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『コンコルディア』は皆が言うほど良いゲームなのか

(以下は某所に書いたものを加筆修正したものです)

■出会い

『コンコルディア』を初めて遊んだのは、たしか2013年の冬だったと思う。
エッセンに行った友人が現地で『コンコルディア』を買って帰国し、それを遊ばせてもらったのが最初だった。
当然日本語化はされておらず、同梱されていた英語カードとドイツ語カードを分けるところから始まったように記憶している。

遊んでみて、まずその隙のないシステムに感心した。
基本的にカードを1枚プレイしてその効果を適用するだけなのだが、しかし一度使ったカードは回収アクションをするまで再利用は出来ず、回収アクションはいわばしゃがみなのでなるべく少なくしたい、従ってそれまでにどう効率よくカードとリソースを回すかに頭を捻らされた。

当然その時は基本ゲームのみで、評価としては10点中8点、100点満点として85点くらいの評価だったように思う。

もちろん気に入ったので後に日本語版がNGOから出た時には即購入したが、拡張のゲルマニア/ブリタニアマップを購入するほどではなかった。

その後、サルサ拡張が出て『コンコルディア』は飛躍的に面白くなった。

新しい資源である塩のお陰でプレイングに多様性が生まれ、そしてフォーラムタイルのお陰でリプレイ性が格段に向上した。
基本のみで100点満点中85点くらいだった作品がサルサ拡張を入れることで120点になったと言っても過言ではない。

このあたりから各種拡張マップを集めだし、エッセンに行った友人にお願いして魚市場拡張(バレアリカマップ)を手に入れたりもした。

2021年2月現在のプレイ回数は、実プレイで160回以上、オンラインのBAJでは700回近くになっている。

■魅力

では何がそんなに面白いのだろうか。

それは一言ではとても言い切れないのだが、まずはリプレイ性の高さが挙げられる。

拡張マップが今現在12枚あり、それぞれ特徴的でプレイ感が変わるし、サルサ拡張は必須としても、ヴィーナス拡張を入れるかどうか、魚市場拡張を入れるかどうか、あとはカード販売列をワイン面にするかどうかでもそれぞれプレイ感が変わるという。

さらに盤面の産物配置、カード販売列の並び、初期フォーラムでも展開が変わるのだから、その多様性は他の追随を許さない。
『ドミニオン』とどっちの初期状態が多いのか、誰かに計算してほしいくらいだ。

当然その影響により展開も一様ではなくなる。
『プエルトリコ』や『ツォルキン』では初手から続く展開は数手先までほぼ定石化しているが、『コンコルディア』では、建築家による建築(と外交官によるそのコピー)が多いものの、長官スタート、商人スタート、元老院議員スタートと、護民官スタート以外の全ての手があり得るものとなっている。

そして当然ながらゲーム自体も傑出した面白さを誇っている。

まずは手札回収システム。
手札をアクションか何かで使用して捨て札にし、回収アクションを取るまで再利用出来ないというやつだ。
自分の経験上、これを初めて体験したのは『城の守り』で、他に『ミドルキングダム』あたりがあるのだが『コンコルディア』の優れているところは、カードとカードの効果に繋がりがあるところで(建築してからそこで生産とか)、これによって回収というしゃがみアクションをするまでにどういう順番でアクションをすれば効率よくリソースを回せるかという知的パズルが楽しめる。
(記憶では他のふたつはたしか選択肢が減るくらいの意味しかなかった)

そしてそのリソースだが、このゲームにはレンガ、麦、道具、ワイン、布という五つのリソースが出てくる。(サルサ拡張入りならオールマイティとしての塩も)
売買価格はレンガが一番安く、布が一番高いのだが、単純に布が優れていてレンガが劣っているという訳ではない。
資源それぞれ用途に違いがあり、すなわち個性があるのだ。
その性格の違いがまたプレイに一段と深みを与えている。

もう一点、興味深いのは得点回りのシステムだ。

『コンコルディア』において、ゲーム中の得点は非公開なのだが、得点となる資源、都市はオープンされているし、何のカードを購入したかも(購入したその時は)公開されているのでカウンティングが可能なのである。

つまりエンジョイ勢にとっては得点を気にせずゲーム終了までモチベーションを保ちながら楽しめる一方で、ガチ勢にはちゃんと得点をカウントする機会を与えていて、どちらも満足できる作りになっているのである。

(たまに得点が非公開で誰がトップか分からずもにょるって意見も見かけるけど、そんなガチ勢には、文句言う前に誰が何のカードを買ったかちゃんと記憶してなよって言ってあげよう)

さて他の魅力としては戦略の多様性と適度なプレイヤー間インタラクションが挙げられる。

戦略については、ひとつひとつ細かく説明していくとアレなので名前だけ列挙するに留めておくが、我々のグループ内だけでも、

・ShowGメソッド
・ダブルエンジンメソッド
・あかしあ戦法
・麦泥祭り
・目黒メソッド
・商人-入植者戦法
・イタリアメソッド
・エジプトメソッド
・ゲルマニウムメソッド
・テッサロニキメソッド

が挙げられる。
まあ下四つはマップ固有の戦略だけど。
『プエルトリコ』の出荷型、建物型や『ツォルキン』の資源建築、農業信仰、髑髏奉納と比べれば戦略の多さは一目瞭然である。

そして最後に述べるのが、適度なプレイヤー間インタラクションである。

『コンコルディア』には、他プレイヤーの資源を奪ったり、あるいは家を破壊したりといった直接攻撃は存在しない。
だからと言ってインタラクションが希薄と言うことはなく、

・カードの早取り
・建築の先取り
・資源生産の相乗り
・外交官による相手カードのコピー

といった豊かなインタラクションが存在するのである。

■まとめ

ということで、今後ここではコンコルディアのあれやこれやを書いていこうと思う。


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