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薬学生エンジニアがプログラミング的思考で国家試験解いてみたシリーズpart1

作成の目的

国家試験の理論問題の物理ってかなりむつかしいですよね・・・
ちょこちょこ国試の問題を見たりすることあるのですがあれは6年生になっても解けるようになるイメージ全く湧かないです(泣)

ただ少しでもあがいてみようということで、新企画を立ち上げました!
その名も「エンジニアとしての視点や考え方で物理系のむつかしい問題に立ち向かってみよう!」です。

少し余談になりますが、今の小中学生って「プログラミング的思考教育」なるものを受けているみたいですね?おそらくこれって今の小中学生が大学受験や資格試験を受ける時代になるとプログラミング的思考を絡めたような問題が科目問わず出題されることになるかと踏んでいます!これは将来の薬剤師国家試験にも同じことが言えるのではないでしょうか?

それに備えるという意味でもエンジニア関係ない薬学生や薬剤師の方にも有意義な情報になればと思います!

大事なこと

一言で言うならば「抽象化」だと思っています!
システム設計なんかの勉強をしていて思ったのは、「全体像を決める段階では条件分岐に惑わされてはいけない!」でした。

https://twitter.com/itpharmacy1212/status/1478359828343193610
1.動詞を抽出して流れの全体像を見る
2.動詞のインプット、アウトプットを明確化にする
3.条件分岐は必要なとこだけ読む!
4.具体的な数値を出したくなったら数値まで目を付けて実際に計算する

106回問93(物理)


引用
https://e-rec123.jp/e-REC/contents/106/93.html

見るだけでゲってなりますね・・・・

少しプログラミング的思考で読んでみましょう!

まずは抽象化!

基本的にプログラミングでは「~する」といった動詞で表現出来る処理をメソッド(関数)として記載します!

まずは上記の文から動詞を抜き出してみましょう!

確認試験

⑴ 本品3mgに硫酸2mLを加えるとき、液は初め帯黄緑色の蛍光を発し、徐々に橙黄色を経て暗赤色に変わる。この液は紫外線を照射するとき、強い淡緑色の蛍光を発する。この液に注意して水10mLを加えるとき、液は黄色から橙黄色に変わり、淡緑色の蛍光を発し、黄褐色綿状の浮遊物を生じる。

⑵ 略

純度試験

類縁物質

本品25mgをとり、メタノール10mLを正確に加えて溶かし、試料溶液とする。別にヒドロコルチゾン25mgをとり、メタノール10mLを正確に加えて溶かす。この液1mLを正確に量り、メタノールを加えて正確に50mLとし、標準溶液とする。

これらの液につき、薄層クロマトグラフィーにより試験を行う。試料溶液及び標準溶液3nLずつを薄層クロマトグラフィー用[ ア ](蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする

次にクロロホルム/エタノール(99.5)/ギ酸混液(150:10:1)を展開溶媒として約10cm展開した後、薄層板を風乾する

これに紫外線(主波長[ イ ]nm)を照射するとき、試料溶液から得た主スポット以外のスポットは、標準溶液から得たスポットより濃くない。

動詞(メソッド)を整理すると上から順にこんな感じになると思います。
確認試験
1.加える
2.加える

純度試験
1.試料溶液とする
2.標準溶液とする。
3.試験を行う
4.スポットする

5.展開する
6.風乾する

7.照射する

これだけでも問題文に書かれた作業手順をざっくりイメージできるかと思います!
これが抽象化です。

階層を意識して具体化していく。

次にメソッドを決めたら引数と戻り値を考えます!
プログラミングで言う引数とは「インプット」であり返り値は「アウトプット」です。

問題文でいうと前者は「○○を~」みたいに言えるものであり、後者は「△△が生じる」みたいに言えるものです!
実際に整理していきましょう!


