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川端慎吾という「アカリ」

「あー泣いてもうたー!!」

激闘の2021日本シリーズを制し日本一となった時に顔をグシャグシャにした川端慎吾が言った。


バッターボックスにいる彼はいつもポーカーフェイス。もともと顔が整ってることもあり涼しい表情にみえる。そんな彼が美しい顔をグシャグシャにしながら歓喜の和へ加わって行った。

彼が今まで我々の想像を絶する苦労と努力を積み重ねてきたからこその涙だと思った。

でも現実はさらに厳しかったことを先日発売されたNumberで知った。


川端慎吾はシーズン終盤代打安打日本記録まであと一本を残して登録を抹消された。

スワローズファンから様々な憶測が出た。「どこか怪我をしたのでは?」「疲労を考慮して?」「足を引きずって歩いている気がする。」しかし真相はわからぬままCSを迎えた。私も不安でしかたなかった。またどこか怪我をしてしまってこのままCSには出られないのか。いやきっと何か他に理由があるはず。万全な体調で迎えるための調整にすぎない。そうやって自分に言い聞かせていた。しかし現実は厳しかった。脚にグレード2の肉離れを抱えていたのだ。そんな状況でも川端慎吾のバッティング技術と彼がいることによる相手へのプレッシャーがどれほど強いか。首脳陣は彼を信じ、彼も出場すると即答した。


怪我、彼ほどこれに悩まされてきた人間もいないと思うほどに大きな壁だったと思う。天才と言われるバッティング技術を持ちながらも怪我に悩まされ、なかなか100%その技術を発揮できないことも多かったであろう。

でも彼はそんな状態であっても自分の役割を理解し、チームメイトに繋げる。自分でチャンスを広げるんだ。そんな彼の強い思いが繋いだのがCS第2戦靆菅野からもぎ取った四球だったのだと思う。


でもそんな「チームのために」を全うしてきた彼に神様はご褒美をくれた。スワローズファンなら一生忘れられない日本シリーズ第6戦の決勝打だ。彼自身も四球で次の山田村上に繋ぐ事しか考えてなかった、あのヒットだって本当はファールにするつもりだった。しかし思ったより中に入ってきたボールを必死に押し込んだ。それがあの決勝打につながった。

私はこの決勝打を、これまで復活を目指し辛く苦しい日々を過ごしながらも、希望を捨てずに努力し続けた彼へ神様からのご褒美ではないかと思ってる。


このNumberを読むちょっと前に音楽に疎い私が好きになった曲がある。それがGReeeeNの「アカリ」だ。



Don’t Cryもう泣かなくていい。

毎回君に救われてきた。

何百回永遠に永遠に

君は僕の世界救うヒーロー

YES or NO 鐘鳴らし勇気出して

Don’t stop 次々に進めよ

今日だって過ぎ去って

Everything’s gonna be alright,yeah!!


この場面を聴くと日本シリーズで顔をグシャグシャにして泣いている川端慎吾を思い出す。


「シーズン中から、彼の一振に頼りっぱりなしだった。」高津監督の一言。


みんなが「お願いだ!!決めてくれ!!」そう願った場面で彼は幾度もTEAM SWALLOWSを救ってきてくれた。努力を積みかせね希望という名の「アカリ」を灯し続けてくれるヒーローであると私は思う。

試合だけではない、私が辛い時、下を向いてしまいがちな時、彼がともすアカリは眩しく勇気を貰える。だから彼はヒーローなんだ。


2022年、川端慎吾は一軍でシーズンを迎える事となる。しかし直前に新型コロナウイルス濃厚接触者の疑いで自主隔離をしていたため調整不足は否めない。正直難しいスタートだ。

でも私は信じる。これまで幾度となく大きな壁をぶっ壊してきた彼なら大丈夫。灯した「アカリ」を絶やすことなく、灯し続けてくれることを。


絶対大丈夫。私たちのヒーローは希望だらけなんだから。

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