない

グラルボがぷいっと顔を背ける、あ、ダメかも
イヴェルが「川が深いが大丈夫か?」と助け船を出してくれる
「そうね...私には深いかも」とグラルボが応じる。グラルボはとても小さいのだ
なんで?私がおぶればよくない?あ、そうか照れてるのか。しかたないなぁ
「ついてくるというなら、川を魔法で凍らせてやらんこともない。通りやすくなるだろう?どうだ」
イヴェルがいつになくたくさん話している。この子も「空気が読める」のだ

「すこしでもお姉ちゃんに近づきたい!」ノワールが言う
「お姉ちゃんみたいなすごい人を失ってきっとあのポンコツどもは困惑してるだろうから」
「ついて行ってあげたほうがいいんじゃないかなぁ!」
おい聞こえてるぞそれで密談のつもりかお前このやろう、とおもいつつ、ニヤついてしまう。視線が痛い
「なにか聞こえたわね...」たまらずエンナがこぼす。彼女にここまでいわせるとは...
「人間の戯言よ...」イヴェルはつよがっているが、ちょっと怒ってるな
回答を待たずに川を凍らせる。そうそう、世の中やったもんが勝つのだ
「同行者には試練が必要。試させてもらう」イヴェルの挑発。これはうまい

グラルボの表情がみるみる輝いていく。凍った川に興味があるのだろう
この子の本当の顔だ...とすぐにわかった
ノワール(グレイ)を守るためだろうか。ハーフフットの小さなカラダで随分と無理をしているようにみえた
冒険者として地図を作っているというが、本当なのだろうか?
本当だとして、この子を連れていた理由はなんなのだろう
詮索したい気持ちになるが、冒険者としてそれはいけないことだ
今はこのかわいい顔を堪能すればいい。...あれ?かわいいな?

すぐに元の顔に戻って「あなたも気を付けてね」とノワールに言う
かっこうをつけてもカラダはうずうずしている。バレバレだ
ぴょんと氷にのり、大げさだがムダのない動きで氷を滑っていく。まるで踊っているようだ
いいたいことをうまく言葉にできないものは表現力が豊かになる。彼女も例外ではないのだろう
この冒険が彼女の...せめてきばらしになるといいが...

彼女の心中を知ってか知らずか、ノワールが後に続く
ぴょんぴょんと器用に凍った川を上る
うーん、グレイよりも明らかに優秀だが...

氷を渡り終えたグラルボが振り返り「どう?こんな優秀な二人が加わって」
「いいだろう合格だ。だが完全に認めたわけではないぞ」イヴェルが答える
もちろんわたしもうれしいわ。心のなかでつぶやく。しつこいようだが、私は空気の読めるバーバリアンなのだ

めでたくパーティになったところで、あらためてやりたいことを確認しあう
人命優先、ここはきちんと共有しておきたい

話し合っていると、洞窟の奥から野太い悲鳴が聞こえた。内容は聞き取れないが、ドワーフ語だ
「グンドレンでは?」「グンドレンだな」既存メンバーが口々に言う
簡単にこれまでの経緯とグンドレンについて紹介して、先へ進む
きっと奥にいるはずだ
川底まで足の届かないグラルボをノワールが抱え先頭を歩く。ほかのメンバーが後を追う。私はシンガリだ

-つづく-

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