1.加える
インプット:  本品3mg ,硫酸2ml
アウトプット:  液体A

2.加える
インプット: 液体A,水10ml
アウトプット: 液体B

  • ここで液体A,Bの性質について読み取れることを整理しておきます

    • 液体A・・・初め帯黄緑色の蛍光を発し、徐々に橙黄色を経て暗赤色に変わる。この液は紫外線を照射するとき、強い淡緑色の蛍光を発する

    • 液体B・・・橙黄色に変わり、淡緑色の蛍光を発し、黄褐色綿状の浮遊物を生じる


純度試験
1.試料溶液とする
インプット:本品25mg,メタノール10ml
アウトプット: 試料溶液

2.標準溶液とする。
インプット: ヒドロコルチゾン25mg,メタノール10ml
アウトプット: 標準溶液

3.試験を行う

4.スポットする

インプット 試料溶液3μL , 標準溶液3μL, 選択肢ア , 
アウトプット: 展開済みの選択肢ア

5.展開する
インプット: スポット済みの選択肢ア,展開溶媒
アウトプット: 展開済みの選択肢ア

6.風乾する

インプット:展開済みの選択肢ア
アウトプット: 乾燥済みの選択肢ア

7.照射する
インプット: 乾燥済みの選択肢ア,紫外線(波長イ)
アウトプット:試料溶液主スポット , 試料溶液主スポット以外の副スポット 、標準溶液スポット


最後は条件分岐!

条件分岐についてですが最終段階で考えます!
試験である以上最後の値の条件によって合否がきまります。
この為着目するのは「7.照射する」のアウトプットだけです!

これに紫外線(主波長[ イ ]nm)を照射するとき、試料溶液から得た主スポット以外のスポットは、標準溶液から得たスポットより濃くない

濃い文字のところを式で整理してみるとスポットの濃さで比較していることが読み取れますね!

もし (試料溶液の副スポットの濃さ<標準溶液のスポットの濃さ)であるならば試験は合格、そうでないならば不合格ということになります!

プログラミングっぽくif文で書いてみましょう


if (試料溶液の副スポットの濃さ < 標準溶液のスポットの濃さ){
return 合格
}else{
return 不合格
}


選択肢の選び方

知識のある方であれば消去法で行けるかと思いますが敢えて最後の条件分岐を使ってみましょう!

if (試料溶液の副スポットの濃さ < 標準溶液のスポットの濃さ)

この条件が成り立っているかどうかを計算してあげれば行けますね!

試料溶液中の副スポット由来の濃度が標準溶液よりも濃くならない濃度であればOKとなります。なお試料溶液には本品が、標準溶液にはヒドロコルチゾンが入っています。

よって

基準割合=標準スポットのヒドロコルチゾン量/試料スポットの成分量

となります!

計算する際は以下の3つの処理の内部を考えていきます。
このように必要な情報が含まれる動作だけを具体化していきます!

1.試料溶液とする
インプット:本品25mg,メタノール10ml     (2.5mg/ml)

希釈操作:1mlとってからメタノールを加えて50mlにする (2.5mg/50ml)

アウトプット: 試料溶液(0.05mg/ml)



2.標準溶液とする。
インプット: ヒドロコルチゾン25mg,メタノール10ml(2.5mg/ml)

アウトプット: 標準溶液(2.5mg/ml)


4.スポットする

インプット 試料溶液3μL , 標準溶液3μL, 選択肢ア , 
アウトプット: 展開済みの選択肢ア

試料溶液と標準溶液は共に3μLです!よって1.2のアウトプットから得られる溶液濃度に3μLをかけてやればスポットに含まれる量がそれぞれ分かります。

標準スポットのヒドロコルチゾン量=0.05mg/ml×3μL=0.15μg
試料スポットの成分量=2.5mg/ml×3μL=7.5μg

基準割合=0.15μg/7.5μg
              =0.02

よて2%となり選択肢4は誤りになります!

おまけに

1.確認試験は主成分がしっかり含まれているか?純度試験は不純物が入っていないか?です!
2.↑で説明した通りなので正解です!
3.TLCと言われたら大体シリカゲルです!ただ逆相とかの場合は注意しましょう!
4.紫外線は波長400nm以下です!450は可視光線です!

紫外線<400<可視光線<800<赤外線

まとめ

むつかしい問題だったので長々とした説明になってしまいましたが要は「抽象化で全体像を把握してから」そこから細部に絞っていくことが大事。というのが言いたかっただけです!

1.動詞を抽出して流れの全体像を見る
2.動詞のインプット、アウトプットを明確化にする
3.条件分岐は必要なとこだけ読む!
4.具体的な数値を出したくなったら数値まで目を付けて実際に計算する


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