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人事課題の根幹にあるのはミッション/ビジョン/バリューであった話

入社後にミスマッチで退職をしてしまった」
「会社へのエンゲージメントがなかなか上がらなくて…」
「マネージメントがうまく効いていないのです」

これらの課題、もしかしたら全てはミッション/ビジョン/バリュー/カルチャー/ペルソナが定まっていないから、かもしれません。

僕(山根)は経営陣としてはもう7年半程度。会社の代表としては3年半ほど経験を積みました。あらゆる問題に直面してきましたが、「人」についての問題/課題は概ね、ミッション/ビジョン/バリュー/カルチャー/ペルソナの浸透が根底にあるのではないかと思っています。

ポテンシャライトはベンチャー企業の採用活動を中心に、あらゆる人事施策の支援をさせていただいております。
採用については採用戦略の策定、採用手法の選定、そして媒体の運用、採用広報など様々な角度から支援しております。
ここ最近ですと「人事全般の施策」まで携わらせていただくことが増えており、例えば、入社オンボーディング、マネージメント施策、入社後の定着、離職者の防止、カルチャー浸透、エンゲージメントの向上施策、リファラル採用の仕組み化など、多岐に渡っています。

先ほど申し上げた人事全般の施策を打つ場合、単発の施策だとうまくいかないことがものすごく多いです。施策を1つずつ実行したとしても、全てにつながりを持たせないと意味をなさず、結果的に失敗してしまう事例が発生してしまっているのです。

それはなぜか?

会社の根底にある「軸」が不明瞭な場合は、どんなことに取り組んでも成果が上がりません。なぜならば、会社/各社員の判断基準がないからです。

今回は、ミッション/ビジョン/バリュー/カルチャー/ペルソナが定まっていないとうまくいかない人事施策5選をご紹介します。失敗事例とともにご覧ください。


0. ミッション/ビジョン/バリュー/カルチャー/ペルソナとは?

「MVV」と聞いたことはありますでしょうか?

M:Mission
V:Vision
V:Value

のことです。ここ最近マネーフォワードさんが「MVVC」を社内で重視していらっしゃるようです。「C:Culture」のことです。

スクリーンショット 2020-07-05 11.28.57

整理すると上記になります。
ん?まてまて、「P」ってなんだ?と思われた方。「P:persona」です。MVVCについては「会社側」の話ですが、採用活動においては会社と候補者のマッチングになりますので、候補者側のペルソナが重要なのです。ペルソナについてはこちらのブログをご覧ください。

候補者ペルソナにも「価値観(個人バリュー)」などが存在しますが、本ブログでは詳細は割愛します。

では、まいりましょう!


1. リファラル採用

リファラル採用については説明するまでもないかと思いますが、既存の社員から、候補者となり得る人材をご紹介いただく手法です。2017年ごろからリファラル採用の言葉が世の中に浸透し、現在では取り入れていない会社の方が少ないかと思います。

ただ、リファラル採用がうまくいっている会社とうまくいってない会社が発生してしまっています。これはなぜなのか。

リファラル採用がうまくいかない根本的な理由は、「従業員の自社へのエンゲージメント率の低下」です。自社のことが好きで無ければ、貴重な友人/知人をわざわざ自社に紹介することはしないでしょう。その心理的要因を考えず、人事側から「知人/友人を紹介してください!」と全体周知してもうまくいかないことの方が多いです。

では、「エンゲージメント率」を上げるためには何ができるのか。これが難しいのです。念のため、エンゲージメント率と言うのは「従業員が自社に満足をしている割合」と認識してください。

昨今ではエンゲージメント率を調査するツールがたくさん出ており、各社導入されているかもしれませんが、計測をすると高い数字が出ないことが多いです。そして人数が増えることによって下がっていくケースがほとんどです。このエンゲージメント率を上げるために社員からの声を導入し、あらゆる施策を講じるのですが、うまくいかないことが多くあります。

これはなぜなのか。

そもそも「価値観」が異なる社員をもし多数集めてしまっているのであれば、仕事をする目的が異なります。つまり「採用時点での見極め」が甘いようだと、いろいろな価値観の人材が存在してしまうため、すべての社員に満足をしてもらえるような会社の設計は極めて難しいのです。

採用時点の「見極め」を軽視して人材を集めてしまっているのであれば、エンゲージメント率の向上は難しいです。なぜなら異なる価値観の人材が何十名も集まっていれば、理想とする会社像(環境)が異なるからです。多様性を受け入れる事はもちろん重要ですが、何か「軸」となるようなことが必要になってきます。

話が長くなりましたが、「軸」とは何なのか。

「会社の価値観」と「従業員の価値観」がミスマッチだと、エンゲージメント率の向上は難しいのです。では、「会社の価値観」とは何なのか。これは「バリュー」や「カルチャー」につながります。

バリューはすなわち行動指針です。
そしてカルチャーは文化のこと。

ここにマッチしているかしていないかはものすごく重要であり、採用における見極め項目の中でも「業務スキル」よりも重大な要素となります。

そして「会社の価値観」を決める際に重要なのは「ミッション/ビジョン」です。なぜそのバリュー、カルチャーを構築するのか。そのバリュー、カルチャーを構築し、会社は何を達成したいのか、何を目指していきたいのか。そこがはっきりしていないとバリューやカルチャーもあまり良いものとはなりません。

つまり、バリュー/カルチャーはミッション/ビジョンが起因しているものであって、エンゲージメント率を向上させたいのであれば、大元となるミッション、ビジョンを構築しないとそもそもうまくいかないのです。リファラル採用の促進には、単発的な施策だけではなく、大元をたどるとミッション、ビジョンの構築が関わってくるのです。


2. エンゲージメント率

上記1. に前述したとおり、エンゲージメント率を単体で上げていく事は難しいです。

そこで、当社ポテンシャライトの失敗談を話します。

当社もエンゲージメントにはこだわっており、全従業員が自ら理想とする働く環境を手に入れるべく「エンゲージメント飯」というミーティングを実施していました。毎月1度実施し、全社員で会社のエンゲージメントを向上させるためには、というテーマで議論します。

各社員が意見を言い合い、非常に良い機会となっていたのですが、人数が多くなっていくと問題が発生しました。意見が割れてしまうのです。意見が割れてしまったのは「人数が多くなったから」「意見が強いメンバーが入ってきたから」「人数が多いと意見が言いづらくなったから」と認識していましたが、それは間違いだと気付きました。

問題の根幹は「異なる価値観のメンバーが混在してしまったこと」でした。

もちろん選考において「見極め」は実施していたのですが、当時は見極め項目を正確に設定してらず、且つ「多様性を受け入れる」という想いのもと採用活動をしておりました。

ただ、これにより多種多様の「価値観」の方が混在してしまったのです。

 - 成長意欲が強くない方
 - 仕事内容ドリブンで会社を選んだ方
 - とにかくミッションに共感してる人方
 - ”人”に共感している方
 - とにかくオンとオフを分けたい方

など「ここだけは押さえておく」という軸がポテンシャライトの採用活動では明確でなかったのです。

当時の山根は、多種多様の価値観を共有し、話し合いをすればうまくやっていけるものだと思っていたのですが、結果的に働く意義や目的などがばらついてしまったことにより、全社員の理想とする会社像とは異なってしまったのです。もちろん、意見を言い合う場なので生産的な話にはなっていました。ただ、誰かが意見を我慢して、一方の意見に引っ張られエンゲージメント策が決定したとしても、その結果は全社員が納得したものとは言えません。

そのためこのまま続けてもうまく足並みが揃わないと思い、この「エンゲージメント飯」は終了することに。別の施策を打とうと考えたのですが、その際に立ち止まり、なぜこうなってしまったのかを考えた結果、ミッション、ビジョン、バリューの明確化に踏み切ったのです。これは2019年夏ごろの話で、結果的に2019年の年末に決定しています。


3. マネージメント

前提として、僕個人的にはマネージャータイプと言うよりはプレイングマネジャータイプです。なぜなら現場感がないマネージャーには個人的にはついていきたくない、現場においても圧倒的な実績を出すものがマネージャーを担当した方が良いと考えているからです。

話を戻して、自分の部下が、自分と全く異なる価値観を持っているとマネジメントにものすごく時間がかかります。もちろん人と人ですので対話をしながら進めていくのですが、自分と部下の価値観の調整、確認から始まると多大なる時間がかかりますそもそも、自分と同じような価値観を持った部下のほうが話がしやすいのはご理解いただけるかと思います。もし価値観が異なっていても、自分の言うことを素直に聞いてくれる部下であればもめる事はないでしょうが、対立してしまう構造が作られるのであればそれは問題です、時間がかかります。

これも前述した 1. と 2. と同じ切り口の話なのですが、マネジメントをするにあたり、そもそも会社の価値観とは異なる社員が部下である場合、その労力は数倍にも膨れ上がります。つまり、会社の価値観すなわちバリューの明確化やカルチャーの明確化は非常に重要であり、繰り返しになりますがカルチャーを司るミッションビジョンが重要になってくるのです。


4. 人事制度/評価制度の明確化

人事制度/評価制度の構築は、ベンチャー企業にとって大きな課題となっているかと思います。採用活動は「成功する型」があるのですが、人事制度/評価制度は会社のビジネスモデルや商材、そしてカルチャーによって作り方は千差万別です。

つまり、他社の真似をしたとしてもうまくいくことはなく、オリジナリティが必要なのです。そして、会社の評価基準を決めるにあたり「実績」もさることながら、それ以外に会社が何を求めているのかを明確化する必要があるのです。これは会社のバリューやカルチャーに紐付くものになります。

各社の思考性によって評価基準を「実績●割」「バリュー●割」など様々決められるかと思います。そして「360度評価」と言って、上司 / 同僚 / 部下など様々な角度から評価を受ける手法もあります。

ただ、どのような制度にするにせよ、会社の価値観/軸は重要であり、それがなければ評価の割合も決まっていきません。つまり人事評価制度を決めるにあたり、ミッションビジョンが不明瞭であれば、ぶれてしまう事があるのです。


5. 離職者の防止

離職が発生してしまうことはあるかと思います。概ね退職理由を整理すると「会社と個人の価値観のズレ」が多いです。

前述した内容で何度も申し上げているのですが、会社の価値観は「バリュー」、その価値観に社員が共感していなければ離職が起きる可能性は高くなります。すなわちバリューへの共感は重要になります。そして、その上位概念にあるミッションとビジョンへの共感は重大な項目となるのです。

また、退職理由を本音で話す方は多くはありません。なぜなら彼らのゴールは「退職すること」であり、上司を説得させたいのです。そのため退職理由のみを分析していては、離職率を下げることは難しく、根本的に何が理由なのかをきちんと検証する必要あります。ただ、退職者に対してアンケートを取る事は有効な策かと思いますので実施してみても良いかと思います。


最後に

いかがでしたでしょうか。

単発的に施策を打つことはもちろん良いと思います。ただ、人事/採用活動はすべて繋がっており、より上位概念から構築したほうが間違いなく良いでしょう。

もし、ミッション/ビジョンの構築やバリュー/カルチャーの言語化ができていないのであれば早めに作成することをお勧めしますし、何か問題が発生してからでは遅いです。早めに取り組みましょう。

そして、20人の壁、50人の壁、100人の壁という言葉を聞いたことあるかもしれませんが、これは「価値観」のズレから起きることが多いです。

20人の壁:ミッションビジョンへの共感ができていない
50人の壁:マネージメント(人)の問題
100人の壁:人事制度評価制度、納得感のなさ

などフェーズによって問題は様々です。そして、それらが退職理由に繋がっていることが多くあります。そして、これらの壁の上位概念がミッションビジョンであることはご理解いただけるかと思います。

極稀に、20人、50人、100人の壁をブレイクスルーし数百名規模に辿り着く企業がいらっしゃいますが、

概ね会社が巨大化してしまってから同じような問題に直面するケースが多く、人数が少ない時に直面する場合、人数が多い場合に直面する場合だと、圧倒的に後者の方が改善にパワーがかかります。

そのため、そこまで人数が多くない組織で同じような問題が発生してしまったのであれば、発生するべくして発生したと逆に喜び、解決していけば良いかと思っています。

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